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押し買い問題の2.宅建業者の義務

2024年4月12日

テーマ:宅建業法

コラムカテゴリ:法律関連

押し買い問題の2.宅建業者の義務

(1)誠実義務
 宅建業法第31条第1項は
「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない。」と規定している。
これは「宅建業者の誠実義務」といわれるものである。

(2)媒介契約を結んだときの評価額と根拠を明示した書面の作成・交付義務
  宅建業法第34条の2の第1項は
「宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。」と定め、
「書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付する事項」の2番目(2号)に「当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額」を定めている。

 その上で、2項で「宅地建物取引業者は、前項第2号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。」と定めている。

  これをまとめると、宅建業者は顧客との間に不動産の売買の媒介委託契約を結んだときは、根拠を明らかにした評価額を書いた書面を作成しこれに署名押印して依頼者に交付する義務があるのである。

この宅建業者が守るべき義務がきちんと守られていたら、「押し買い事件」など起こらないか、起こってもわずかなものになるであろうが、遺憾ながら、「押し買い」事件を起こすような宅建業者は、媒介契約を結んだときの評価額と根拠を明示した書面の作成・交付はしていない。

しておらず、故意に時価より大幅に安い金額を時価だと言って顧客を欺すから、事件が頻発しているのである。

3 評価額の根拠となるもの
では、宅建業者が明らかにすべき「評価額の根拠」とは何か?
例えば、
(1)国交省が四半期ごとに公表している「不動産価格取引価格情報」や
(2)RETIO(一般財団法人不動産適正取引推進機構)が公表している同種の情報
があるであろう。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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