コラム
第6章 相続人の不存在
2018年12月13日
第6章 相続人の不存在
相続法第6章は、相続人の不存在の場合、すなわち相続人が初めからいない場合や相続人が全員相続放棄をした場合の規定です。
この制度の利用頻度は非常に高いものがあります。
【条文】
(相続財産法人の成立)
第951条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
(相続財産の管理人の選任)
第952条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
(残余財産の国庫への帰属)
第959条 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。
【解説】
被相続人が亡くなったが、相続人がいるかいないかが不明な場合は、相続財産は法人(相続財産法人)になり、その管理の必要があるときは、利害関係人又は検察官は、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求することができます(958の3)。
実務では、特別縁故者に対する相続財産の分与の申立てをする目的で、利害関係者から、この制度が利用されています。
特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者です。
他にも、相続財産の管理人の選任は、被相続人に対する債権者が、相続財産に対する権利の行使(例:抵当権の実行)のため、申し立てる場合があります。
検察官は、相続財産が放置された場合の公益上の必要から、又は相続財産を国庫に帰属させるため、相続財産の管理人の選任を申し立てることができます。
関連するコラム
- 遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで⑪ 2019-07-16
- 遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで⑤ 2019-07-05
- 配偶者居住権の存続期間 2019-01-09
- 5 寄与分ある相続人の具体的相続分 2018-12-07
- 第3節 遺言の効力 2018-12-17
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。