マイベストプロ岡山

コラム

第4 章 相続の承認及び放棄 1 期間

2018年12月12日

テーマ:令和時代の相続法

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

第4 章 相続の承認及び放棄

1 期間

【条文】
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

【解説】
 第915条は、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。と規定していますが、3か月以内に行動を起こすことで、することは相続放棄か限定承認かに限られます。

 単純承認は、何もしないままこの期間が経過するとその効果が生ずるのですから、なすべきことはありません()。

「自己のために相続の開始を知った時」の意味
 「自己のために相続の開始があることを知った時」というのは、①被相続人が亡くなったこと、及び②被相続人に相続財産があることの双方を知った時の意味です。

 ですから、被相続人が亡くなったことは知っていたが、相続財産(特に相続債務。なお、相続債務も相続財産です。)があることは知らなかったという場合は、「相続の開始があることを知った時」にはなりません。
 ですから、実務で多い事例ですが、被相続人が亡くなったことは知っていたが、格別財産を残していた様子もないので、そのままにしていたら、数年も経って、債権者から相続債務の支払を督促されて、初めて、被相続人に債務があることを知ったというケースの場合は、債権者からの督促状を受領した時から3か月以内なら、相続放棄が可能です。

2 相続財産の調査
 期間内に、相続放棄をするか限定承認をするか、はたまた単純承認をするかという決断ができない場合は、期間の伸長を家庭裁判所に請求できます(915②)。

なお、相続人Aが相続の承認又は放棄をしないで死亡したときのAの相続人がする相続放棄に関する第916条と、相続人が未成年者又は成年被後見人であるときにする相続放棄に関する第917条は、レアなケースですので説明を割愛します。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

Share

関連するコラム

菊池捷男プロのコンテンツ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ岡山
  3. 岡山の法律関連
  4. 岡山の遺産相続
  5. 菊池捷男
  6. コラム一覧
  7. 第4 章 相続の承認及び放棄 1 期間

© My Best Pro