コラム
遺言執行者③ 相続財産目録調整義務の続き
2015年1月24日 公開 / 2015年2月2日更新
1,遺言書が、推定相続人の廃除の場合
人は、誰でも、相続人になろうとする者が、財産を相続させるにふさわしくない非行をしていた場合、推定相続人の廃除の請求ができますが、民法893条によって、遺言書ですることもできます。例えば、「私甲は、長男丙が私を虐待したので、相続人から廃除する。」というような遺言書の場合です。この場合は、遺言執行が財産に関するものではないため、遺言執行者には、相続財産調整義務はありません。
参照:
民法892条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
民法893条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
2,遺言書が認知の場合
認知は、遺言書によってもできます。この場合は、遺言執行者から認知の届出がなされることになっています。 この場合も、遺言執行が財産に関するものではないため、遺言執行者には、相続財産調整義務はありません。
参照:
民法
第781条 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。
戸籍法64条 遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から10日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、第60条又は第61条の規定に従つて、その届出をしなければならない。
関連するコラム
- 遺言執行者④ 相続財産目録調整義務続き➁ 2015-01-25
- 相続と登記 9 遺留分減殺請求と登記 2012-09-08
- 相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴 2013-05-22
- 相続相談 相続放棄と未支給年金の取得 2013-09-10
- 相続相談 41 相続分の譲渡と贈与税 2012-08-21
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。