コラム
法律の条文を書き写しただけの契約条項は無意味
2016年3月29日 公開 / 2016年3月30日更新
契約書ひな形の条項に
第○○条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
2前項により契約を解除した場合は,相手方に対し損害賠償の請求ができる。
と書かれた条文がありました,1項は民法541条の規定を書き写しただけのもので,また,2項は民法545条3項を書き写しただけのものでしかありません。
法律の条文を書き写しても,損害の範囲について,争いは生じます。
ここでは,争いなく,損害賠償請求額を算出できるほどの,条文の書き方をしなければ,契約書の意味はありません。
例えば,
第○○条 賃借人に次の事由が生じた場合は,賃貸人は,催告をしないで,本件賃貸借契約を解除することができる。
①・・・
②・・・
2賃貸人は,前項により本件賃貸借契約を解除した場合は,直ちに,賃借人に対し,残存賃貸借契約期間内に生ずる賃料額と同額(ただし,3年間を限度とする。)の損害賠償の請求をすることができる。
というような書き方です。
これだと,損害賠償請求額がすぐに計算できることになります。
契約書を書くということは,債務不履行が生じたときに,争いなく,損害賠償請求額の計算ができるほどの,内容を書くということなのです。
要は,
⑴法律の条文は,抽象的であるため,具体的な紛争が生じた場合に,法律の解釈で争いが起こるもの。
⑵その争いを未然に防ぐのが契約書の役目。
⑶であるから,契約書は,具体的な権利義務を定めるもの。
になるのです。
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