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相続と登記 13 遺贈によって取得した不動産は、登記をしない場合、第三者に対抗できない

2012年9月12日

テーマ:相続相談

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

Q 叔父は、私にA宅地を遺贈するという遺言書を書いてくれていたのですが、私がそれを登記しないでいた間に、叔父の二男の債権者が、叔父の二男の法定相続分を差し押さえてしまいました。私は、その債権者に、A宅地は私のものだということはできませんか?
なお、私は叔父の相続人ではありません。

A できません。次の判例があるからです。

【判例】最判昭39.3.6
不動産の所有者が右不動産を他人に贈与しても、その旨の登記手続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、所有者は全くの無権利者とはならないと解すべきところ、遺贈は遺言によつて受遺者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限とするものではあるが、意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じないものと解すべきである。そして、民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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