コラム
徳川家康の人づくり
2017年10月30日 公開 / 2017年11月15日更新
1 家康自身の自己教育
徳川家康は、初代の将軍になった後、儒学者である藤原惺窩や林道春、それに仏教界の泰斗天海から多くを学びます。
家康の学問好きは有名で、その頃、日本に漂着したイギリス人のウィリアム・アダムス(三浦按針に改名)から幾何学を学ぶなどもしています。
2 二代将軍を秀忠にした理由
家康には、長男信康(正室の子)がいましたが、若くして信長の命により切腹させられています。
次男は結城秀康(側室の子)ですが、秀康は事情があって家康の膝下で育てられることはなく、したがって、秀康は天下を治める経綸など持ちようもなく、ただ戦国の荒大名(越前北ノ庄藩初代藩主となり、松平姓を名乗る)の一人として育ちます。
三男は秀忠(側室の子)ですが、秀忠は幼少時から家康の膝下で厳しく躾けられ、また、薫育されています。当然のことながら、秀忠は、家康の理想、家康の経綸を最もよく知る者でした。また、秀忠の性格は、実直で、二代将軍になった後も、家康を神のごとく敬い、その言に従います。家康も、自分の全てを注ぐようにして、秀忠に訓練と教育をしていきます。
家康が、秀忠を二代将軍にしたのは、そのような教育を施し、家康の目から見て十分、二代将軍になりうると考えたからです。
3 輔弼の才(王佐の才)を育て磨く
家康は、重臣の教育も怠りません。
秀忠を二代将軍にすると決めた後、それまでは家康の側近くに仕えていた、本多正信ら家康が信頼する重臣を秀忠付きに配します。
彼らは、将軍を輔弼するのが使命とされた人材です。
出過ぎず、おもねるもとのない、王佐の才を持った人物と目された者ばかりです。
家康は、彼らをも、側近くに置いて、将軍を輔弼できる人材に教育してきたのです。
4 三代将軍の決め方
家康は、秀忠に待望の長男が生まれたことを知った直後、その嬰児の名を“竹千代”とするよう、秀忠に命じます。竹千代とは、家康自身もかつてその名を名乗ったことのある、松平家の跡継ぎに付けられる幼名でした。
家康は、その嬰児(後の三代将軍家光)の賢愚定かならざる時期に、その嬰児を三代将軍にする意思を明らかにしたのです。
何故か?
それは、三代目ともなれば、将軍が誰であれ、将軍に仕える重臣たちが、幕府を立派に運営してくれると信じていたことと、早めに三代将軍を決めることで、秀忠以外の子らや豊臣秀頼に、秀忠の後の将軍位を継ぎたいという野心を起こさせないようにしたのです。
それでも、秀頼の回りの者は、いずれ政権は秀頼に回ってくることを夢見、逆に、家康の六男忠輝は、豊臣秀頼がいるにもかかわらず、秀頼を移封して、大阪城を忠輝に与えるよう家康に求めたことなどで、両名とも、悲運に泣く結果になりましたが・・・。
5 豊臣秀頼の処遇
家康は、豊臣秀吉から特にと、懇請されていたこともあり、千姫を秀頼に娶せた後、秀頼に、大和(奈良県)あたりで60万石程度を与え、秀頼を右大臣(官位は二代将軍秀忠より上)に奏請し、やがては関白や太政大臣になってもらい、公家の統領たる身分として豊臣家を存続させることを構想しました。結果においてこれは失敗するのですが、・・・
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