コラム
会社の従業員が会社を代理できる場合
2018年10月5日
Q 当社は、物販業をし、数店舗に従業員を置いていますが、当社が対外的な取引をする場合、当社の代表取締役でないと契約ができないということになると、大変不便です。
無論、各店舗に支配人を置けば、支配人が当社の代理人として契約できる場合のあることは知っていますが、支配人ではない従業員の場合で、当社の代理人としての契約ができるケースはないのでしょうか?
A あります。
商法25条に「商人の営業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。」という規定があり、また、商法26条に「物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。」と規定しているからです。
なお、商法の適用を受けない法人の場合は、次のようにするといいでしょう。
すなわち、法人が対外的な契約を結ぶ場合、内部的に、特定の役員又は従業員に対し、一定の法律行為をする権限を付与すれば、その役員又は従業員は、法人の代理人として、与えられた権限内の行為ができますので、法人にあっては、各支店などの特定の役職の人に、特定の権限を付与する規則・規程を定めておき、それに従って、その特定の人に、特定の事項についての代理行為をさせるようにする方法です。
その場合の、代理人となる役職の人は、法人の代理人という表示をしなくても、・・・法人のその役職と氏名を表示するだけで効果は生じます。
ただ、不動産の売買契約など重要な法律行為や金銭の借入などは、一般には、代理行為に含めるべきではないと思います。
関連するコラム
- 改正個人情報保護法の狙い ビッグデータを活用する新たな産業の創出 2017-05-31
- ポレートガバナンス・コード改革が動き始めた② 代表取締役の解職をクーデターというのは、昔の話 2018-07-10
- 景品表示法違反② 課徴金制度の導入と初適用事例 2017-05-27
- 従業員との間の競業避止契約は、代償措置がとられていないと、無効 2017-05-26
- 独占禁止法違反 返品が、優越的地位の濫用に当たる場合と、当たらない場合、それぞれの要件 2017-05-29
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。