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安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

膝が気になる人へ|足首と足裏を自分で確かめる3つのチェック

安部元隆

安部元隆

テーマ:膝の痛み

こんにちは、GENRYUです(^^)

この記事の要点
・膝が気になる方に向けて、足首・足裏・立ち上がりの3つを自宅で確かめる方法を紹介します。
・足裏は体重を支える「土台」であり、脳に体の位置を伝える「センサー」でもあります。変形性膝関節症のある高齢の方では、このセンサーの感じ方がにぶい傾向があることも報告されています。
・「見えたこと」と「原因」を分けて記録し、条件を一つだけ変えてもう一度試すのがコツです。
・10分ほどでできます。時間がない日は、3分でできる方法から始められます。結果は「楽になった・同じ・悪くなった・分からない」の4つで残します。
・足裏から脳へ情報を届ける、3ステップの「足裏センサー・エクササイズ」も紹介します。


前回のコラムでは、

「膝が痛いのに、なぜ足首や足裏を見るの?」

というお話をしました。

そして最後に、足首・立ち上がり・歩行の3つのセルフチェックを簡単に紹介しました。

今回はその続編です。

前回のチェックを、足首と足裏に焦点をしぼって、もう一段深く掘り下げていきます。

「どこを見ればいいのか」
「見えたことを、どう読めばいいのか」
「条件を変えると、何が分かるのか」

ここまで踏み込んでお伝えします。

ご自宅で、10分ほどあればできる内容です。

前回のコラムをまだお読みでない方は、こちらからどうぞ。
→前回「膝が痛いとき、膝だけ見ていませんか?」を読む

前回の内容に二つ補足です


本題に入る前に、前回の説明を二つ補足させてください。

補足1 「動的膝外反」と対になるのはX脚


前回、「動的膝外反」という言葉を紹介しました。

これは、立ち上がりや階段などの動作中に、膝が内側へ入るように見える動きのことです。

前回はO脚と比べて説明しましたが、より正確に対比すべきなのは、立っているときに膝が内側へ寄っている脚の形、いわゆるX脚の方でした。

  • 動的膝外反 = 動いているときの「膝の動き方」
  • X脚 = 立っているときの「脚の形」


同じ「外反」という言葉を使うので混同しやすいのですが、この二つは別のものです。

補足2 「膝が内側に入る」は、すべての膝痛に当てはまるわけではない


「足首の硬さと動的膝外反に関連がある」という研究は、主に健康な人やスポーツをする人を対象にしたものです。

一方、中高年に多い内側型の変形性膝関節症では、歩くときに膝がむしろ外側へ揺れる動きが見られることがあります。

この動きは「ラテラルスラスト」と呼ばれ、変形性膝関節症の進行との関連も報告されています。

つまり、

膝が内側に入る人もいれば、外側に揺れる人もいる。

どちらが起きているかは、人によって、そして動作によって違います。

だからこそ、「教科書の正解」に自分を当てはめるのではなく、自分の身体ではどうなっているかを確かめることに意味があるのです。

始める前に:安全のための約束


チェックを始める前に、次のことを確認してください。

こんなときは、チェックをせずに医療機関へ


  • 膝に体重をかけられないほど痛い
  • 膝が急に大きく腫れた、熱を持っている
  • 発熱があり、膝が赤くなっている
  • 膝が引っかかって伸びない・曲がらない
  • 膝がガクッと崩れることがある
  • 転んだりぶつけたりした後から痛い
  • 夜、じっとしていても強く痛む


チェック中の約束


  • すぐ手をつけるよう、壁や安定した家具のそばで行う
  • 痛みがはっきり強くなったら、その場でやめる
  • 確かめるために何度も繰り返さない(各チェック2〜3回まで)


すでに病院やリハビリで指示を受けている方は、その指示を優先してくださいね。

このチェックの4つのルール


チェックの中身に入る前に、一番大切なことをお伝えします。

ルール1 「見えたこと」と「原因」を分けて書く


「右のかかとが浮いた」

これは見えたことです。

「右足首が硬いから右膝が痛い」

これは原因についての考えです。

チェックで記録するのは、前者だけで十分です。

人は不安になると、つい原因を一つに決めたくなります。

でも、決めつけは「この動きは危ない」という思い込みを生み、かえって動くことを怖くしてしまうことがあります。

痛みの研究でも、動くことへの恐怖が痛みを長引かせる要因になりうることが示されています。

見えたことを、見えたまま書く。

これが、自分の身体と上手に付き合う第一歩です。

ルール2 条件も一緒に書く


同じ動きでも、靴か裸足か、どの椅子か、朝か夜かで、感じ方は変わります。

「裸足・リビング・夜」

くらいのメモで十分です。

条件が書いてあれば、後で見返したときに「何が同じで、何が違ったか」が分かります。

ルール3 変えるなら一つだけ


条件を変えてもう一度試すときは、一度に一つだけ変えます。

二つ以上変えると、何が影響したのか分からなくなるからです。

ルール4 結果は4つのどれかで残す


もう一度やってみた結果は、

  • 楽になった
  • 同じ
  • 悪くなった
  • 分からない


のどれかで残します。

「分からない」も立派な結果です。

まずは今日、3分だけ
全部のチェックをする時間がない方は、これだけでも大丈夫です。

1. 椅子から2回立ち上がり、膝の気になり度を0〜10でメモします(0=まったく気にならない、10=とても気になる)
2. 裸足になり、座ったまま足指を5回、ゆっくりグー・パーと動かします(チェック2の「一つだけ変えてもう一度」と同じです)
3. もう一度2回立ち上がり、0〜10でメモします

→ 数字が変わっても、変わらなくても、それが今日の大切な記録です。


脳から見た足裏と膝


「膝の話なのに、なぜ脳?」と思われるかもしれませんね。

実は、足首や足裏を確かめることは、脳が体から受け取っている情報を確かめることでもあるのです。

1. 痛みは、脳が出す「守って」のサイン


痛みの研究では、痛みは「体が壊れている量」をそのまま表すものではなく、脳が「この部分を守る必要がある」と判断したときに出すサインと考えられています(Moseley & Butler 2015)。

膝からの信号が関係ないという意味ではなく、膝からの情報も含めて、脳が判断している、という考え方です。

ルール1で「決めつけが、動くことを怖くしてしまうことがある」とお伝えしたのも、このためです。

2. 足裏は、脳への「センサー」


脳は、足裏のセンサーからの情報を使って体を支えています(詳しくはチェック2で)。

膝の変形性関節症(膝OA)のある高齢の方124名と、膝OAのない高齢の方116名を比べた研究では、膝OAのある方の方が、

  • 足裏の触覚(触れられた感じ)がにぶい
  • 関節の位置や動きを感じ取る感覚(固有感覚)がにぶい
  • 関節の動く範囲が小さく、筋力も弱い
  • バランスの点数が低い


という結果でした。そして、これらはすべてバランスと関連し、なかでも固有感覚が最も強く関連していました(Shen 2024)。

ただし、これは一時点で比べた研究(横断研究)で、分かるのは「関連」までです。

足裏の感覚がにぶいからバランスが落ちたのか、膝の痛みで動く量が減った結果なのかは、この研究からは分かりません。

また、対象は膝OAのある高齢の方なので、膝が気になる方すべてに当てはまるとは限りません。

3. 足の小さな筋肉は「フットコア」


足の中には、足の中で始まり足の中で終わる、小さな筋肉(足の内在筋)がたくさんあります。

おなかや背中で体幹を支える筋肉を「コア」と呼ぶように、この小さな筋肉を足の「コア(フットコア)」としてとらえる考え方が提唱されています(McKeon 2015)。

これは臨床研究の結果ではなく、「新しい見方」の提案です。それでも、「足裏で感じる」と「足指や土踏まずで地面をとらえる」を、ひとまとまりで考えるヒントになります。

チェック1 足首:すねは足の上でどこまで前に倒れる?


なぜ足首を見るのか


まず、足首の大切な動きを一つ覚えてください。

すねが足の上で前に倒れていく動き=足関節背屈

です。

この動きは、私たちが思っている以上に、日常の多くの場面で必要とされています。

例えば、

  • 階段を下りるとき
  • 椅子から立ち上がるとき
  • しゃがむとき
  • 坂道を上るとき


研究では、階段を下りる動作では、平らな道を歩くときより大きな足首の背屈が使われることが報告されています。

しゃがむ動作では、さらに大きな動きが求められます。

かかとを床につけたまま深くしゃがむ動作では、健康な人で平均35度前後の背屈が観察されたという報告があります。

「あれ?」と思った方もいるかもしれません。

病院などで使われる足首の参考可動域では、背屈は20度とされています。

これは、体重をかけずに測った値です。

一方、しゃがみ込みの研究は、体重をかけ、膝を深く曲げた状態で測っています。

膝を曲げると、ふくらはぎの筋肉の一部がゆるむため、足首はより大きく曲がるようになります。

つまり、二つは測り方が違う数値なのです。

なお、必要な角度は、しゃがむ深さや上体の倒し方、足幅、手足の長さによって変わります。

「何度ないとしゃがめない」という決まった基準があるわけではありません。

ただ、深くしゃがむほど足首の動きが求められることは、日本の研究を含め、複数の研究で示されています。

では、足首がそこまで動かないと、身体はどうするのでしょうか。

身体は、とても賢くできています。

足首が足りない分を、別の場所で補おうとします。

よく見られる補い方は、

  • 足先を外に向ける(足首をあまり曲げなくても前に進める)
  • かかとを浮かせる(足首の代わりに、かかとを上げて高さを稼ぐ)
  • 膝を内側に入れる(膝の位置をずらして前に出す)
  • 上半身を前に倒す(足首を使わず、重心を前に移す)


といったものです。

実際、足首の動きを人工的に制限してスクワットをしてもらった研究では、膝が内側に入る動きが増えたことが報告されています。

これらの補い方は、悪いことではありません。

身体が動作をやりとげるための、立派な工夫です。

ただ、毎日何百回と繰り返されると、特定の場所に負担が偏ることもあります。

だからこそ、自分の足首がどのくらい動いていて、身体がどんな工夫をしているかを知っておく価値があるのです。

やり方


1. 壁の前に立ち、両手を壁につきます
2. 片足を前に出し、つま先を壁から少し離して置きます(最初は手のひら一枚分くらい)
3. かかとを床につけたまま、膝をゆっくり壁の方へ近づけます
4. 膝が楽に壁に届いたら、足を少しだけ後ろに下げて、もう一度行います
5. 「かかとをつけたまま、膝がぎりぎり壁に届く位置」を見つけます
6. 反対の足でも同じように行います

この方法は「ニー・トゥ・ウォール」とも呼ばれ、測定の再現性が高い方法であることが研究で確かめられています。

見るポイント


  • 前に出る量:左右で、膝が届く位置に違いはあるか
  • かかと:浮きやすいのはどちらか
  • 足先の向き:膝を前に出すとき、足先が外を向いていないか
  • 膝の向き:膝が足の人差し指〜中指の方向に進んでいるか、内側や外側にそれていないか
  • 感じる場所:詰まり感や張りがどこに出るか


結果の読み方


見えたことから、次のように考えることができます。

ただし、これは「原因の断定」ではなく、次に何を見るかのヒントです。

左右で前に出る量が違う
→ 片方の足首の方が、すねを前に倒しにくい状態かもしれません。
ただし、わずかな差は、測るたびの誤差でも生じることがあります。「明らかに違う」と感じる差に注目しましょう。

ふくらはぎやアキレス腱のあたりが張る
→ 足首の後ろ側の組織が、動きの最後で引き伸ばされている感覚です。

足首の前側が詰まる
→ 足首の前の方で、動きがつかえている感覚です。後ろ側の張りとは、感じ方の性質が違います。

足先が外を向きやすい・膝が内側にそれる
→ 足首だけでなく、足の向きや膝の通り道も一緒に動いているサインです。

痛みや詰まり感が強い場合は、無理に確かめず、記録して終わりにしましょう。

一つだけ変えてもう一度


足先が外を向いていた方は、足先をまっすぐ壁に向けて、もう一度だけ行ってみてください。

足先が外を向くと、足首があまり動いていなくても膝が前に出やすくなります。

足先をそろえると、その足首が本来どのくらい動くかが見えやすくなります。

記録の例


裸足・リビング・夜。右は左より膝が壁に届きにくい(はっきり違う感じ)。右はかかとが浮きやすく、足先が外を向きやすい。足先をまっすぐにすると、右はさらに前に出にくかった。右のふくらはぎに張り。痛みはなし。


チェック2 足裏:体重はどこで、どう感じている?


なぜ足裏を見るのか


足裏は、身体を支える「土台」です。

でも、それだけではありません。

足裏の皮膚には、圧力・振動・皮膚の伸びを感じ取るセンサーがたくさんあります。

研究では、足裏のさまざまな場所にこうしたセンサーが分布していることが確かめられています。

私たちが立っているとき、脳は足裏からの情報を使って、

「今、体重がどこに乗っているか」
「身体が前後左右に傾いていないか」

を、休みなく判断しています。

実際、足裏の感覚を一時的に鈍くすると、立っているときの身体の揺れが変化することが研究で示されています。

また、変形性膝関節症の方では、脚の振動の感じ方が低下していることも報告されています。

さらに、高齢の方では、足指の力の弱さが、バランスの低下や転倒のしやすさと関連することも分かっています。

つまり足裏は、

体重を受け止める「土台」であり、身体の位置を脳に伝える「センサー」でもあり、足指を通して地面を押す「エンジン」でもある

のです。

膝は、この足裏の上に乗っています。

足裏からの情報がぼんやりしていれば、膝を含めた脚全体の動きの調整も、少しずつ変わってくる可能性があります。

足裏の「3つの点」


足裏を見るときは、次の3つの点を意識します。

  • 親指の付け根(母趾球)
  • 小指の付け根(小趾球)
  • かかと


この3点を結ぶと、三角形ができます。

立っているときの体重は、この三角形の中で支えられています。

やり方


ステップ1 両足で立って感じる

1. 裸足で、壁のそばに肩幅くらいで立ちます
2. 足裏の3つの点のうち、どこに体重を強く感じるかを確かめます
3. 左右で比べます

ステップ2 目を閉じて感じる

4. 片手を壁につけたまま、目を閉じます
5. もう一度、3つの点の感じ方を確かめます
6. 身体が前後左右のどちらかに寄っていく感じがあるかを観察します

ステップ3 足指を確かめる

7. 目を開けて、足指が床に着いているかを見ます
8. 足指を床に軽く広げて置けるか、床を軽く押せるかを確かめます

ステップ4(余裕がある方だけ) 片脚で感じる

9. 壁に手をついたまま、片足を少しだけ床から浮かせます
10. 支えている足の、3つの点の感じ方を確かめます(5秒ほどで十分です)
11. 反対の足でも行います

ふらつきが怖い方は、ステップ4は飛ばしてください。

見るポイント


  • 3つの点のうち、強く感じる点・感じにくい点はどこか
  • 左右で感じ方に違いはあるか
  • 目を閉じると、感じ方は変わるか
  • 目を閉じると、どちらかに寄っていく感じはあるか
  • 足指は床に着いているか、浮いているか、曲がっていないか
  • 片脚になると、3つの点の感じ方はどう変わるか


結果の読み方


かかとばかり感じる
→ 体重が後ろ寄りになっているかもしれません。立ち上がりや階段で、前に体重を移しにくいことがあります。

親指側ばかり感じる/小指側ばかり感じる
→ 体重が内側か外側に寄っているかもしれません。チェック1で見た足先の向きや膝の向きと、一緒に見てみましょう。

目を閉じると感じ方が大きく変わる
→ 普段、立っているときに目からの情報に頼っている割合が大きいのかもしれません。

足指が浮いている・床を押せない
→ 足指が、地面をとらえる役割をあまり果たせていない状態かもしれません。

片脚になると、片側だけ3点が分かりにくい
→ 片脚で体重を受け止めるときの情報の入り方に、左右差がある可能性があります。歩くときは必ず片脚で支える瞬間があるので、大切な情報です。

ここでも、感じ方の違いは「悪い足」の証拠ではありません。

足裏の感じ方は、その日の疲れ、普段履いている靴、立っている床でも変わります。

一つだけ変えてもう一度


足指を5回ほど、ゆっくりグー・パーと動かしてから、もう一度ステップ1〜3を行ってみてください。

足指を動かすと、足裏の皮膚や筋肉への刺激が増え、感じ方が変わることがあります。

変わらなくても、それも一つの結果です。

記録の例


裸足・リビング・夜。右はかかとと親指側を強く感じ、小指側がよく分からない。左は3点とも同じくらい。目を閉じると少し右後ろに寄る感じ。右の足指は少し浮いている。片脚では右の方がぐらつく。グーパー後、右の小指側が少し分かるようになった。ぐらつきは同じ。


チェック3 立ち上がり:足首と足裏は、動作の中でどう使われている?


なぜ立ち上がりを見るのか


チェック1とチェック2は、足首と足裏を「その場で」見るものでした。

チェック3では、それが実際の動作の中でどう使われているかを見ます。

椅子からの立ち上がりは、

  • 体重を前に移す
  • 足首を前に倒す
  • 足裏で床を押す
  • 膝と股関節を伸ばす


という、階段やしゃがみ込みにも共通する要素がすべて詰まった動作です。

しかも、一日に何十回と行う、とても身近な動作です。

立ち上がりの研究では、足を置く位置によって、立ち上がりやすさや膝にかかる力の大きさが変わることが示されています。

一般的に、足を少し手前(椅子側)に引くと、体重を足の上に移しやすくなり、立ち上がりが楽になる傾向があります。

一方で、足を手前に引くほど、足首はより大きく前に倒れる必要があります。

つまり立ち上がりは、

チェック1で見た足首の動きと、チェック2で見た足裏の使い方が、同時に試される動作

なのです。

やり方


1. 安定した椅子(キャスターのないもの)に座ります
2. 足を床にしっかり置きます。普段、肘掛けや手を使って立つ方は、いつも通りで大丈夫です
3. ゆっくり立ち上がり、ゆっくり座ります
4. これを2〜3回行います

可能なら、家族に正面と横から動画を撮ってもらうと、自分では気づかない動きが見えることがあります。

ご自分で撮る場合は、スマートフォンを台の上に固定して撮影してください。手に持ったまま立ち上がるのは危ないので避けましょう。

見るポイント


立ち上がりを、3つの場面に分けて見ます。

立ち始め(お尻が椅子から離れるまで)

  • 足裏のどこに体重を感じるか
  • かかとが浮いていないか
  • 上半身はどのくらい前に倒れているか


途中(お尻が離れてから、膝が伸びるまで)

  • 膝が足の人差し指〜中指の方向に進んでいるか、内側や外側にそれていないか
  • 足先の向きが変わっていないか
  • 身体が左右どちらかに寄っていないか


立ち終わり(まっすぐ立つまで)

  • 両足に均等に体重が乗っている感じがあるか
  • 膝が気になる場面はどこか


結果の読み方


立ち始めにかかとが浮く・上半身が大きく前に倒れる
→ 足首を前に倒す代わりに、別の方法で体重を前に移しているのかもしれません。チェック1の結果と比べてみましょう。

途中で膝が内側(または外側)にそれる
→ 補足でお伝えしたように、膝が内側に入るか外側に揺れるかは人によって違います。チェック1の足先の向き、チェック2の体重の寄り方と一緒に見てみましょう。

身体が片側に寄る
→ 片方の脚にあまり体重を乗せずに立っているのかもしれません。チェック2の片脚での感じ方と比べてみましょう。

膝が気になるのが「立ち始め」
→ 体重を前に移しながら、膝を曲げた状態で支える場面です。足を置く位置で変化が出やすい場面でもあります。

一つだけ変えてもう一度


次のうち、どちらか一つだけを選んで、もう一度立ち上がってみてください。

変化A 足を半足分だけ手前に引く

足を半足分だけ椅子側に引いてから立ち上がります。

体重を足の上に移しやすくなる一方、足首はより前に倒れる必要があります。

チェック1で足首が前に出にくかった側があれば、ここで違いを感じやすいかもしれません。

変化B 足裏の3つの点を感じてから立つ

座ったまま、足裏の3つの点が床に着いていることを確かめてから立ち上がります。

チェック2で、感じにくい点があった方におすすめです。

余裕がある方へ:階段で確かめる


立ち上がりで変化が見えた方は、普段の生活で気になる階段でも確かめることができます。

ただし、必ず手すりを持ち、一段だけ、上り下りに慣れた階段で行ってください。

  • 一段下りるとき、足首はどのくらい前に倒れているか
  • 着地するとき、足裏のどこから着いているか
  • 膝はどちらにそれているか


を観察します。

膝の痛みが強い方や、階段が怖い方は、無理に行う必要はありません。立ち上がりの観察だけで十分な情報が得られます。

記録の例


食卓の椅子・裸足・手は使わず。立ち始めに右へ寄る感じ。右のかかとが少し浮く。右膝は立ち始めに少し気になる。変化A(足を半足分引く)を試したら、立ち始めの右膝が少し楽。ただ右のかかとはさらに浮きやすくなった。


3つのチェックをつなげて読む


ここからが、今回のコラムで一番お伝えしたいところです。

3つのチェックは、バラバラに見るものではありません。

つなげて読むことで、自分の身体の「傾向」が見えてきます。

いくつか例を挙げてみます。

例1 足首の情報がつながっているタイプ


  • チェック1:右の足首が前に出にくく、かかとが浮きやすい
  • チェック2:右はかかと寄りに体重を感じる
  • チェック3:立ち始めに右のかかとが浮き、上半身が大きく前に倒れる


この場合、

「右の足首の動きが、右の立ち上がり方に関係しているかもしれない」

という一つの仮説が立ちます。

例2 足裏の情報がつながっているタイプ


  • チェック1:足首は左右でほぼ同じ
  • チェック2:右は小指側を感じにくく、片脚でぐらつく
  • チェック3:立ち上がりで身体が左に寄る(右に体重を乗せきれない)


この場合、

「右足の足裏で体重を受け止める感覚が、立ち上がりに関係しているかもしれない」

という仮説が立ちます。

例3 どれもつながらないタイプ


  • チェック1・2では左右差がはっきりしない
  • チェック3では膝が気になる


この場合、

「足首と足裏以外の場所も見てみる価値がある」

ということが分かります。

前回お伝えした「見る順番」では、膝の上には股関節があります。

足元で答えが見つからなかったことも、次にどこを見るかを決める大切な情報です。

仮説は「答え」ではない


ここで強調しておきたいのは、

これらはあくまで「仮説」であって、「原因の断定」ではない

ということです。

痛みには、身体の動きだけでなく、睡眠、疲れ、ストレス、これまでの経験など、さまざまなことが関わっています。

チェックで分かるのは、そのうちの一部です。

それでも、

「なんとなく膝が痛い」

から、

「右の立ち上がりで、足首と足裏にこういう特徴がある」

と言葉にできるようになることには、大きな意味があります。

自分で工夫するときにも、専門家に相談するときにも、話がぐっと具体的になるからです。

1週間の記録から見えること


チェックは、1回で終わりではありません。

何日か記録を続けると、その日の調子による違いと、いつも同じように出る特徴が分かれてきます。

例えば、こんな記録が集まったとします。

月曜・朝:右かかと浮く。右膝は立ち始めに気になる。
水曜・夜:右かかと浮く。右膝は気にならない。
金曜・朝:右かかと浮く。右膝は立ち始めに気になる。足を引くと少し楽。
日曜・夜:右かかと少し浮く。右膝は気にならない。


ここから見えてくるのは、

  • 右のかかとが浮くのは、曜日や時間に関係なく、いつも同じ特徴
  • 右膝が気になるのは、朝に多い
  • 足を引くと楽になったのは、一度だけの記録(まだ傾向とは言えない)


ということです。

このように、

いつも変わらない特徴と、日によって変わる症状を分けて見る

ことができると、自分の身体への理解がぐっと深まります。

結果をどう受け止める?


「一つだけ変えてもう一度」の結果は、4つのどれかで残します。

楽になった


何が楽になったかを、具体的に書きます。

「痛みが減った」「動きやすくなった」「不安が減った」は、それぞれ別の変化です。

楽になったことは、とても良い発見です。

ただ、その場の変化だけで「原因が分かった」「これで治る」と決める必要はありません。

同じ


そのまま「同じ」と書きます。

変化がないことも、「この条件はあまり関係がないかもしれない」という大切な情報です。

悪くなった


その条件はやめて、元のやり方に戻します。

確かめるために繰り返す必要はありません。

痛みが続く場合は、記録を持って専門家に相談しましょう。

分からない


前の感覚を思い出せない、見たい場所が見えなかった。

そんなときも「分からない」と書けば十分です。

脳と足裏をつなぐ足裏センサー・エクササイズ


チェックで足裏の特徴が見えてきたら、次は、足裏から脳へ、情報をはっきり届ける練習をしてみましょう。

こんな方に:チェック2で感じにくい点があった方、目を閉じると感じ方や体の寄り方が大きく変わった方、足指が浮いていた方

このエクササイズは、
感じる → 足の小さな筋肉を動かす → 目を閉じて、足裏に頼る
の順に進めます。

始める前に:今の状態をメモする


  • 椅子から2回立ち上がり、膝の気になり度(0〜10)
  • 裸足で立ったときの、足裏の3つの点の感じやすさ(0〜10、10=はっきり感じる)
  • 壁に手を添えて目を閉じたとき、体が寄っていく方向


ステップ1 足裏の3つの点を感じて立つ(1分)


1. 裸足で、壁のそばに肩幅くらいで立ちます
2. 5秒かけて、ゆっくり体重を前(親指の付け根・小指の付け根)へ移し、5秒かけて、かかとへ戻します
3. 同じように、5秒かけて親指側へ、5秒かけて小指側へ移します
4. 最後に、3つの点に同じくらい体重が乗る位置を探し、そこで10秒ほど立ちます

ポイント:ゆっくり動くのは、脳が「今、体重がどこに乗っているか」を足裏の情報で確かめる時間をつくるためです。感じにくい点があれば、その点に少し長めに体重を乗せてみましょう。

ステップ2 足指のグー・パーと「短い足」(1〜2分)


1. 椅子に座り、裸足で足裏を床につけます
2. 足指を5回、ゆっくりグー・パーと動かします
3. 次に「短い足(ショートフット)」です。足指は曲げずに、親指の付け根とかかとを床につけたまま、土踏まずを少しだけ持ち上げます。足の長さが少し短くなるようなイメージです
4. 持ち上げたところで5秒保ち、ゆっくり力を抜きます
5. これを5回。反対の足でも行います
6. 座ってできるようになったら、立って(壁に手を添えて)行います

ポイント:分かりにくいときは、土踏まずに指を当てて、少し持ち上がるのを手で確かめてください。触れた感じも、脳への大切な情報になります。

ステップ3 壁に手を添えて、目を閉じて立つ(1分)


1. 壁の前に立ち、両手を壁に添えます
2. ステップ1で見つけた「3つの点に同じくらい乗る位置」で立ちます
3. 壁に手を添えたまま目を閉じ、20秒ほど、足裏の3つの点の感じ方に注意を向けます
4. 目を開けて、ひと休みします。これを2〜3回

ポイント:目からの情報が少なくなると、脳は足裏からの情報をより頼りにして体を支えようとします。少し揺れるのは自然なことです。その揺れを足裏のどこで感じるかに、注意を向けましょう。

ふらつきが強い方は、目を開けたままで十分です。

ご家族と一緒に行うときは、そばで見守ってもらうと安心です。お互いに「どの点を感じにくかったか」を話してみるのもおすすめですよ。

回数とタイミングの目安


  • 1日1回、ステップ1〜3を合わせて3〜4分ほど
  • 最初の1週間はステップ1と2だけ。楽にできたらステップ3を加える
  • 同じ時間帯(例えば、朝の着替えの前)に行うと続けやすくなります
  • チェックは週に2〜3回で十分ですが、このエクササイズは毎日少しずつ行ってみてください
  • 回数は目安です。痛みが強くならない範囲で調整してください


よくある間違い


  • 速く動いてしまう(脳が足裏の変化を受け取る時間がなくなります)
  • 「短い足」で、足指を曲げて床をつかんでしまう
  • 目を閉じるときに、壁から手を離してしまう
  • 足がつりそうなのに、がまんして続ける


前後で比べる


終わったら、「始める前に」と同じ3つを、もう一度確かめてメモします。

結果は4つのどれかで残します。変わらなかった日も、大切な記録です。1〜2週間続けて、変化の傾向を見てみましょう。

研究で分かっていること


  • 膝OAのある高齢の方では、足裏の触覚や固有感覚がにぶく、それがバランスと関連していた。ただし一時点の比較で、原因かどうかは分からない(Shen 2024)
  • 足裏の感覚を一時的に鈍くすると、立っているときの体の揺れが変化する(チェック2で紹介した研究)
  • 足の小さな筋肉を「フットコア」としてとらえる考え方が提唱されている。ただし考え方の提案で、効果を確かめた研究ではない(McKeon 2015)


この3ステップの組み合わせそのものを確かめた研究はありません。研究で分かっていることをヒントに、家でできる形にした例として行ってみてください。

注意してほしいこと
足裏や足指がつる、膝や足の痛みがはっきり強くなる、めまいがする場合は、その場でやめてください。

記録のテンプレート


一回分のメモは、これくらいで十分です。

日付・時間:
条件(場所・靴か裸足か・椅子):
チェックしたこと:
見えたこと:
感じたこと:
変えた条件(一つ):
結果(楽・同じ・悪化・分からない):
気になった場面(立ち始め・途中・立ち終わり など):


「見えたこと」と「感じたこと」を分けて書くのがポイントです。

見ていないことは書かなくて大丈夫です。

空欄は「確かめていない」という情報になります。

このメモは、病院やリハビリで相談するときにも、とても役に立ちます。

よくある質問


Q.左右差があったら、問題があるということですか?


いいえ。左右がまったく同じ人はいません。

左右差は、それだけで良い・悪いを決めるものではありません。

痛みや困りごとがある動作と一緒に記録しておくことで、初めて意味のある情報になります。

Q.痛くない側を「お手本」にすればいいですか?


痛くない側は、比べるための参考になります。

ただ、痛くない側が「正解」で、痛い側をそれにそろえる、という考え方はおすすめしません。

もともと左右で違う動き方をしている人も多いからです。

Q.足首が硬いと分かったら、しゃがめるようにならないといけませんか?


いいえ。深くしゃがむために必要な足首の角度は、しゃがみ方や体格によって変わり、「何度ないといけない」という決まった基準はありません。

大切なのは、あなたの生活で困っている動作が、楽に、安心してできることです。

Q.毎日やった方がいいですか?


決まった回数はありません。

週に2〜3回、気になる時間帯に行うだけでも、記録がたまれば傾向は見えてきます。

Q.楽になった方法は、毎日続けた方がいいですか?


その場で楽になったことは、とても良い発見です。

ただ、それを毎日の運動として続けるかどうかは、症状や生活に合わせて考える必要があります。

何度か同じ結果が出るか、記録で確かめてみてください。

迷ったら、記録を持って専門家に相談してみましょう。

Q.膝が痛いなら、動かさない方がいいのでは?


変形性膝関節症などの慢性的な膝の痛みでは、運動は国際的な診療ガイドラインでも中心的な対策の一つとして強く勧められています。

痛みがはっきり強くなる動きは避けつつ、できる範囲で動きを確かめていくことが、膝を守ることにもつながります。

チェックをしてみて「自分ではうまく読み取れない」「記録はしたけれど、次に何をすればいいか分からない」という方もいらっしゃると思います。

大分駅から歩いて15分ほどの当院(大分市金池町)では、今回のような足首・足裏・立ち上がりの動きを一緒に確かめながら、どこから見ていくかを整理しています。
1〜2週間記録やエクササイズをためしても変化が分からない方は、一度ご相談ください。
記録したメモがあれば、ぜひお持ちください。

→ご相談・ご予約はこちら

まとめ


今回は、膝が気になる方に向けて、足首と足裏を自分で確かめる3つのチェックを紹介しました。

チェック1 足首
すねが足の上でどこまで前に倒れるかを、左右で比べる。
足首が足りないとき、身体がどんな工夫をしているかに気づく。

チェック2 足裏
親指の付け根・小指の付け根・かかとの3点で、体重の感じ方を比べる。
足裏は「土台」であり「センサー」であり「エンジン」でもある。

チェック3 立ち上がり
足首と足裏が、実際の動作の中でどう使われているかを見る。
3つの場面に分けて観察し、条件を一つ変えてもう一度。

そして一番大切なのは、

3つのチェックをつなげて読み、自分の身体の傾向を見つけること。

足裏の特徴が見えた方は、足裏センサー・エクササイズで、感じる → 動かす → 目を閉じて頼る、を少しずつためしてみてください。

どのチェックでも、

  • 見えたことと原因を分ける
  • 条件も一緒に書く
  • 変えるなら一つだけ
  • 結果は4つのどれかで残す


この4つのルールを忘れないでください。

身体は、条件が少し変わるだけで、ちゃんと違う反応を返してくれます。

その反応に気づけるようになることが、自分の膝と上手に付き合っていく第一歩です。

次回予告


前回お伝えした「見る順番」は、

足首 → 足裏 → 膝 → 股関節 → 歩行

でした。

今回のチェックで「足元だけでは説明がつかない」と感じた方もいるかもしれません。

次回はその続きとして、

「膝が気になる人のための、股関節の動きを確かめる方法」

をお届けします。

膝の下にある足首と足裏に続いて、膝の上にある股関節がどう動いているかを、一緒に見ていきましょう。

ぜひ、次回のコラムも楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅂ•́)و✧

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それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

参考文献


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足の内在筋(フットコア)
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受診の目安
National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management (NG226). 2022.

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安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

研究と臨床経験を組み合わせた『GENRYUメソッド』で、痛みの原因を一緒に紐解きます。体の変化をその場で確かめながら、ご自宅で続けられるセルフケアまでお伝えします。

安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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