コラム
被後見人の遺言の制限
2018年12月19日
被後見人の遺言の制限
前述のように、人は、満15歳に達すれば、遺言をすることができます(961)。その場合は、未成年後見人がいてもその同意は不要です。成年被後見人も、事理を弁識する能力を一時回復した時においては、医師二人以上の立会いがあることで遺言をすることができます(973)。
しかしながら、未成年者にしろ、成年被後見人にしろ、後見されている身の者は、その置かれた立場の弱さから、後見人に有利な遺言をしてしまう危険があります。
そのため法(第966条)は、「被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。」と定めました。ここでいう「後見の計算の終了」というのは、後見の仕事が終わった後の費用の精算が終わった後という意味です。つまり、被後見人が後見人の影響を受けなくなった後の意味です。ただ、この規定も「直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。」と定めました。法は、被後見人が、近親者のためにする遺言まで無効にする必要はないと考えたのです。
関連するコラム
- 2 祭祀に関する権利の承継 2018-12-05
- 第1章 総則 2018-12-05
- 第6章 相続人の不存在 2018-12-13
- 配偶者による使用及び収益 2019-01-11
- 2 遺産の一部についても遺産分割の申立てができる(新設) 2018-12-08
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。