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契約書 売買対象物を買戻すという特約の有効期間

2014年11月6日 公開 / 2014年11月7日更新

テーマ:契約書

コラムカテゴリ:法律関連

Q 当社は,美術商を営んでいる会社です。先日,当社の顧客が,20年前に当社から購入した美術品と,当時の営業担当者が,その裏面に「商品はいつでも購入された金額で買い戻します。」と書き署名押印した名刺を持参され,当社に,その美術品を買い取ってほしいと言って来ました。買い取らなければならないのですか?

A 買戻請求権の行使期間が経過していますので,買い戻す義務は消滅しています。
民法580条は,売買契約の際の買戻しの特約をした場合の規定ですが.,その内容は次のとおりです。

民法580条(買戻しの期間)
 買戻しの期間は、十年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、十年とする。
2 買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。
3 買戻しについて期間を定めなかったときは、五年以内に買戻しをしなければならない。

 この条文で明らかなとおりですが,買戻期間の約束をしていなかった場合は5年間,買戻期間を定めた場合で最大で10年間が,買戻請求権の行使期間です。
この規定は,強行規定とされ,10年を超える期間を定めても,その超える部分は,約束をしても無効になる,というのが判例(大審院昭和3.11.30判決)です。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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