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平松幹夫

講演会で大活躍!マナーと生きがいづくりのプロ

平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

コラム

マナーうんちく話2196《モノの豊かさより心の豊かさを!風流を味わう秋の夜の大人の遊び》

2023年9月7日

テーマ:歳時記のマナー

コラムカテゴリ:くらし

相変わらず残暑が厳しいですが、気持ちの上では徐々に秋へと移行する頃です。

この時期には「秋の七草」もほぼ出そろいますが、「春の七草」と異なり、いずれも目で楽しみます。

令和5年9月8日は二十四節気の一つ「白露」です。

大気が冷えて、草に降りる露が白く見えるようになる時節ですが、秋の趣がひときわ感じさせます。

また、この頃から空気が澄んで、お月様も美しく見えますが「お月見」も楽しみです。

かつて日本人は、月の満ち欠けとともに農作業に勤しみ、月を愛で、月に関する多彩な文化を形成しました。
月に関するエピソードもあります。

明治から大正にかけて活躍した小説家であり英文学者でもあった夏目漱石が、「I LOVE YOU」を「月が綺麗ですね」と訳したことから、月が綺麗ですね!といわれたら「私はあなたが好きです」の意味になるとか・・・。

では「月が綺麗ですね」といわれたら、何と答えますか?

お月見を予定されている方は、ゆっくり考えてみて下さい。


そして9月9日は五節句の中で最も格式が高いといわれている「重陽の節句」です。

私は毎年この時期に講演をする際、重陽の節句について少しお話しますが、今ではほとんど知る人はいなくなりました。

旧暦と新暦の日にちが一月以上離れているから無理もない話ですが、それにしても、時代の流れとともに貴重な文化をなくした気がします。

重陽の節句は旧暦では菊の花が咲く時期ですから「菊の節句」とも呼ばれますが、新暦の9月9日頃には露地栽培での菊はまだ咲きません。
ちなみに旧暦の9月9日は、令和5年では10月23日になります。

さらに日本人は「9」は「苦」に通じるので嫌がられる傾向にあるので、9月9日の重陽の節句は親しみがもたれないかもしれませんね。

でも「9」は縁起のいい奇数の数字(陽の数字)の中では最も格上とされています。それが二つ重なるから「重陽」になるわけで、古くから大変おめでたい日とされています。

「五節句」については《マナーうんちく話》で何度も触れましたので、ここでは省略しますが、もとは季節の節目が「節供(節句)」です。
酒と旬のものをいただきながら、長寿や無病息災をお祝いする「ハレの日」だったわけです。

ではどのように祝うのか?
祝い方はいろいろあります。

〇「菊の着せ綿」
9月8日の夜に、菊の花に綿をかぶせ、朝露に湿らせ、その綿で身体を拭くと若返るといわれています。恐らく花屋さんで買い求めないと菊の花は手に入らないと思いますが、切り花の菊の花に布をかぶせ外に出しておけば大丈夫です。
この他にも菊の花は様々な利用方法があります。

〇「菊酒」
菊の花びらを盃に入れ、酒を注ぎ、菊の香りとともに戴きます。
我が家ではまだツボミの菊の花びらを用いて菊酒を作りますが、気になるようでしたら食用菊を購入してもいいかも。
夫婦やカップルで、美しい月を眺めながら、しんみり味わうのもいいでしょう。

〇菊枕
菊の花びらを布袋の中に入れ、夜寝る時にそれを枕の下に入れて、香りとともに眠ります。昔女性が恋しい男性に菊の花びらを入れた布を渡して、菊枕にして、私のことも思いながら寝て下さいをお願いしたとか。
お月見をした際「月が綺麗ですね」といわれたら、お返しに是非「菊の花びらを入れた布袋」を差し上げて下さいね。

無理なようでしたら、「あなたと一緒に見る月だから美しいのでしょう」と答えられたらいいと思います。

〇後の雛飾り
五節句には3月3日の「上巳の節句(桃の節句)」があり、お雛様を飾る習慣は現在もありますが、実はこのときに飾った雛人形を、虫干しを兼ねて、菊の節句にも飾ることがあります。「後の雛」とも呼ばれ江戸時代から続く風習です。

私も昨年の9月に開催した「年中行事の講座」で、ひな人形を飾り(親王飾り)ました。さらに参加者全員に当日の朝に作成した「菊の花びらを入れた布袋」をお配り、「菊枕」や「菊の着せ綿」に利用していただきました。
結構好評でしたよ。


重陽の節句の頃、都合がつく日に、ひな人形を飾り、美しい月を愛でながら「菊酒」を夫婦やカップルで味わってみるのもお勧めです。

私は毎年冷酒に菊の花びらを5-6枚浸し味わいます。菊の葉でも結構です。


ところで花には「目で見て楽しむ」方法と「香り」を楽しむ方法がありますが、菊は香りがいいですね。

ちなみに「菊」は仙人が住むところに咲くので「長寿のシンボル」とされていますが、日本では桜とともに「国花」です。

それだけに多くの異称があります。

「花の弟」「翁草」「長月草」「千代草」「契り草」などなど・・・。

「契り草」は主に男女が結ばれる意味で使用されますが、菊酒にはカップルや夫婦の絆をさらに深める力がありそうな気がします。
菊には「真の愛」という花言葉もあります。

このような文化が日本に存在することは素晴らしい事であり、時代の流れだと言って廃らしては、あまりにも勿体ないと思います。

重陽の節句の時期には「菊三昧」で、日本の風流な大人の文化を堪能下さいね。

最後に「重陽の節句」は何百年、千年と続いてきた日本の風習であり、百年時代を豊かに生きる知恵やヒントが満載されていると思っています。

この記事を書いたプロ

平松幹夫

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平松幹夫(人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾)

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