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相続税対策① 暦年贈与の活用

2014年3月31日 公開 / 2018年8月8日更新

テーマ:相続相談

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き相続税

1,贈与税の計算方法(平成30.8.8現在の数字にしています。)
贈与税の課税価格は,その年中(1月1日から12月31日までの1年間)において贈与により取得した財産の価額の合計額(相続税法21条の2)になりますが,基礎控除額が110万円ありますので,それを差し引いた金額に,次の税率を適用して計算されます

(平成30.8.8現在)。
基礎控除額控除後の課税価格  税率   控除額
200万円以下        10%    
300万円以下        15%   10万円
400万円以下        20%    25万円
600万円以下        30%    65万円
1000万円以下        40%   125万円
1500万円以下       45%    175万円
3000万円以下        50%    225万円
3000万円超        55%    400万円

2,贈与税がかからない贈与の例
【毎年110万円を10年間続けた場合】
贈与額  110万円×10年=1100万円
贈与税額     0円×10年=0円
相続税の減額分 1100万円×0.2=220万円(限界税率が20%の場合)
差引節税額 220万円-0円=220万円

3,贈与税がかかる贈与の例
【毎年300万円を10年間続けた場合】
贈与額  300万円×10年=3000万円
贈与税額19万円×10年=190万円
相続税の減額分  3000万円×0.2=600万円(限界税率が20%の場合)
差引節税額 600万円-190万円=410万円

4,限界税率に注目
相続税の限界税率が相続税の限界税率より低い場合,贈与税を納めても相続税の課税価格を下げるための贈与をした方が,メリットが大きいことが分かります。 


5,最高税率と限界税率の違い
*最高税率とは,贈与税や相続税などの超過累進税制の下で,数段階に分かれた段階税率中,最も高い税率(下の表は贈与税の段階税率を書いたもので,最高税率は50%)をいいます。
*限界税率は,上記段階税率のうち,当該納税者にとっての最高税率をいいます。

基礎控除額控除後の課税価格  段階税率   最高税率と限界税率の説明
200万円以下        10%    
300万円以下        15%   
400万円以下        20% (贈与額410万円超510万円以下の受贈者にとっての限界税率)  
600万円以下        30%   
1500万円以下        40%   
3000万円以下        50%
3000万円超         55% (贈与税の最高税率)

6,相続開始前3年以内の贈与は,贈与として認められない
相続開始前3年以内の贈与は,贈与はなかったものとして扱われます(例外はあります)ので,暦年贈与を相続税対策に使う場合は,前もって計画的にすべきことになります。

7,子供の名義に預金しておいただけでは,贈与とはみなされない
贈与は,贈与者と受贈者との契約によって,財産の無償の移転がなされることですので,親が子の名義で預金していただけでは,贈与があったとはみられません。
ですから,できれば,親から子又は祖父母から孫に,基礎控除額を超える贈与をして,子供から贈与税の申告をして若干でも贈与税を納税していた方がよいでしょう。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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