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債権法改正 建物賃貸借契約の保証契約は,極度額を定めないと無効になる

2015年5月16日

コラムカテゴリ:法律関連

(個人根保証契約の保証人の責任等)
改正後の民法第465条の2 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

コメント
現行法では、貸金等根保証契約に限定されていた本条を、改正法では、すべての個人根保証契約に拡大したもの。
この改正法は、実務に大きな影響を与えることになる。例えば、今後、建物賃貸借契約を結ぶ場合、借主の連帯保証人がいるときは、極度額を定めなければ、その効力を生じないからである。

(保証人が法人である根保証契約の保証人)

民法第465条の5  保証人が法人である根保証契約において、第465条の2第1項に規定する極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。
 2 保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が民法第465条の3第1項若しくは第3項の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。
 3 前2項の規定は、求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に求償権に係る債務が含まれる根保証契約の保証人が法人である場合には、適用しない。

コメント
この規定は、保証会社の主債務者に対する求償権を、個人が根保証する場合も、極度額の定めがないと無効になるとする規定である。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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