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7 遺産分割の対象にならない財産

2018年12月11日 公開 / 2018年12月12日更新

テーマ:令和時代の相続法

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 退職 手続き退職金制度 導入

遺産分割の対象にならない財産
次の財産は、遺産分割の対象にはなりません。
(1)遺産(相続開始時の財産)
ア 遺産分割までの間に一部の相続人が処分した財産
 ただし、処分した相続人以外の全相続人が同意した物はこの限りでありません。
イ 可分債権

(2)遺産でもない財産

ア 生命保険金
その理は、次の判例が述べております。
【判例引用】
最高裁判所第一小法廷平成14年11月5日判決
 死亡保険金請求権は,指定された保険金受取人が自己の固有の権利として取得するのであって,保険契約者又は被保険者から承継取得するものではなく,これらの者の相続財産を構成するものではないというべきであり,また,死亡保険金請求権は,被保険者の死亡時に初めて発生するものであり,保険契約者の払い込んだ保険料と等価の関係に立つものではなく,被保険者の稼働能力に代わる給付でもないのであって,死亡保険金請求権が実質的に保険契約者又は被保険者の財産に属していたものとみることもできないからである。

イ 死亡退職金
次の判例がその理を述べています。
【判例引用】
最高裁昭和60年1月31日(一小)判決
(退職金)規程6条は、死亡退職金の受給権者の範囲及び順位につき民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは著しく異なつた定め方をしているのであり、これによつてみれば、右規程の定めは、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するものと解するのが相当である。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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