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不動産 9 瑕疵担保責任の除斥期間の起算点

2011年9月15日 公開 / 2012年8月17日更新

テーマ:不動産

コラムカテゴリ:法律関連

1瑕疵の事実を知ったとき
売買の目的物に隠れたる瑕疵があるときは、買主は売主に対し、売買契約の解除や損害賠償の請求等ができますが、その請求は「買主が事実を知った時」から1年以内にしなければなりません(民法570条、566条3項)。

2瑕疵が白あり被害の場合
東京地裁平成18.1.20判決は、買主が、白あり被害にあることを知った後、1年以上経過して、売主の瑕疵担保責任を請求したものですが、「買主が事実を知った時」とは、たんに白あり被害を受けていることを知っただけではなく、「少なくとも白あり被害が土台の大部分に及んでおり、建物の効用が相当程度減殺されることを認識した時点」、本件では具体的には、買主が土台に大きな穴があいてふぬけとなっていることを始めて認識した時点、であると判示し、その時点から1年内に瑕疵担保請求をした買主の損害賠償の請求を認めました。

3最高裁の基準
最高裁平成13.2.22判決は、「買主が事実を知った時」を、「買主が売主に対し担保責任を追求しうる程度に確実な事実関係を認識したことを要する」としています。
すなわち、同判決は、
「売買の目的である権利の一部が他人に属・・・していたことを知ったというためには,買主が売主に対し担保責任を追及し得る程度に確実な事実関係を認識したことを要すると解するのが相当である。・・・土地の売買契約が締結された後,土地の一部につき,買主と同土地の隣接地の所有者との間で所有権の帰属に関する紛争が生起し,両者が裁判手続において争うに至った場合において,隣接地の所有者がその手続中で係争地が同人の所有に属することを明確に主張したとしても,買主としては,その主張の当否について公権的判断を待って対処しようとするのが通常であって,そのような主張があったことから直ちに買主が係争地は売主に属していなかったとして売主に対し担保責任を追及し得る程度に確実な事実関係を認識したということはできない。」というのです。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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