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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

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コラム

マナーうんちく話2013《日本人なら知っておきたい「祝い箸」に込められた豊かな精神文化》

2021年1月12日

テーマ:祝い事のマナー

コラムカテゴリ:くらし

洋食と和食のテーブルマナーに30年間以上関わっていますが、年々食べ物には贅沢になる反面、心の通う食卓が減少している気がしてなりません。

いかに科学が進歩しても、古今東西「生きることは食べること」ですから、食べ方がおかしくなれば、生き方にも影響が出るでしょう。

また日本の和食はユネスコの無形文化遺産に登録されているにもかかわらず、自国の食文化や食の作法に敏感な人は減少傾向にあるような気がします。

大人がさらに関心を深め、次世代にきちんと伝えていきたいものですね・・・。

そこで今回は意外に知られていない、祝い膳を食す際に使用される「祝い箸」の文化に触れてみたいと思います。

世界3大食法は「フォーク・ナイフ・スプン食」「手食」「箸食」ですが、箸食は日本を始め中国、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、タイなどで全体の28パーセントくらいだといわれています。

ただし同じ箸食でも国により、箸の材質、長さ、形、さらに食事のマナーも異なります。

ちなみに日本の箸は、他国より魚を食す割合が大きいせいでしょうか?
持つところから箸先にかけて次第に細くなっているのが特徴です。
米粒が食べやすいからという説もあります。

加えて大変長い歴史と、神道独特の豊かな文化や、厳格な作法が存在します。

これもあまり知られていませんが、日本の箸には格式があり「祝い箸」が一番高く、続いて「割りばし」、「マイバシ」と続きます。

前回日本の「神人共食文化」にふれましたが、神様とともに食事をすることで、これから先の健康と幸せの恩恵を受けると考えられています。

正月におせち料理やお雑煮をいただかれた方は多いと思いますが、各々の家に里帰りされた「歳神様」と共食するということですね。

こうして家族の絆をさらに強めるわけです。

だから同じ箸を使用するわけで、祝い箸は両側が尖っています。
片方で神様が食し、もう片方を使用して人が食べます。

さらに神様と一緒ですからとても縁起を担ぎます。
輸入品は別として、祝い箸の材質は柳の白木が一般的です。
柳は神様が宿るといわれ、白色は邪気を払う効果があるといわれています。

加えて柳の木は雪や雨にも柔軟に対応し、かつ丈夫なので、柔軟性や健康面でも縁起が担がれたのでしょう。
家族に喜びごとが多くなることを願って「家内喜(やなぎ)箸」とも表現します。

さらに長さにも縁起を担いでいます。
末広がりとされる「八」にちなみ、祝箸の長さは八寸で統一します。

マイバシは親指と人差し指を開いて、それぞれの指先同士の長さの1,5倍がその人に合った長さですが、祝い箸は、老若男女とも八寸、つまり約24㎝の箸になります。

また祝箸は「俵箸」とも呼ばれます。
真ん中が膨らんでいるので、それを米俵とみなし五穀豊穣を祈ったのでしょう。日本は瑞々しい稲穂が実る国ですから「瑞穂の国」とも呼ばれますが、豊かなロマンを感じますね・・・。

平成25年(2013)年に日本の伝統的食文化として、ユネスコの無形文化遺産に登録されたわけですが、新鮮な食材とその持ち味の尊重、栄養バランス、季節の移ろいなどに加え、和食が年中行事ととても深い関りを有しているところが評価されているとおもいます。

特に祝い箸は神様とともに戴くわけですから、感謝の心で美しく頂きたいものですね。

長年「和の礼儀作法」や「テーブルマナー」に関わっていますが、自国の食文化や作法がおろそかにされるような国が幸せになるとは思えません。

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