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遺産分割に関する最高裁判決まとめ

2017年1月20日

テーマ:相続判例法理

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 投資信託

・預貯金債権は,可分債権ではないので,遺産分割対象の財産になる
(平成28年12月19日最高裁判所大法廷決定)

・預貯金を遺産分割前に払い戻す必要がある場合で,共同相続人全員の同意を得ることができないときは,仮分割の仮処分(家事事件手続法200条2項)等を活用するべきである
(平成28年12月19日最高裁判所大法廷決定補足意見)

・可分債権(例:交通事故による損害賠償請求権)は,各相続人が相続分の割合で個別に請求することができる
(平成28年12月19日最高裁判所大法廷決定補足意見・,最高裁第一小法廷
昭和29年4月8日判決・最高裁判所第三小法廷平成16年4月20日判決)

・遺産分割前に保存行為として相続人全員の法定相続分による共有登記のある不動産は,遺産分割の対象になる
(最判昭和62.9.4)。

・相続開始後遺産分割の時までに,遺産である不動産から生ずる地代や家賃など法定果実は,遺産分割の対象にはならず,各相続人が相続分に応じて取得することになる
(最判平成17.9.8)

・生命保険金は受取人固有の財産であるから遺産分割の対象にはならない
(最判平成14.11.5)。

・株式,投資信託,国債は,遺産分割の対象になる
(最高裁判所平成26年2月25日判決)

・特定の相続人へ特定の財産を「相続させる」と書いた遺言の対象になった財産は,遺産分割の対象にはならない
(最高裁二小平成3年4月19日判決)

・生命保険金は,受取人となった相続人と他の共同相続人との間に不公平が生じ,その不公平が,到底是認することができないほど著しいものであるときは,特別受益となる
(最高裁判所平成16.10.29)。

・家庭裁判所が代償分割の審判をするには,特別の事由と金銭債務を負担させる相続人にその支払能力があることを要する
(最高裁一小法廷平成12年9月7日決定)

・遺産確認の訴えは,共同相続人全員が当事者として関与し,その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟である
(最高裁判所第三小法廷平成元年3月28日判決)

・共同相続人間において具体的相続分(価額)又は具体的相続分の遺産に対する割合の確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものであるから不適法である
(最高裁判所第一小法廷平成12年2月24日判決)

・いったん成立した遺産分割協議を合意解除することは可能
(最高裁判所平成2年9月27日第一小法廷判決)

・やり直し遺産分割協議で不動産を取得した相続人には,不動産取得税は発生しない
(最高裁昭和62年1月22日第一小法廷判決)

・遺産分割協議の不履行を理由に,遺産分割協議を解除することはできない
(最高裁判所平成元年2月9日第一小法廷判決)

・遺産分割協議は詐害行為になりうる
(最高裁判所第二小法廷平成11年6月11日判決)

・しかし,相続放棄は,詐害行為にならない
(最高裁第二小法廷昭和49年9月20日判決)

・遺産の分割の方法を定めた遺言は,代襲相続人には及ばない
(最高裁判所第三小法廷平成23年2月22日判決)

・財産全部についての遺産の分割の方法を定めた遺言は,債務も全部,受遺相続人が相続する。
(最高裁判所第三小法廷平成21年3月24日判決)

・登記原因を「遺産分割による代償譲渡」とする所有権移転登記の申請は有効
(最高裁判所第一小法廷平成20年12月11日判決)

・遺産から生ずる果実は,遺産分割時までは,各相続人に相続分に応じて帰属する
(最高裁判所第一小法廷平成17年9月8日判決)

・被相続人の自宅に住んでいた相続人は,遺産分割時までは無償で居住できる(最高裁判所平成8年12月17日第三小法廷判決)

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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