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不動産 宅建業者の瑕疵担保責任

2014年1月25日 公開 / 2022年8月20日更新

テーマ:宅建業法

コラムカテゴリ:法律関連

Q 当社は,宅建業者です。当社が所有している中古の建物を宅地と共に売りに出そうと思っていますが,建物が古いため,瑕疵担保責任が問題になることが心配です。
なにか良い方法はありませんか。

A 
1,売買契約における瑕疵担保責任は「隠れた瑕疵」について生ずるもの
売買契約における売主には,民法570条.566条3項により,売買の対象物に「隠れた瑕疵」がある場合,瑕疵担保責任があります。「隠れた瑕疵」とは,通常の注意では発見できない欠陥のことです。

2,瑕疵担保責任免除特約と宅建業者
一般には,瑕疵担保責任を免れる特約は有効ですが,宅建業者が売主の場合は,宅地建物取引業法第40条第1項「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条 において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。」と規定していますので,瑕疵担保責任を負わないという契約をしても無効になります。

しかしながら,宅建業法第40条第1項は,同法第78条第2項「第33条の2及び第37条の2から第43条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。」により,宅建業者間での売買においては適用されません。そのため,買主も宅建業者であれば,当事者間での合意により瑕疵担保責任を負わない旨を定めても有効です。

2,瑕疵の明示により担保責任を生じなくすること
売主が瑕疵担保責任を負う場合において,その責任は,あくまで売買の対象物についての「隠れた瑕疵」です。建物が老朽化して,雨漏りがあること,建物の傾きがあること等,明白に分かる不具合の場合は,隠れた瑕疵ではありません。ですから,売買契約の際に,具体的な不具合を契約書上に列挙し,そこに記載した瑕疵については,責任を負わないことを書いておけば,その不具合については瑕疵担保責任を問われることはありません。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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