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契約書 原状回復の範囲と有用物の無償譲渡請求

2014年2月12日

コラムカテゴリ:法律関連

Q 私は事業用定期借地契約の貸主です。近くA社との事業用定期借地契約が終了することになっていますが,借地人から,①借地上に建築した建物や付属施設・設備は全部撤去するが,地中にあるコンクリートパイルは撤去できないので置いておく。②借地人が設置したブロック塀や植え込みは賃貸人が欲しければ売ってあげるが,そのときは,設置費用の半額は支払ってもらいたいと言われています。そのとおりなのですか?また,③新しい借地人B社との間に,定期借地権の設定契約を結ぶ場合,①や②の問題が起こらないようにするためにはどのような契約条項を書くべきですか?

A 
①について
借地人は,地中に打設したコンクリートパイルも撤去しなければなりません。
すなわち,賃貸借契約が終了したときは,賃借人には,原状回復義務があります。原状に回復するとは,借地権設定契約を締結する前の状態に土地を回復する,ということですから,当然,地中にあるコンクリートパイルの撤去も請求できます。

②について
事業用定期借地権設定契約の特約(オプション)として,無償譲渡請求条項が設けられていない場合は,無償でブロック塀や植え込みを残すことの請求はできません。

③原状回復義務条項として
第○条 本件借地権設定契約が終了してときは,借地人は,貸主に対し,本件土地の上下にある物をすべて撤去し,本件土地を,本件借地権設定契約締結時の原状に回復しなければならない。

④無償譲渡請求条項
第○条 貸主は借地人に対し,本件借地権設定契約が終了した時点に存する塀,植え込みなど借地人に撤去義務のある工作物のうち,貸主が希望するものについて,無償で貸主に譲渡することを請求することができる。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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