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結ぶべきは、賃貸借契約か使用貸借契約か?

2013年12月27日 公開 / 2017年9月8日更新

テーマ:不動産法(賃貸借編)

コラムカテゴリ:法律関連

Q 質問
 地域の住民の好意により、当地区(部落。地方自治法上の法人)が土地を借りて公民館を建築することになりましたが、土地の使用は、賃貸借契約によって結ぶべきか、使用貸借契約によって結ぶべきが迷っています。それぞれのメリット、デメリットを教えてください。
A 
1,賃貸借契約契約と使用貸借契約の違い
  賃貸借契約は賃料を支払って土地を借りる契約、使用貸借は、無償で土地を借りる契約ですが、当事者間で定めた金額が、極端に低廉であって「土地の使用収益の対価」として意味を持つと認められない場合には,有償とはいえないと解されています。例えば,最判昭和35年4月12日は,通常の家賃に比べて20分の1ほどの額(毎月1000円)で妻の叔父に建物を使用させていた事案で,当該支払は「謝礼」であるとして,使用貸借であると判示しています。また,最判昭和41年10月27日は,固定資産税を支払うとの合意があった事案(固定資産税の税額が適正賃料の4分の1程度)において,当該不動産の使用関係を使用貸借であると判示しています。

2,期間の保障
 前述のように、賃貸借契約と使用貸借契約の違いは、賃料の支払い義務がある(賃貸借契約の場合)か、無償で土地を使用できる(使用貸借の場合)かの違いですが、期間については、土地賃貸借契約の場合には借地借家法の適用があり、使用貸借契約の場合には借地借家法の適用はありません。
借地借家法の適用がある土地賃貸借契約は、最初の賃貸借契約期間は30年以上と定められており(借地借家法3条)契約機関満了後、契約の更新が可能です。他方,使用貸借契約は,借地借家法の適用を受けることはできませんが、質問のようねケースでは、建物の耐用年数一杯は借りることができますので、賃貸借契約と使用貸借契約とで期間の点は大きくは変わらないものと考えられます。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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