コラム
スーパーマーケットへ出店するテナントが,業務委託契約とされる要件
2016年8月16日 公開 / 2017年9月8日更新
1 賃貸借契約か業務委託契約か?
スーパーマーケット経営会社と,そこに出店するテナント間の出店契約が,「賃貸借契約」とされるときは,テナントは借地借家法上の保護を受けますので,スーパーマーケット経営会社には不利になります。
そこで,テナント契約が「賃貸借契約」ではなく「業務委託契約」とされるための要素となる部分を,書いておきますと,
甲・・・スーパーマーケット
乙・・・テナント
甲と乙の間の契約を「業委託契約」としたうえで,下記の定めをするとよいでしょう。
①スーパーマーケットにおける販売管理費は全部,甲が負担する。
➁乙の営業にかんする許認可は,甲が得る。
③顧客の代金決済方法は,甲が管理するレヂで行う。
④乙への委託報酬は,甲から乙に一定率の歩合金で支払う。
⑤甲の指示により,乙の営業場所を移動させることができる。
⑥乙が使用する従業員は,甲が審査し,同意したものに限る。
⑦商品の包装紙は甲の商号の入ったものにする。
逆に,次のような条項にした場合は,甲と乙間の契約を「業務委託契約」としたとしても,「賃貸借契約」と解されることになるでしょう。
①乙の営業部分の販売管理費は全部,乙が負担する。
➁乙の営業に関する許認可は,乙が得ている。
③顧客の代金決済方法は,乙が管理するレヂで行う。
④乙は,固定家賃を甲に支払う。
⑤乙の営業場所を移動させることはできない。
⑥乙が使用する従業員は,甲の意思に関係なく乙が採用する。
⑦商品の包装紙は乙の商号の入ったものにする。
2 賃貸借契約か業務委託契約かの違いの効果
借地借家法の適用を受けるか受けないかの効果です。
なお,業務委託契約の場合でも,委託者からの一方的な契約解除は,「継続的契約の解約」の法理により,一定の制限は受けますが,賃貸借契約におけるような,強い制限までは受けません。
関連するコラム
- 親子の間の土地使用貸借 2013-07-26
- 賃借人が賃借建物内で死亡していたとき 2012-01-15
- 賃貸借契約と転貸借契約はリンクするか? 2010-09-04
- 市街化区域の農地についての小作契約の解約と適正な離作料 2014-01-22
- 結ぶべきは、賃貸借契約か使用貸借契約か? 2013-12-27
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。