コラム
2021/02/05 リスク管理システム整備義務
2021年2月5日 公開 / 2021年2月6日更新
2021/02/05 リスク管理システム整備義務
能者は座して千里の先を見るというが、会社の取締役には、千里の先はおろか、地球の裏側の“今そこにある危機”の見える化を、システムとしてつくる義務がある。
これがリスク管理システム(内部統制システム)の整備義務である。
この理は、大和銀行事件大阪地裁判決(大阪地方裁判所平成12年9月20日判決)があきらかにし、その後、会社法と施行規則の中で明文化された。
この判決は、大和銀行ニューヨーク支店で、一行員が上司に隠れてアメリカ財務省証券の簿外取引をし、大和銀行に800億円を超える損害を与えた事故については、同社の取締役に、そのようなリスクを事前に発見し阻止するシステムをつくっておくべき義務があったのにそれをつくっていなかったことが原因であり責任であるとして、頭取以下10名の取締役に約800億円の損害賠償を命じた判決だ。
昨日この日記に書いた三菱電機の設計不正のことに、話題を戻したい。
日経の記事によると、①三菱電機は、法規制に対する違反であることを知りながら顧客である自動車メーカーに出荷し続けていたこと、②今後、リコールは避けられず、それによる賠償金の支払い、③メーカー側の生産停止分の賠償、④失注のリスク(顧客との取引の停止)、⑤隠蔽工作による信用失墜のおそれまで指摘されている。
さらに言えば、⑥日本の株式市場への信頼をもキズつけるものがある
これほどの悪意ある設計不良を、三菱電機はしたわけだが、私は、ガバナンスの面から、同社の取締役、なかんずく社外取締役に問いたい。はたしてリスク管理システムを整備し、正しく運用する責任を果たしているのか?と。
明日の日記には、取締役にはリスク管理システム整備義務だけでなく、クライシスマネジメントを適切にする義務もあること、および取締役の義務が、他の法人や組織、したがってロータリーの運営責任者にも、課されていることに触れる予定だ。
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