遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
死亡
戦前は、家督相続という制度があり、戸主が隠居したり養子に入った戸主がその家を去ると、戸主が変わって家督相続が開始することもあったのですが、現在は家督相続というものはなく、たんに財産相続のみになり、また、相続は人の死亡のみで開始することになりました。
人の死亡が確認できる場合は、医療機関の死亡推定時刻が、死亡の時とされます。
死亡とみなされる「失踪宣告」
人の死亡とみなされる制度に、失踪宣告というものがあります。
失踪宣告には、「普通失踪宣告」と「特別失踪宣告」があります。
普通失踪宣告は、所在不明になった人が7年間生死不明のときになされます。その場合は、7年間の失踪期間が満了した時に死亡したものとされます。
特別失踪宣告は、乗っていた船が沈没して行方不明になった人など死亡が強く推定されるような危難に遭った人の場合は、危難が去った後1年間生死が分からないときになされます。その場合の死亡の時期は、失踪期間満了の時ではなく、その前の危難が去った時(例えば海難事故の場合、海が静まり救出作業が開始した頃)にになります(民法31条)。
失踪宣告がなされますと、相続が開始するほか、生命保険金の請求も可能になります。