コラム
遺産分割⑦ 使途不明金問題
2015年2月12日
1,しばしば生ずる使途不明金問題
遺産分割の調停では、使途不明金問題が提起されることはしばしばあります。
被相続人の生前、被相続人の財産、特に預金、を管理していた相続人が、被相続人の亡くなる前の時点で、その預金を引き出し、使った、とか、隠匿した、とか言われる問題です。
2,使途不明金と遺産分割との関係
(1)使途不明金が、隠匿されている場合
その隠匿された財産は、被相続人の財産ですので、遺産分割の対象になります。
(2)使途不明金が、被相続人に無断で、特定の相続人又は第三者によって費消されたものである場合
その場合は、被相続人が使途不明金を費消した者に対し、損害賠償請求権又は不当利得請求権を有することになりますので、その請求権は、相続財産になり、遺産分割の対象になります。
(3)使途不明金が、被相続人から特定の相続人に生存贈与されたものである場合
この場合は、相続人が特別受益を受けたことになりますので、被相続人が特別受益の持戻し免除の意思表示をしていない限り、遺産分割の際の具体的相続分を算出するときに持戻し計算がなされ、生前贈与を受けた相続人は、その特別受益分だけ、具体的相続分が減額されることになります。
(4)あるはず論について
使途不明金を特定できず、「他にも相続財産があるはずだ。」という主張が、一部の相続人からなされた場合、裁判所は、採用しません。そのような使途不明金はないものとして、調停や審判が進められます。
要は、使途不明金の存在と特定は、使途不明金があると主張する相続人に立証責任があるのです。
関連するコラム
- 相続相談 41 相続分の譲渡と贈与税 2012-08-21
- 相続と登記 9 遺留分減殺請求と登記 2012-09-08
- 遺言執行者④ 相続財産目録調整義務続き➁ 2015-01-25
- 相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴 2013-05-22
- 相続相談 相続放棄と未支給年金の取得 2013-09-10
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。