コラム
自社株買いは、時限爆弾とのこと
2022年1月17日 公開 / 2022年4月5日更新
私は、2020-03-27 付けコラムで、「自社株買いは、利益還元行為ではなく、自傷行為ではないのか?」という題名をつけて、上場会社がする自社株買いを批判しましたが、今般「GAFA next stage 」スコット・ギャロウェイ著:(発売日:2021/12/03 出版社: 東洋経済新報社)と題する書籍に、次のような一文があるのを発見しました。
すばわち、
「この数年、自社株買いが話題になっている。これは株価を上昇させ、経営上層部に巨額のボーナスをもたらす。だが、ビジネスには何の足しにもならない。不景気になれば、経営陣は自社株買いをしたことを後悔するはずだ。経営陣は、自社株買いに使ったキャッシュを取り戻したいと思うだろうが、後の祭りだ。自社株買いは、短期の投資リターンを高めるために企業の将来を犠牲にする時限爆弾だ。」というものです。
私が2020-03-27 付けコラムで、自社株買いを批判したのは、これは一部の株主の利益にはなっても多くの株主の利益にはならず、逆に不利益になる側面を述べたものでしたが、この書籍は自社株買いをする経営陣に巨額のボーナスをもたらす側面を取り上げているのです。その仕組みは解説されていませんでした。
2022/4/5追補
本日付日本経済新聞(夕刊)の「ウオール街ラウンドアップ」によれば、「バイデン政権が自社株買いの実施企業への課税や規制強化を掲げた」と報じていますが、これは納得出来る措置だと思います。理由は、上場会社が自社株買いに資金を使わずその資金を配当に回すことにすれば、配当金に課税されるわけですから、自社株買いにも課税しなければ片手落ちになると思えるからです。
自社株買いには、問題があるということだと思います。
関連するコラム
- 反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果(判例1) 2016-09-14
- 景品表示法違反② 課徴金制度の導入と初適用事例 2017-05-27
- ポレートガバナンス・コード改革が動き始めた② 代表取締役の解職をクーデターというのは、昔の話 2018-07-10
- 改正個人情報保護法の狙い ビッグデータを活用する新たな産業の創出 2017-05-31
- 従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効 2017-05-26
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。