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不動産 市街化調整区域内の宅地取引と宅建業者の義務

2014年2月20日 公開 / 2022年8月20日更新

テーマ:宅建業法

コラムカテゴリ:法律関連

Q 
私は,数年前に,市街化調整区域内にある中古住宅を購入したのですが,今般,そこでは建物の建て替えができないことを知りました。不動産仲介業者に損害賠償の請求はできますか?

A 原則として,できます。

1,市街化調整区域内の宅地
市街化調整区域は、市街化を抑制するために定められる区域です。ここでは,無秩序な開発により農地や山林が損なわれるのを防ぐため,建築物の新築、改築、用途の変更を行うことは,原則として許されません。
ただ,過去には,既存宅地制度というものがあり,市街化調整区域とされた(線引き)時点で既に宅地となっていたなどの要件を満たした土地については,建築が可能でしたが,この制度は,平成13年5月18日をもって廃止され,現在は,この制度は利用できず,建築が相当程度制限されるに至っております。
ですから,過去には建物の建築はできたが,今はできない,ということもあり得ます。

2,宅建業者の重要事項説明義務
宅建業者は,宅建業法35条により,都市計画法の規制についての説明義務がありますので,市街化調整区域内の宅地の売買契約の仲介を委託されたときは,売買対象土地が,建て替え可能な土地かどうかを説明する義務があり,それに違反して委託者に損害を与えたときは,損害賠償をしなければなりません(宮崎地裁平成12.10.11判決他多数)。

参照:
宅地建物取引業法35条1項
(重要事項の説明等)
「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
 2号 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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