腰痛になった時の対処法「仙骨リリース」
こんにちは、GENRYUです(^^)
この記事の要点
・急に腰が痛くなって動けない、いわゆる「ぎっくり腰」になった方と、そのご家族に向けた記事です。
・急な腰痛は、多くの場合、最初の6週間で大きく良くなっていきます。安静にしすぎるより、痛みの範囲で動ける形を探す方が、回復の助けになると考えられています。
・「痛みは脳が出す『守って』のサイン」という視点から、怖さを小さくしながら動きを取り戻す、最初の3日間の過ごし方と段階エクササイズを紹介します。
・今すぐできる「楽な姿勢さがし」は、横になったまま3分でできます。
「顔を洗おうとかがんだ瞬間、腰に激痛が走った」
「重い物を持ち上げたら、そのまま動けなくなった」
「安静にした方がいいのか、動いた方がいいのか分からない」
そんな経験はありませんか?
前回は、朝起きたときの腰痛について、寝起きの腰の状態を確かめる方法をお伝えしました。
今回は、急に起こる腰痛、いわゆる「ぎっくり腰」になったときに、最初の数日をどう過ごせばよいかを、研究で分かっていることと一緒に紹介します。
これまでのコラムをまだお読みでない方は、こちらからどうぞ。
→「前かがみで痛い?反らすと痛い?|腰痛を自分で確かめる3つのチェック」を読む
→前回「朝起きると腰が痛い方へ」を読む
始める前に:こんなときはすぐ医療機関へ
ぎっくり腰のように見えても、ほかの病気が隠れていることがあります。次のような場合は、セルフケアより先に医療機関を受診してください。
- 尿が出にくい・漏れる、便の感覚がおかしい、お尻や股のまわりがしびれる(その日のうちに、夜間・休日でも受診を)
- 両脚のしびれ、脚の力が急に落ちてきた
- 転倒や事故のあとから痛い。特に、骨が弱くなりやすい年代の方の、しりもちのあとの痛み
- 発熱がある、原因のわからない体重減少がある、がんの治療を受けたことがある
- 横になっても、姿勢を変えても、まったく楽にならない強い痛みが続く
- お腹の痛みや、冷や汗をともなう
→「馬尾症候群」ってなに?を読む
当てはまるものがなければ、ここから先に進みましょう。
まずは今、3分だけ:楽な姿勢さがし
動けないほど痛いときは、まず「いちばん楽な姿勢」を探すことから始めます。
1. 今の腰の痛みを0〜10でメモします(家族に書いてもらっても大丈夫です)
2. 次の姿勢を、1つ1分ずつためします
・仰向けで、膝の下に座布団や丸めた毛布を入れる
・仰向けで、ふくらはぎを椅子やソファの座面にのせる(股関節と膝が直角くらい)
・横向きで、膝を軽く曲げ、膝のあいだにクッションをはさむ
3. いちばん楽だった姿勢で、もう一度0〜10でメモします
→ 楽な姿勢が一つ見つかれば、それが今日の「休む場所」になります。どの姿勢でも楽にならない場合は、上の受診の目安を確認してください。
ぎっくり腰は、どうなっていくの?
まずは、これからの見通しを知っておきましょう。
多くの場合、最初の6週間で大きく良くなる
急な腰痛の経過を調べた研究のまとめでは、急に始まった腰痛の痛み(100点満点)は、平均で、
- 始まったとき:52点
- 6週間後:23点
- 26週間後:12点
- 1年後:6点
と、最初の6週間で大きく下がっていました(da C Menezes Costa 2012)。
ただし、6週間を過ぎると良くなるペースはゆるやかになり、1年後も軽い痛みが残る方もいました。
また、これは多くの研究の平均で、一人ひとりの経過はさまざまです。
「原因が一つに決まらない」ことが多い
ぎっくり腰は、検査をしても「ここが原因」と一つに決められないことが多い腰痛です。
アメリカ内科学会の診療ガイドラインでも、急な腰痛の多くは、治療の種類にかかわらず時間とともに良くなるとされ、まずは温める、マッサージなど、薬を使わない方法から選ぶことが勧められています(Qaseem 2017)。
だからこそ、「何が壊れたのか」を心配しすぎるより、回復を邪魔しない過ごし方を知っておくことが大切です。
脳から見た、ぎっくり腰
ぎっくり腰の痛みは、とても強いですよね。
その強さを考えるうえで、脳の研究が役に立ちます。
1. 強い痛みは、脳の「緊急ブレーキ」
以前のコラムでお伝えしたように、痛みは「体が壊れている量」をそのまま表すものではなく、脳が「この部分を守る必要がある」と判断したときに出すサインと考えられています(Moseley & Butler 2015)。
ぎっくり腰の強い痛みは、脳が「今は動かないで」と、急ブレーキをかけている状態とも考えられます。
痛みがあると、体は守るために動き方そのものを変える、という考え方(理論)も提唱されています(Hodges & Tucker 2011)。腰が曲がったまま伸びない、体が傾く、といった姿勢も、守るための動き方なのかもしれません。
2. 怖さが強いと、長引きやすい傾向がある
オランダの一般の方1,571名を6か月追った研究では、腰痛のある方のうち、痛みを「最悪の事態」と考えやすい方や、動くことを強く怖がる方ほど、6か月後も腰痛が続いている傾向がありました(Picavet 2002)。
特に、強い腰痛や、生活に支障の出る腰痛が続く割合が、約3倍でした。
ただし、これは「関連」です。怖さが腰痛の「原因」だと決まったわけではありません。
3. 知識だけでなく、「動けた」という経験を
一方で、急な腰痛の方202名に、痛みのしくみなどを2時間かけて詳しく説明した研究では、3か月後の痛みは、話を聞くだけで説明やアドバイスをしなかったグループと変わりませんでした(Traeger 2019)。
生活の困りごとは、1週間後と3か月後にわずかに改善していましたが、6か月後以降は差がありませんでした。
つまり、「痛みのしくみを知る」ことだけで痛みが軽くなるわけではない、ということです。
ここからは考え方の一つですが、知識に加えて、「この動きなら大丈夫だった」という小さな経験を重ねることが、脳の急ブレーキを少しずつゆるめる手助けになるのかもしれません。
この記事の後半で紹介する段階エクササイズは、この考え方をもとにしています。
最初の3日間の過ごし方
ここからは、最初の3日間の過ごし方の目安です。痛みの強さに合わせて、無理のない範囲で調整してください。
安静にしすぎない
研究のまとめでは、急な腰痛の方に「ベッドで安静に」と勧めるより、「できる範囲で普段どおりに動いて」と勧めた方が、痛みや動きがわずかに良かったと報告されています(Dahm 2010)。
ただし、差は小さく、研究の数も多くありません。「無理にでも動く」という意味ではなく、痛みの範囲で、動ける形を探していくことが大切です。
最初の数日は冷やし、落ち着いてきたら温める
ぎっくり腰になったばかりの時期は、私は痛む場所を冷やすことをおすすめしています。
痛みが落ち着いてきて、重さやこわばりが中心になってきたら、温めることに切り替えます。
これは、私が患者さんにお伝えしている考え方です。
研究で分かっていることも、分けてお伝えします。
研究のまとめでは、急性・亜急性の腰痛の方258名を含む2つの研究で、温める湿布(ヒートラップ)を使うと、5日後の痛みが軽くなっていました(French 2006)。温めることに加えて運動を行うと、7日後の痛みがより軽くなったという研究もあります。
一方、冷やすことについては、効果を判断できるだけの研究がありません。冷やすのと温めるのを比べた研究も少なく、結果は分かれています。
冷やすときは、保冷剤や氷をタオルで包み、冷たくて気持ちいいと感じる範囲で、短い時間にとどめてください。冷やすとかえってつらい方、肌の感覚がにぶい方は、無理に冷やさなくてかまいません。
1日目:楽な姿勢を見つけ、少しだけ動く
- 冒頭の「楽な姿勢さがし」で見つけた姿勢で休む
- 冷やす場合は、保冷剤や氷をタオルで包み、凍傷に気をつける
- 1〜2時間に一度、トイレや水を飲むなどのついでに、家の中を少し歩く
- 寝返りや起き上がりは、このあと紹介する「横向きから起きる」方法で
2日目:動ける時間を少しずつ延ばす
- 家の中を歩く時間を、痛みが強くならない範囲で少しずつ延ばす
- このあと紹介する段階エクササイズのレベル0〜1を、1日数回
- 同じ姿勢を長く続けない(座りっぱなし、寝たきりにならない)
3日目:普段の生活に少しずつ戻る
- 家事や短い外出など、普段の活動を少しずつ再開する
- 段階エクササイズのレベル2〜3へ
- 仕事は、痛みの範囲でできる形から相談して戻る
脳に「安全」を届ける、ぎっくり腰の段階エクササイズ
脳の急ブレーキを、小さく、ゆっくり、安全な動きの経験で少しずつゆるめていくための段階エクササイズです。
こんな方に:ぎっくり腰になってから数日以内の方。受診の目安に当てはまらない方
始める前に:今の状態をメモする
- 今の腰の痛み(0〜10)
- 動くことへの怖さ(0〜10、0=まったく怖くない、10=とても怖い)
- いちばん困っている動作(例:寝返り、起き上がり、立ち上がり)
レベル0 楽な姿勢で、呼吸と「思い描く」(1分)
痛みが強く、ほとんど動けないときのレベルです。
1. 「楽な姿勢さがし」で見つけた姿勢で横になります
2. ゆっくり息を吐くことを意識して、5回呼吸します
3. 目を閉じて、膝を左右にゆっくり倒している自分を、5回思い描きます
ポイント:以前のコラムでお伝えしたように、動きを思い描くだけでも、脳の動きのネットワークの多くが働くことが分かっています(Hétu 2013)。体を動かせないときの「脳から始める練習」です。
レベル1 横になったまま、小さく動く(1〜2分)
1. 仰向けで両膝を立てます(つらければ、膝の下に座布団)
2. 3秒かけて、両膝を右へ少しだけ倒し、3秒かけて戻します。左へも同じように
3. これを5往復。痛みが強くならない、小さな範囲で行います
4. 次に、おへそを床に近づけるように、腰を少しだけ平らにし、また戻します。これを5回
ポイント:動きの大きさより、「痛みが強くならずに動けた」という経験が大切です。脳に「この動きは大丈夫」という情報を届けます。
レベル2 「楽になる方向」をさがす(2〜3分)
少し動けるようになったら、第1回でお伝えした「楽になる方向」を、痛みの少ない姿勢のまま、小さくためします。
ぎっくり腰の時期は、腰を反らす動きは行いません。横向きなど、腰を軽く丸めた楽な姿勢から始めます。
1. 横向きに寝て、膝を軽く曲げます(膝の間にクッションを挟むと楽です)。右を下にしたとき、左を下にしたときで、痛みを0〜10でメモします
2. 楽だった側を下にしたまま、両膝をゆっくり少しだけ胸に近づけて、戻します。これを5回行い、痛みの変化をメモします
3. 仰向けで膝を立てられる方は、片方の膝を両手で抱えて、ゆっくり少しだけ胸に近づけて戻します。左右5回ずつ
4. 椅子に座れる方は、背もたれに軽く寄りかかった姿勢から、ゆっくり少しだけ前にかがむ動きを5回行い、同じようにメモします
5. 楽になった動きを、1日に数回、5回ずつ続けます
腰を反らす動きや、立って前・後ろに動かして確かめるのは、痛みが落ち着いてから、第1回の記事のチェックで行ってください。
ポイント:急な腰痛の方148名の研究では、「楽になる方向」をもとにした運動(マッケンジー法)を加えると、痛みが少しだけ(0〜10の目盛りで0.4〜0.7点)多く下がりましたが、その差は小さいものでした(Machado 2010)。「これで治す」ではなく、「動ける方向を見つける」ために使います。
レベル3 歩く(5〜10分)
1. 痛みの範囲で、家の中や近所を、ゆっくり歩きます
2. 最初は5分ほど。翌日は、痛みが強くならなければ少し延ばします
3. 歩く前と後で、腰の痛みと、動くことへの怖さを0〜10でメモします
ポイント:歩くことは、いちばん身近な「大丈夫だった」経験です。怖さの数字が下がっていくことも、大切な回復のサインです。
寝返り・起き上がりのコツ
- 寝返りは、両膝を立て、膝と肩を同時に同じ方向へ倒すようにして、体をひねらずに転がる
- 起き上がりは、横向きになってから脚をベッドの端から下ろし、手で押して上体を起こす
- 立ち上がりは、椅子の座面の前の方に浅く座り直し、手で太ももを押しながら立つ
回数とタイミングの目安
- 1日目:レベル0〜1を、1日3〜4回
- 2日目:レベル1〜2を、1日3〜4回。レベル3を短く
- 3日目以降:レベル2〜3を中心に、普段の活動を少しずつ増やす
- 回数は目安です。痛みが強くならない範囲で調整してください
よくある間違い
- 痛みが怖くて、ずっと寝たままでいる
- 早く治したくて、痛みをがまんしてストレッチをする
- 「楽になる方向」をさがすときに、大きく勢いをつけて動く
- 痛みの数字だけを見て、怖さや動けた範囲の変化を見落とす
前後で比べる
1日の終わりに、「始める前に」と同じ3つを、もう一度メモします。
- 痛みの数字が同じでも、怖さが下がった
- 昨日できなかった動作が、今日はできた
こうした変化も、大切な回復のサインです。
ご家族がぎっくり腰になったときは、「楽な姿勢さがし」を一緒に手伝ってあげてください。0〜10の数字を家族が聞いてメモするだけでも、本人の安心につながります。
研究で分かっていること
- 急な腰痛では、安静を勧めるより、普段どおり動くよう勧めた方が、痛みや動きがわずかに良かった(Dahm 2010)
- 温める湿布で、急性・亜急性の腰痛の痛みが軽くなった。温めることに運動を加えると、さらに良かったという研究もある(French 2006)
- 「楽になる方向」をもとにした運動を加えると、痛みが少しだけ多く下がったが、差は小さかった(Machado 2010)
この段階エクササイズの組み合わせそのものを確かめた研究はありません。研究で分かっている考え方を、家でできる形にした例として行ってみてください。
注意してほしいこと
脚のしびれや痛みが足先の方へ広がる、痛みが日ごとに強くなる、冒頭の受診の目安に当てはまる変化が出た場合は、すぐに中止して医療機関を受診してください。
ご家族ができること
ぎっくり腰は、本人だけでなく、そばにいるご家族も心配になりますよね。
ご家族にできることを、まとめておきます。
- 受診の目安を一緒に確かめる:本人は痛みで余裕がないことが多いので、冒頭のリストを読み上げて確かめてあげてください
- 「楽な姿勢さがし」を手伝う:座布団やクッションを用意し、1分ずつためすのを手伝う
- 数字を聞いてメモする:「今、何点?」と痛みと怖さを聞き、記録してあげる
- 「大丈夫だった」を一緒に確かめる:「昨日よりトイレまで楽に歩けたね」など、できたことを言葉にしてあげる
最後の「できたことを言葉にする」は、脳に「この動きは大丈夫だった」という経験を、もう一度届けることにもつながると考えられます。
反対に、「無理しないで、ずっと寝ていて」と言いすぎると、動くことへの怖さを強めてしまうかもしれません。
心配する気持ちは、「動けた範囲を一緒に喜ぶ」形で伝えてあげてください。
くり返さないために
ぎっくり腰が落ち着いたら、次は「くり返さない」ことも考えておきましょう。
腰痛の予防についての研究21本(約3万名)をまとめた報告では、
- 運動と、腰についての学びを組み合わせると、腰痛が起こる危険が約45%下がっていた(中程度の確かさ)
- 運動だけでも、危険が下がる可能性がある(確かさは低い〜非常に低い)
- 腰についての学びだけ、腰ベルト(コルセット)だけでは、予防の効果は見られなかった
と報告されています(Steffens 2016)。
つまり、「知る」だけでも「ベルトに頼る」だけでもなく、「動く習慣」を続けることが、くり返さないための土台になると考えられます。
これまでのコラムで紹介した「楽になる方向」の運動や、続けるコツも参考にしてください。
→「腰痛の『楽になる方向』を毎日に」を読む
3日間の記録の例
例えば、こんな記録が集まったとします。
1日目:痛み8/10、怖さ9/10。仰向けで椅子に脚をのせると6/10。トイレのついでに家の中を歩けた。
2日目:痛み6/10、怖さ7/10。膝倒し5往復で5/10。右を下にした横向きで、膝を胸に少し近づけると楽。
3日目:痛み5/10、怖さ4/10。近所を5分歩けた。横向きで膝を近づける動きを1日4回。
ここから見えてくるのは、
- 痛みの数字よりも、怖さの数字の方が大きく下がっている
- 「横向きで膝を胸に近づける(腰を軽く丸める)」が楽になる方向かもしれない(2日分の記録)
- 動けた範囲が、毎日少しずつ広がっている
ということです。
この場合、「横向きで膝を近づける動きを続けながら、歩く時間を少しずつ延ばす。痛みが落ち着いたら、第1回の記事で、前・後ろの動きを確かめる」という次の一歩が考えられます。
結果をどう受け止める?
楽になった
何が楽になったか(痛み・怖さ・できる動作)を分けて書きます。
同じ
数日は大きく変わらないこともあります。怖さや、できた動作の変化も見てみましょう。
悪くなった
そのエクササイズはやめて、一つ前のレベルに戻します。日ごとに悪くなる場合や、脚の症状が出てきた場合は、医療機関を受診してください。
分からない
痛みが強いときは、記録どころではないと思います。家族に「今、何点?」と聞いてもらい、数字だけでも残しておきましょう。
記録のテンプレート
日付・何日目:
腰の痛み(0〜10):
動くことへの怖さ(0〜10):
いちばん楽な姿勢:
今日できた動作・できなかった動作:
ためしたレベルと回数:
前→後の変化(痛み・怖さ):
冷やした(温めた)時間・歩いた時間:
結果(楽・同じ・悪化・分からない):
よくある質問
Q.冷やすのと温めるの、どちらがいいですか?
私は、ぎっくり腰になったばかりの数日は冷やし、痛みが落ち着いてきたら温めることをおすすめしています。
研究のまとめでは、温める湿布で痛みが軽くなったという結果がありますが、冷やすことについては、判断できるだけの研究がありません(French 2006)。冷やすとかえってつらい方は、無理に冷やさず、心地よいと感じる方法を選んでください。どちらの場合も、凍傷や低温やけどに気をつけてください。
Q.コルセット(腰ベルト)は使った方がいいですか?
予防の研究のまとめでは、腰ベルトにはぎっくり腰を防ぐ効果は見られませんでした(Steffens 2016)。
痛みが強い時期に、動くときの安心のために一時的に使う方もいますが、使いっぱなしにせず、動ける範囲が広がってきたら外す時間を増やしていくのがおすすめです。
Q.何日くらいで治りますか?
研究の平均では、最初の6週間で痛みは大きく下がっていました(da C Menezes Costa 2012)。
ただし、人によって経過は違います。1〜2週間たっても少しも良くならない、だんだん強くなる、という場合は、医療機関で相談してください。
Q.仕事は休んだ方がいいですか?
痛みが強く、通勤や仕事の動作が難しい日は、無理をする必要はありません。
ただし、研究では「安静に」と勧めるより、「できる範囲で普段どおりに」と勧めた方が、痛みや動きがわずかに良かったと報告されています(Dahm 2010)。
座る時間を短く区切る、重い物を持つ作業は人に頼むなど、できる形を職場と相談しながら、早めに普段の生活に戻ることを目指しましょう。
Q.マッサージや整体を受けてもいいですか?
アメリカ内科学会のガイドラインでは、急な腰痛に対して、温めることに加え、マッサージや脊椎の手技療法なども選択肢として挙げられています(根拠の確かさは低い)(Qaseem 2017)。
受診の目安に当てはまらないことを確かめたうえで、強く押したりひねったりしない、やさしい施術を選んでください。
「ぎっくり腰をくり返している」「どこまで動いていいのか分からない」という方もいらっしゃると思います。
受診の目安に当てはまる方は、まず整形外科などの医療機関を受診してください。
当てはまらず、困っている場面や体の動きを整理したい方は、大分駅から歩いて15分ほどの当院(大分市金池町)でも、楽になる方向や、動ける範囲を一緒に確かめながら、どこから始めるかを整理しています。
1〜2週間たっても思うように動けない方、ぎっくり腰をくり返している方は、一度ご相談ください。3日間の記録があれば、ぜひお持ちください。
まとめ
今回は、ぎっくり腰になったときの最初の3日間の過ごし方と、根拠のあるセルフケアを紹介しました。
- まず受診の目安を確かめる(排尿・排便の変化、脚の症状、転倒後、発熱など)
- ご家族は、「動けた範囲を一緒に喜ぶ」形で支える
- 急な腰痛の多くは、最初の6週間で大きく良くなる
- 強い痛みは、脳の「守って」の急ブレーキ。怖さが強いと長引きやすい傾向がある
- 安静にしすぎず、痛みの範囲で動ける形を探す。最初の数日は冷やし、落ち着いてきたら温める
- 段階エクササイズ:思い描く → 横になって小さく動く → 楽になる方向 → 歩く
- くり返さないためには、「動く習慣」を続けること
次回予告
次回は、「『雨の前に腰がうずく』の正体は?|天気・季節と腰痛を脳から考える」をお届けする予定です。
「雨の前になると腰がうずく」「寒くなると腰痛が出る」という方に向けて、研究で分かっていることと、自分で確かめる方法、脳の働きをいかしたエクササイズを一緒に見ていきます。
ぜひ、次回のコラムも楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅂ•́)و✧
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それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)
参考文献
急な腰痛の経過と診療ガイドライン
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安静と活動、温めること、運動
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痛みと脳・怖さ
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Hodges PW, Tucker K. Moving differently in pain: a new theory to explain the adaptation to pain. Pain. 2011;152(3 Suppl):S90-S98. PMID: 21087823
Picavet HS, Vlaeyen JW, Schouten JS. Pain catastrophizing and kinesiophobia: predictors of chronic low back pain. Am J Epidemiol. 2002;156(11):1028-1034. PMID: 12446259
Traeger AC, et al. Effect of Intensive Patient Education vs Placebo Patient Education on Outcomes in Patients With Acute Low Back Pain: A Randomized Clinical Trial. JAMA Neurol. 2019;76(2):161-169. PMID: 30398542
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