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弁護士と格言 物の像にとらわれた観念の惑い

2014年3月15日

テーマ:歴史と偉人と言葉

コラムカテゴリ:法律関連

1,遺言執行者は相続人の代理人であるという規定の意味
 民法1015条は「遺言執行者は相続人とみなす。」規定しています。
この規定から,遺言執行者は相続人の代理人である,と考える弁護士が,結構な数,います。しかし,この考えは,「物の象(かたち)にとらわれた観念の惑い」によるものです。
 民法1015条の意味は,遺言執行者がした法律行為(遺言執行)の効果が,相続人に帰属することを確認した規定でしかありません。遺言執行者が,相続人の代理人でないことは,遺言執行者が相続人の廃除の申立てができることを考えるだけで,明らかです。

2,先入主
 しかし,そこまで考えない人は,民法1015条の字句を見て,遺言執行者は相続人の代理人であると考えるのです。
人は,外形に惑わされて思い込むことが,結構あります。
このような外形に惑わされての思い込みを,作家山岡荘八は,「物の象にとらわれた観念の惑い」と表現しています。
いってみれば,人のなり,外形,物の外形などから,中味を決めつけてしまう先入主のことです。

弁護士は,外形に目を惑わされることなく,外形からは伺うことのできない,真実にせまる目を持たねばなりません。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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