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宅建業者の瑕疵担保期間についての特例を設けた理由

2016年3月30日 公開 / 2022年8月20日更新

テーマ:宅建業法

コラムカテゴリ:法律関連

Q
 不動産の売買契約における,瑕疵担保期間は,
⑴民法では,隠れた瑕疵があることを知った時から1年間とされ,
⑵宅建業法では,目的物の引渡しの日から2年以上と定めておればそれによる,
こととされています。
その理由は何ですか?

A 
⑴の民法で定める瑕疵担保期間は,「隠れた瑕疵があることを知った時」を基準に期間を定めています。
買主の主観を基準に瑕疵担保期間を定めているのです。
しかしながら,
⑵の宅建業者が売主になって,売買契約書で,「目的物の引渡しの日から2年間は瑕疵担保責任を追及できる。」と定めれば,その場合は,「目的物の引渡しの日」が基準になって,その時から2年間で瑕疵担保期間は満了します。
この基準は,買主の主観は問題にしないで,客観的な事実のみになっています。

その違いは,
⑴は主観を基準,⑵は客観を基準にしているということです。
その結果,買主が隠れた瑕疵を「知った」か「知らなかった」かという紛争が起こることはありません。
それだけ,⑴より⑵の方が法律関係が簡明になります。
この紛争処理の解決の簡明さが,この規定を設けた理由です。
この規定の瑕疵担保期間を「2年間以上」にしたのは,昭和40年5月7日衆議院建設委員会議事録14号によれば,四季を2度経過すれば隠れた瑕疵が発見できるだろう考えたことによるとの説明がなされています。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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