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コラム
マナーうんちく話553≪「和の作法」と「一回一動作」のお勧め≫
2013年6月9日
今でいうフィニッシングスクールでしょうか?昔は花嫁修業と言えば、お茶にお花に裁縫等が有りました。
さらに戦前まで遡登れば、女学校での礼儀作法教育が有ったようです。
今、国際化時代のさらなる進展に伴い、改めて自国の文化や作法を見直してみるのもお勧めです。
長い伝統を誇るヨーロッパを始め、世界各国には独自の作法が存在します。
しかし、文化、歴史、気候風土、国民性、宗教により形は様々ですが、日本ほど「一回一動作」を重んじる国はないでしょう。
一回一動作とは、「・・・ながら動作」をしないと言うことです。
すなわち、今、この動作に全てを集中し、心を込めると言うことです。
それは、落ち着いた動作、静かな動作、美しい動作に繋がり、エレガントと表現するのに相応しい、とても美しい雰囲気を醸し出します。
気持ちを和らげ、気分を落ちつかせ、一つの動作に心を込めると言うと、なんだかとても堅苦しいようで、特別な修業が必要のように思えますが、難しく考える必要は有りません。
和の作法は、元々は、とても合理的に出来ているので、慣れれば、始めの堅苦しさが、心地良さに変わります。
日常生活では、様々な場面が有りますが、中でもその手始めとして、何度もお話ししてきた、食事の仕方を大切にして下さい。
箸置きは是非使用して下さいね。
右手で、箸置きの箸の中央の部分を摘まんで水平に持ち上げ、左手を下から添えて、箸を支えます。右手を箸の上に滑らせ下側に移し、箸のやや上の部分に位置して握ります。上の部分の箸を、人差し指と中指の指先ではさんで、親指を添えます。
このように箸を正しく持って料理を頂くわけですが、ここからがポイントになります。
料理を箸で口に運んだら、この時点でいったん箸を箸置きに置いて下さい。
ここで、箸を手に持ったままで口を動かすのではなく、箸を箸置きに置いた状態で噛むと言うことです。
こうすれば、精神が統一され、気持ちが凛と引き締まると共に、米粒一つ一つにまで有り難さがこみあげてきます。
また、自然に姿勢も正すようになり、手や全ての所作が、傍から見て大変美しくなります。
これはお金では買えません。
つまり、教養が伴う美しさが身につくということです。
また、乾杯をする時には、グラスも持って起立するのではなく、先ず起立する、次にグラスを持つという具合になります。
もてなしの心の基本は、一回一動作にあります
今でも、躾の基本は、箸使い、履き物の脱ぎ方・揃え方、呼ばれたら「ハイ」と返事をする、「ありがとう」が言える事等が有りますが、一回一動作の精神を是非加味して頂ければと思います。
ちなみに「躾」とは「身」を「美しく」することですが、この場合の「身」とは「身体」と「心」を意味します。
先ずは、自分自身の身体と心を躾て下さい。
日本人は、稲作を通じ、和食を完成し、箸の文化を築き、美しい立ち居振る舞いや他者への思いやり、さらには、本質をみきわめる能力を身に付けてきました。そしてその遺伝子はいまでも受け継がれています。
和の作法に触れると言うことは、女性として、母親として、妻として、さらに国際人として、世界に通用するエレガントな女性になれると思います。
認知症の予防体操では「・・・ながら動作」を推奨しているようですが、礼儀作法のシーンでは少し異なります。臨機応変に対応して下さい。
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