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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

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コラム

マナーうんちく話503≪「割箸」はなぜ割れているの?≫

2013年3月12日

テーマ:和食テーブルマナー

コラムカテゴリ:スクール・習い事

今、地球上の人口は約70億人ですが、全ての人が例外なく生きていくためには食事が必要です。

世界一の「飽食の国」と言われる日本は、常に贅沢な物を食っていますが、地球上には、食べ物や飲み物に不自由している人は沢山います。
その問題は、今回はさておき、世界には食事をする方法が、大きく分けて3種あります。

これを「世界三大食法」と言います。
手で食べる方法と、フォーク・ナイフ・スプンを使って食べる方法、そして箸食です。

この違いは、食文化、歴史、宗教、食べ物等などによります。

例えば、「手食」は、食べ物は神聖なものだからモノを使用せず直接手で食べると言う考え方でヒンズー教やイスラム教の教えのようです。また、米の種類にもよります。インディカ種と言われる米は、熱を加えるとパサパサしているので手を使用する方が食べやすいようです。
ちなみに、食事の時は、清浄とされている右手を使用します。

また、「フォーク・ナイフ」は肉食文化を育んできたヨーロッパやアメリカでみられ、日本や中国や朝鮮半島などでは「箸食」です。

中でも、箸だけを使用して食す日本では、箸に関する大変ユニークな精神文化が存在します。

農耕文化を築いていた日本人は、豊作を神に祈るために、魚や野菜をお供えして神事を執り行うわけですが、神様に御供えする神聖な食べ物を、直接手で触るのは神様に失礼だ!という考えで箸が使用されました。

加えて、正月や花見の際には、神様と共に食事をする、「神人共食文化」が存在し、「神人共食箸」が用いられます。

とにかく、日本人にとって箸は素晴らしい文化なのです。
だから、序列を好む日本人は、箸にも格式を持たせたわけですね。

一番格式が高い箸は、神人共食箸である「祝い箸」で、二番目が「割れ箸」、
三番目が家庭で使用される、いわゆる「マイ箸」です

ところで、今回のテーマである「割箸」は江戸時代に登場します。
江戸中期には、衣食住が充実した時期で、それに伴い外食産業が発展する時期でもあります。

特に、濃い口醤油等が発明され、食文化が益々発展し、本膳料理等の本格的な料理が登場します。

このような社会背景のもと、料理屋が客人をもてなすために考案されたのが「割箸」です。

割箸とは、割れ目を入れて、使用する時に二つに割る箸で、「この箸はまだ誰も使用していない、まさに貴方だけのために用意しています」と言う、もてなしの心を形にしたものです。

そして、未使用の箸を客人が使いやすくするために、途中まで切れ目を入れたわけです。こうしておけば、客人にも、「この箸は未使用で清潔ですよ」と言う意味が伝わりますね。

すなわち割箸は、日本人が大切に育んできた「もてなしの心」そのものなのです。だから、それを使用するにも、大切なマナーが存在します。

先ず、割箸の「割方」ですが、割箸を縦に持ち、左右に広げて割れば、両隣の人の領域まで割り込みますので迷惑になります。

胸の高さの位置で、横方向に持ち、両手で上下に割ります。

今や1年間、約250億膳使用されている割箸。その9割以上が中国製で、環境問題も浮上しているようですが、本来は、日本人が育んできた、もてなしの心を形にした、「語らずとも通い合う心」だと認識して頂き、美しい所作で使用して頂ければと思います。
そして、客人に出す時には、「箸置き」もおわすれなく。

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