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読みが「そのほか」である語句を, 「その外」と書くか,「そのほか」と書くか?

2016年9月26日

テーマ:公用文用語

コラムカテゴリ:法律関連

公用文では,「そのほか」と書くのが正解になります。
「その外」と書くと,「外」は当て字になるからであると考えられます。

 すなわち,平成22年11月30日付け内閣告示第2号「常用漢字表」には,「外」が搭載され,「ほか」という字訓が与えられ,語例として「その外」が取り上げていますので,これだけを見ますと,「そのほか」は「その外」と書くべきものと考えられますが,同日付の内閣訓令第1号「公用文における漢字使用等について」の別紙1(2)キでは,「ほか(そのほか・・・,特別の場合を除くほか)」は,平仮名で書くものとされているからです。

何故か?
「常用漢字表」には,「その外」は「その他」と同義語であることが付記されていますが,この2語が同義語だとすると,「外」と「他」は同義語ということになりますが,漢字である「外」と漢字である「他」が同義語はいえないでしょう。

となれば,「その外」の「外」は漢字固有の意味を宿しているとはいえませんので,漢字固有の意味を宿していない漢字は使うべからず,と考えると,「その外」と書くと,当て字になってしまいます。
かくして,「その外」は当て字使用ということになるので,「公用文における漢字使用等について」の別紙1(2)キでは,「ほか(そのほか・・・,特別の場合を除くほか)」は平仮名で書くものとされたものと思われます。

なお,「そのほか」と意味が同じ「その他」は「そのた」と読み,漢字で「その他」と書きます。
さらになお,「外」を「ほか」と読む語例としては,「殊の外」や「部長,課長外3名」などがあり,これらの語例では,「ほか」と読んで「外」と書くことになっています。

参照:
「常用漢字表」
  外   字音・・・ガイ   (用例:外出,海外,除外)
             ゲ   (用例:外科,外題,外道)
       字音・・・そと   (用例:外,外囲い)
            ほか   (用例:外,その外)
                     ←→ 他
            はずす  (用例:外す,踏み外す)
            はずれる (用例:外れる,町外れ)

「公用文における漢字使用等について」
別紙
  1(2)キ 次のような語句を,( )の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。
   例   ほか(そのほか・・・,特別の場合を除くほか)

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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