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不動産 中途解約を認める特約であっても,その中の公序良俗違反になる部分は無効になる

2014年7月25日 公開 / 2017年9月8日更新

テーマ:不動産法(賃貸借編)

コラムカテゴリ:法律関連

1,問題点
長期間の賃貸借契約を結んだが,中途解約が認められない場合,借主は,全期間に亘り賃料を支払う義務があるので,大きな負担になります。
そこで,違約金を支払うことで中途解約ができる違約金条項を設けたり,解約後の空室保証をするという空室保証契約を結んで,中途解約ができるという特約を設ける場合があります。

その場合の効力が問題になります。

2,違約金条項が公序良俗違反により無効とされら裁判例
東京地裁平成8年8月22日判決は,
①建物賃貸借契約において1年以上20年以内の期間を定め、期間途中での賃借人からの解約を禁止し、期間途中での解約又は解除があった場合には、違約金を支払う旨の約定自体は有効である。
➁しかし、違約金の金額が高額になると、賃借人からの解約が事実上不可能になり、経済的に弱い立場にあることが多い賃借人に著しい不利益を与えるとともに、賃貸人が早期に次の賃借人を確保した場合には事実上賃料の二重取りに近い結果になるから、諸般の事情を考慮した上で、公序良俗に反して無効と評価される部分もあるといえる。
③本件で中途解約をしたときは,約3年2か月分の賃料及び共益費相当額の違約金が請求可能な約定になっているが,これは、賃借人に著しく不利であり、賃借人の解約の自由を極端に制約することになるから、その効力を全面的に認めることはできず、1年分の賃料及び共益費相当額の限度で有効であり、その余の部分は公序良俗に反して無効と解する。
と判示しました。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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