マイベストプロ岡山
菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(きくちとしお) / 弁護士

弁護士法人菊池綜合法律事務所

コラム

個人情報と「ロケーションハラスメント」

2019年12月16日

テーマ:労働

コラムカテゴリ:法律関連

個人情報と「ロケーションハラスメント」
1,意味
ロケーションハラスメントとは、携帯電話やスマートホンなどの位置情報サービスを悪用し、特定の利用者の居場所を監視したり、プライバシーを侵害したりすることをいい、「ロケハラ」と略すこともあります。

2,会社が 従業員の位置情報を得る行為は許されるか?。

(1)従業員の社内メールの私的利用を監視していたことがプライバシー権の侵害に当たるか否か判断した東京地判平成13年12月3日の例
 「従業員が社内ネットワークシステムを用いて電子メールを私的に使用する場合に期待し得るプライバシーの保護の範囲は、通常の電話装置における場合よりも相当程度低減されることを甘受すべきであり、職務上従業員の電子メールの私的使用を監視するような責任ある立場にない者が監視した場合、あるいは、責任ある立場にある者でも、これを監視する職務上の合理的必要性が全くないのに専ら個人的な好奇心等から監視した場合あるいは社内の管理部署その他の社内の第三者に対して監視の事実を秘匿したまま個人の恣意に基づく手段方法により監視した場合など、監視の目的、手段及びその態様等を総合考慮し、監視される側に生じた不利益とを比較衡量の上、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合に限り、プライバシー権の侵害となると解するのが相当である」。との基準を示し、この件ではプライバシー権の侵害にはならないと判示しました。

(2)自動車のナビを用いて雇用主が,従業員の位置情報を把握していたことがプライバシー権の侵害当たるか争われた東京地判平成24年5月31日の例
 「緊急連絡や事故時の対応のために当該従業員の居場所を確認することを目的とする場合には,相応の合理性もあるということができ」る。
「原告が労務提供が義務付けられる勤務時間帯及びその前後の時間帯において,被告が本件ナビシステムを使用して原告の勤務状況を確認することが違法であるということはできない。」
「反面,早朝,深夜,休日,退職後のように,従業員に労務提供義務がない時間帯,期間において本件ナビシステムを利用して原告の居場所確認をすることは,特段の必要性のない限り,許されないというべきである」。
との基準が示され,雇用主によるプライバシー権侵害が否定されています。

3,会社が気を付けること →  社内規程の策定
 個人情報保護法の改正に当たりすでに廃止されたものではありますが,経済産業省「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」(平成28年12月))が従業者に対するオンラインによるモニタリングを行うに当たり、下記の点に留意すべき旨規定していました(個人情報保護法22条(旧法21条)に関連する項目)。

・モニタリングの目的、すなわち取得する個人情報の利用目的をあらかじめ特定し、社内規程に定めるとともに、従業者に明示すること。
・モニタリングの実施に関する責任者とその権限を定めること。
・モニタリングを実施する場合には、あらかじめモニタリングの実施について定めた社内規程案を策定するものとし、事前に社内に徹底すること。
・モニタリングの実施状況については、適正に行われているか監査又は確認を行うこと。

このガイドラインを踏まえると,従業員の位置情報の取得については,社内規定を設けることが望ましいと思われます。位置情報を取得が可能な管理者登録も,このガイドラインに沿うものですので,社内規程に定めておかれるとよいでしょう。

ご相談は弁護士法人菊池綜合法律事務所へ!

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

Share
関連するコラム

菊池捷男プロのコンテンツ