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平松幹夫

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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

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コラム

マナーうんちく話2014《長い歴史と厳格な作法を有する日本の箸文化》

2021年1月18日

テーマ:和食テーブルマナー

コラムカテゴリ:くらし

西洋料理のカトラリーのうち、ナイフ・フォーク・スプンがセットとして使われだしたのは、せいぜい200年くらい前だといわれています。

それに伴い、個々にカトラリーやテーブルナプキンが使用されるようになり、テーブルマナーも誕生したようです。

それに対して日本の箸の歴史は大変古く、いつ頃から箸が使用され始めたのかは明確ではないようです。

それくらい古過ぎるということでしょうが、すでに608年には二本の棒状の箸が使われ、奈良時代には朝廷で使用された「祝い箸」の原型ができたといわれています。

つまり世界のほとんどの地域において、まだ手食で食事がなされた時代に、日本ではすでに「箸食文化」が形成されていたわけですね。

さらに日本では、平安時代には食事の作法が定められたという説もありますが、13世紀には和食の作法の概念が出来上がったといわれています。

曹洞宗の開祖である道元は食の大切さを説いたことでも有名で、禅宗の寺院における食事の作法を定めています。

食事の際「肘をつかない」「音を立てない」等細かなことまできめられていたようです。

室町時代には、「小笠原流」や「伊勢流」の礼法ができ、包丁や箸使いの作法などが定められています。

日本では500年も600年以上前から、和食の作法とともに箸使いにも厳格な作法が存在していたということですね。

礼節の国といわれる日本では、すでに平安中期には、朝廷を中心とした公家社会、さらに時代をさかのぼって武家社会における儀式や慣例などの規定を定めた「有職故実」が存在し、非常に幅広い分野において、様々な作法がさだめられていました。

中でも室町時代に確立された「小笠原流礼法」は、その後の日本人の精神面に大きな影響を与え続けていることも事実です。

特に江戸時代の武士は教養人でもあったので、武士らしい礼儀を備えるとともに、礼儀を重視した立ち居振る舞いが求められたのでしょう。

時代に関わらず、日本ではいつの世でもマナーに関する知識を身に着けたいという欲求は存在するようですね。

江戸中期くらいになると衣食住もなんとか落ち着き、庶民の間でも、囲碁・将棋・茶道・華道などと共に「重宝記」といわれるマナー教本が普及してきます。
食事の仕方しかりです。

和食は箸を使用するので、昔から「箸使い」は躾の基本とされ、この箸使いを見れば、その人の育った環境や人柄まで理解できるといわれていたようです。

武士は特に食の作法にも厳しく、武士にとって食事は単に栄養補給にとどまらず、人格や品格の最たるものと捉えられていたのでしょう。
だから日本の武士の立ち居振る舞いや食事の作法は、実に美しいと感じます。

箸使いにも厳しい作法が定められています。
「禁じ手」とも言われる、やってはいけない箸使いは実に80近く存在し、「睨み橋」「舐り橋」「迷い橋」などは今でも知られています。

加えて「和食は箸に始まり、箸で終わる」ともいわれます。
そして「箸先5分。長くて1寸」という言葉も存在します。

日本の箸は汚してもいい部分は箸先から5分(約1,5㎝)で、子どもであれば1寸(3cm)までとされています。
厳しいということです。

いやならしなくていい、美味しければいい、楽しければいいなど「なんでもあり」の今では考えられないことだったと思います。
とにかく先人は人前での食事の在り方には気を使ったようですね。

最後に和食のマナー講座でもよくお話ししますが、箸使いを始め、和食作法のすばらしさは、長い歴史や豊かな内容に加え、他者に不快感を与えないという「思いやりの精神」がその基本理念になっているということです。

ちなみに「礼儀作法」と聞けば堅苦しいとか、窮屈とか、難しそうと思われがちですが、「他者に対する思いやりの気持ちを具体的に表現したもの」と捉えれば、大変身近に感じられます。

この点が、危機管理要素が強いといわれる西洋料理のマナーとは異なるわけで、だから先人は「箸使い」を躾の基本にしたのでしょう。

今、自分の子が将来思いやりのある子に育ってほしいと希望する親が多いそうですが、そのためには親が家庭で子どもに美しい蓮遣い、美しい食べ方を教えることだと痛感します。

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