コラム
4.日本の上場会社は米機関投資家の要求に応えているか?
2022年1月15日
1.会社の組織(機関設計)を指名委員会等設置会社にすること → 制度の導入はしても、成果を上げることは難しいのではないか。
この制度が導入されたのは、2002年の商法改正の時。これが2003年施行されるや、東芝が一番先に、採用。ために東芝は、コーポレートガバナンスの優等生と評される。しかし、その東芝に、不正会計が発覚したのが、2015年のこと。マスコミでは、東芝の組織的に利益を水増しした不正会計問題として糾弾される。これにより東芝では、その時点の代表取締役社長を含め歴代3名の代表取締役以下、半数を超える取締役の引責辞任を引き起こしただけでなく、当時の監査法人も行政処分を受けるという大事件に発展しました。
つまり、委員会設置会社(現行法での指名委員会等設置会社)が良い機関設計の会社だとしても、仏作って魂しれずでは、意味のない制度ということになります。
なお、この機関設計は、現在の上場会社では2%前後しか採用していないほどの不人気な制度になっております。
2.いわゆる政策保有株式を放出すること
株主の要求に押されてか、少しずつ政策保有株式の放出は進んでいるようです。
3.増配
これも増えてきております。また、配当性向を具体的な目標にして配当政策を行っている会社も増えております。
一般株主の中には、今年は配当額がずいぶん増えたなあ、と感じた人も多いのではないかと思われます。
4.経営陣の報酬に、業績連動型のインセンティブ報酬を採用すること
これも増えつつあります。
5.労働慣行を変えること
技術革新が叫ばれている中、年功序列型賃金制の慣行を廃して、能力給・職務給を採用する企業も増えております。
日本は、アメリカと違って、労働者を会社の都合だけで解雇することは、原則として許されません。
しかし、会社の業績向上に寄与した労働者を優遇したいと思う経営者が増えており、ここに差を設けることは原則として有効ですので、能力給(職能給を含む)を重視する会社は増えることが予想されます。
ただ、手続き的には、整理解雇の四要件に倣って、要件や基準を明確にしなければなりません。
この問題は。これからの労働法実務の課題にもなるでしょう。
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