コラム
言葉 13 七歩の詩
2021年8月23日
箴言(しんげん)は、誰(だれ)でもつくることができます。必要に迫(せま)られれば、それまでの蘊蓄(うんちく)に英知(えいち)を加えて、七歩(ななほ)歩(あゆ)むだけの短い時間内でも、つくることができると思います。曹植(そうしょく)がそれをやってみせてくれたからです。
すなわち、三国志で有名な曹操(そうそう)の長男である曹丕(そうひ)が、魏(ぎ)の皇帝(文帝)になった後のある日のこと、弟の曹植に対し、七歩あゆむ間に兄弟という言葉を用いないで兄弟のことを作詩せよ、それができれば許すが、できなければ死罪に処すと詩文(しぶん)の作成を命じたところ、曹植がみごとそれをやってのけたのです。曹植が作った詩は、
煮豆燃豆萁(豆を煮(に)るに豆(まめ)殻(がら)を燃やす)
豆在釜中泣(豆は釜中(ふちゅう)にあって泣く)
本是同根生(もとよりこれら同根より生ずるを)
相煎何太急(あい煎(に)ること何ぞはなはだ急なる)
というものですが、この詩は「兄弟」という言葉を使わずして、兄弟のことが、そのうえに曹丕と曹植の関係が、それぞれの置かれた立場が、そして曹植の心情までが、手に取るように分かる内容になっています。
ですから、人は、火事場(かじば)の馬鹿(ばか)力(ぢから)よろしく、窮地(きゅうち)に追(お)い詰(つ)められると、意外な力を発揮するものと思われるのです。
関連するコラム
- コラム19 逆効果になった言葉 2021-08-29
- ロータリー27 ロータリーは、明日の人材をつくる 2021-10-01
- ロータリー1 ロータリーが与えてくれたもの 2021-09-05
- ロータリー12 ロータリーの親睦*Togetherは奇蹟を起こす 2021-09-16
- コラム18 習(なら)い、性(せい) 2021-08-28
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。