坐骨神経痛に効く「大殿筋」をほぐす方法
こんにちは、GENRYUです(^^)
この記事の要点
・腰痛と一緒に、お尻から脚にかけての痛みやしびれ(いわゆる坐骨神経痛)がある方に向けた記事です。
・まず受診の目安を確かめ、そのうえで「しびれの地図」「楽になる姿勢・つらい姿勢」「くり返しの動きでの変化」の3つを自分で確かめます。
・MRIなどで見つかる椎間板の膨らみは、痛みのない方にもよく見られます(20歳で約3割、80歳で約8割)。画像の変化と今の症状は、分けて考えることが大切です。
・脚の痛みは、時間とともに良くなる方も多いことが分かっています。安静にしすぎず、できる範囲で動くことが基本です。まずは今日3分、「しびれの地図」を書くことから始められます。
・症状が強く動かしにくい日は「動きを思い描く」ことから始める、脳と神経をつなぐエクササイズも紹介します。
・セルフケアは、動ける範囲で歩く、楽になる方向の動き、神経のすべりを良くする運動の3つから、一つだけためします。
「腰だけでなく、お尻から太ももの裏までしびれる」
「長く座っていると、脚がジンジンしてくる」
「少し歩くと脚がつらくなって、休むとまた歩ける」
そんなお悩みはありませんか?
これまでの腰痛のコラムでは、「楽になる方向」を見つけて、毎日の生活に取り入れる方法をお伝えしてきました。
今回は、腰痛と一緒に脚の痛みやしびれがある方に向けて、自分で確かめる方法と、根拠のあるセルフケアを紹介します。
これまでのコラムをまだお読みでない方は、こちらからどうぞ。
→「前かがみで痛い?反らすと痛い?|腰痛を自分で確かめる3つのチェック」を読む
→前回「腰痛の『楽になる方向』を毎日に」を読む
始める前に:こんなときはすぐ医療機関へ
脚の症状があるときは、特に次の点を確かめてください。
- 尿が出にくい・漏れる、便の感覚がおかしい、お尻や股のまわりがしびれる(その日のうちに、夜間・休日でも受診を)
- 両脚にしびれや痛みが出てきた
- 足首やつま先が上がりにくい、スリッパが脱げやすい、つまずきやすいなど、脚の力が急に落ちてきた
- 転倒や事故のあとから痛い
- 発熱がある、原因のわからない体重減少がある、がんの治療を受けたことがある
- 安静にしていても、夜も、強い痛みが続く
最初の3つは、神経が強く圧迫されているサインのことがあります。
脚の力の変化は、自分では気づきにくいこともあります。ご家族と「最近スリッパが脱げやすくない?」「つまずくことが増えてない?」と声をかけ合ってみてください。当てはまれば、上の受診の目安にあたります。
→「馬尾症候群」ってなに?を読む
当てはまるものがなければ、ここから先に進みましょう。
「坐骨神経痛」は、病名ではなく症状の名前
「坐骨神経痛」という言葉はよく聞きますよね。
これは、お尻から脚にかけて走る坐骨神経のあたりに出る、痛みやしびれを指す症状の名前です。
その背景には、
- 腰の椎間板が飛び出して神経にふれる(椎間板ヘルニア)
- 背骨の中の神経の通り道が狭くなる(脊柱管狭窄症)
- そのほかの理由
など、いくつかの可能性があります。
どれが関わっているかは、診察や画像検査で総合的に判断されるもので、自分で決めることはできません。
だからこそ今回も、「何が原因か」を決めるのではなく、「どんなときに強くなり、どんなときに楽になるか」を確かめていきます。
脚の痛みは、時間とともに良くなる方も多い
脚の痛みを伴う腰痛でかかりつけ医を受診した609名を、1年間追った研究があります。
その結果、1年後に、半分を少し超える方(55%)で、日常生活の困りごとが3割以上軽くなっていました(Konstantinou 2018)。
また、この研究では、「この痛みは長く続くだろう」と考えている方ほど、良くなりにくい傾向がありました。
もちろん、考え方を変えれば治る、という意味ではありません。
ただ、「良くなる方も多い」と知っておくことは、不安を少し軽くしてくれるかもしれません。
画像の結果と、今の症状は分けて考える
「MRIでヘルニアがあると言われたから、このしびれはずっと治らないのでは」と心配される方もいらっしゃいます。
ここで知っておいてほしい研究があります。
腰に痛みのない方3110名の画像検査をまとめた研究では、痛みがなくても、椎間板の変性や膨らみが、年齢とともに多くの方に見られることが分かりました。
例えば、椎間板の膨らみは、20歳で約3割、80歳で約8割の方に見られています(Brinjikji 2015)。
つまり、画像に写った変化は、今の症状と「関連している」こともあれば、「たまたま一緒にある」だけのこともあるということです。
画像の結果が今の症状とどう関係するかは、症状の出方や診察の結果と合わせて、医師が判断するものです。
画像の結果だけで、「もう良くならない」と決めつける必要はありません。
今回も4つのルールで
- 「感じたこと」と「原因」を分けて書く
- 条件も一緒に書く(朝か夜か、何をした後か)
- 変えるなら一つだけ
- 結果は「楽になった・同じ・悪くなった・分からない」のどれかで残す
そして、脚の症状があるときに、いちばん大切なルールです。
脚のしびれや痛みが、足先の方へ広がる動きは、すぐにやめる
反対に、脚の症状が腰の方へ寄ってくる変化(センタリゼーション)は、良いサインのことが多いです。
まずは今日、3分だけ
全部のチェックをする時間がない方は、これだけでも大丈夫です。
1. 紙に人の後ろ姿を描き、痛みやしびれのある場所を塗ります(チェック1の「しびれの地図」)。腰の痛みと脚の痛みを、それぞれ0〜10でメモします
2. 痛みが強くならない範囲で、家の中を1〜2分ゆっくり歩きます
3. もう一度、地図と0〜10をメモします
→ 範囲や数字が変わっても、変わらなくても、それが今日の大切な記録です。しびれが足先の方へ広がったら、その場でやめてください。
チェック1 しびれ・痛みの「地図」を書く
まずは、体を動かさずにできるチェックです。
紙に簡単な人の絵(後ろ姿)を描き、痛みやしびれのある場所を塗ってみてください。
見るポイント
- 片脚だけか、両脚か
- どこまで広がっているか(お尻まで・太ももまで・膝より下まで・足先まで)
- 「痛み」か「しびれ」か「重だるさ」か
- 腰の痛みと脚の痛み、どちらがつらいか(0〜10で)
記入の例
右のお尻から、太ももの裏、ふくらはぎの外側までピリピリする。足先まではない。腰の痛み4/10、脚の痛み6/10。左脚は問題なし。
この地図が役に立つ理由
この地図は、これから行うチェックや、セルフケアの効果を比べる「ものさし」になります。
例えば、
- 足先まであったしびれが、ふくらはぎまでになった → 良い変化のことが多い
- 太ももまでだったしびれが、足先まで広がってきた → その動きや活動は控え、続く場合は受診を
というように、場所の変化を見ることができます。
両脚に広がっている方は、受診の目安に当てはまります。先に医療機関で相談してください。
チェック2 楽な姿勢・つらい姿勢を書き出す
次に、普段の生活で、脚の症状が強くなる場面と、楽になる場面を書き出してみます。
よくある2つのパターン
パターン1:座る・前かがみでつらくなる
長く座っていると脚がジンジンする、前かがみで靴下をはくと脚に響く、など。
立って歩いている方が楽なこともあります。
パターン2:立つ・歩くでつらくなり、座ると楽になる
しばらく歩くと脚がしびれたり重くなったりして、座ったり前かがみになったりすると楽になる。
スーパーのカートを押しながらだと歩きやすい、自転車なら楽、という方もいます。
パターン2は、脊柱管狭窄症でよく見られる特徴として知られています(Katz 2008)。
ただし、パターンだけで原因を決めることはできません。
どちらにも当てはまらない方、両方に当てはまる方もいます。
記入の例
10分ほど歩くと右のふくらはぎがしびれてくる。ベンチに座って少し休むと楽になる。自転車はつらくない。長く座っているのは平気。→パターン2に近い。
この結果は、チェック3で「どの方向をためすか」を選ぶ手がかりになります。
チェック3 くり返しの動きで、脚の症状がどう変わるか
前々回のコラムでお伝えした「楽になる方向」のチェックを、脚の症状に注目して行います。
やり方
1. チェック1の地図で、今の脚の症状の範囲と強さを確かめます
2. チェック2で、楽になりやすかった方向を一つ選びます
- パターン1(座る・前かがみでつらい)の方 → 立って反らす動き
- パターン2(立つ・歩くでつらい)の方 → 椅子に座って前かがみになる動き
- どちらとも言えない方 → 痛みが強くならない方を選ぶ
3. 選んだ動きを、ゆっくり5回くり返します
4. もう一度、脚の症状の範囲と強さを確かめます
5. 変化がなければ、さらに5回くり返して確かめます
結果の読み方
脚の症状が、腰の方へ寄ってきた・範囲が狭くなった
→ 良いサインのことが多いです。その方向が、あなたにとっての「楽になる方向」かもしれません(May 2018)。
脚の症状は同じだが、腰が少し楽になった
→ 方向としては合っている可能性があります。続けて様子を見ましょう。
変わらない
→ 別の方向を少しだけためすか、今は無理に方向を探さず、セルフケア1(歩く・動く)を優先しましょう。
脚の症状が足先の方へ広がる・強くなる
→ すぐにやめて、その方向は避けます。続く場合は専門家に相談してください。
根拠のあるセルフケア3つ
チェックの結果をふまえて、次の3つから一つだけ選び、1〜2週間ためしてみてください。
セルフケア1 安静にしすぎず、できる範囲で動く
研究で分かっていること
坐骨神経痛の方を対象にした研究のまとめでは、「安静にする」ように勧めた場合と、「できる範囲で動く」ように勧めた場合で、痛みや日常生活の困りごとにほとんど差がありませんでした(Dahm 2010)。
つまり、安静にしたからといって、早く良くなるわけではないということです。
また、別の研究のまとめでは、専門家の指導のもとで行う運動は、「動けるように動いてください」というアドバイスだけの場合に比べて、短い期間の脚の痛みを少しだけ和らげました。ただし、長い目で見ると差はありませんでした(Fernandez 2015)。
取り入れ方
- 痛みが強くならない範囲で、家事や散歩など普段の活動を続ける
- パターン2の方は、歩くときに休憩をはさむ、自転車を使うなど、楽な姿勢を組み合わせる
- 同じ姿勢を長く続けない(30分〜1時間ごとに姿勢を変える)
セルフケア2 「楽になる方向」の動き
こんな方に:チェック3で、脚の症状が腰の方へ寄ってきた・範囲が狭くなった方
やり方
チェック3で見つけた方向の動きを、1日に数回、1回5回を目安に行います。
前回のコラムでお伝えした「いつもしていることに結びつける」コツを使うと、続けやすくなります。
研究で分かっていること
くり返しの動きで脚の症状が腰の方へ寄ってくる変化は、その後の経過が良い目安とされています(May 2018)。
ただし、この変化がすべての方に起こるわけではなく、起こらないから悪い、というわけでもありません。
セルフケア3 神経のすべりを良くする運動
こんな方に:お尻から脚に、つっぱる感じやピリピリ感があり、セルフケア1・2で変化が少ない方
神経は、体を動かすときに、周りの組織の中を少しずつすべるように動いています。
この動きをやさしく促す運動を「神経モビライゼーション(ニューロダイナミクス)」と呼びます。
やり方は、このあとの「脳と神経をつなぐ神経すべりエクササイズ」で、症状の強さに合わせて段階に分けて紹介します。
運動中・運動後の目安
どのセルフケアでも、
- チェック1の地図で、脚の症状の範囲が広がっていない
- 翌朝には、運動前の状態に戻っている
- 週を追うごとに、症状が強くなっていない
を目安にしてください。
この範囲を超える場合は、量や強さを減らすか、いったん中止して相談しましょう。
症状が強い日の過ごし方
脚の痛みには、波があることも多いです。
症状が強い日は、無理にセルフケアの量を増やさず、次のように過ごしてみてください。
- チェック2で分かった「楽な姿勢」で、まず休む
- 動かすのがつらいときは、このあと紹介するエクササイズの「レベル0(思い描く)」だけ行う
- 少し落ち着いたら、家の中を数分歩くなど、小さく動く
- その日の記録に「強い日」と書き、前の日に何をしたかを残しておく
強い日が何度かあったら、記録を見返してみましょう。
「長く座った翌日」「重い物を持った日」など、共通する条件が見えてくることがあります。
ただし、受診の目安に当てはまる変化があれば、波だと思わずに受診してください。
脳から見た、脚の痛みとしびれ
1. 神経の痛みにも、脳の「守って」のサインが重なる
以前のコラムでお伝えしたように、痛みは「体が壊れている量」をそのまま表すものではなく、脳が「この部分を守る必要がある」と判断したときに出すサインと考えられています(Moseley & Butler 2015)。
この考え方は、体の側(神経など)から届く信号の役割を否定するものではありません。
脚の痛みやしびれでも、神経からの信号に、脳の「守って」という判断が重なっている、と考えることができます。
ただし、脳の判断が脚の痛みの「原因」だという意味ではありません。神経に負担がかかっていることも、もちろんあります。
2. 思い描くだけでも、脳の運動のネットワークは働く
脳の画像研究75本をまとめた報告では、動きを頭の中で思い描くだけでも、実際の運動で使われる領域を多く含む、脳の広いネットワークが働くことが示されています(Hétu 2013)。
ただし、筋肉に指令を出す中心の部分(一次運動野)が働くかどうかは、研究によって一貫していませんでした。
また、これは脳の働きを調べた研究で、思い描く練習で脚の痛みやしびれが良くなるかを確かめたものではありません。
それでも、症状が強く動かしにくい日は、まず「思い描く」ことから始める、という考え方の手がかりになります。
脳と神経をつなぐ神経すべりエクササイズ
セルフケア3の「神経のすべりを良くする運動」を、上の「思い描く」しくみと組み合わせ、症状の強さに合わせて段階に分けたものです。
こんな方に:お尻から脚に、つっぱる感じやピリピリ感があり、セルフケア1・2で変化が少ない方。症状が強く、動かすのが不安な日がある方
始める前に:今の状態をメモする
- チェック1の「しびれの地図」(どこまで広がっているか)
- 脚のつっぱり・しびれの強さ(0〜10)
レベル0 思い描く(症状が強い日に・1分)
1. 楽な姿勢で座るか横になり、目を閉じます
2. 下のレベル1の動き(膝を伸ばしながら顔を上へ、膝を曲げながら顔を下へ)を、ゆっくり、楽に行っている自分を思い描きます
3. これを5回くり返します
ポイント:脚を動かさなくても、脳は動きの練習の一部を行えます。動かすのがつらい日の「脳から始める練習」です。
レベル1 座って、膝を伸ばす+顔を上へ(1〜2分)
1. 椅子に浅く腰かけ、背すじを軽く伸ばします
2. 症状のある側の膝を、ゆっくり伸ばしていきます
3. 膝を伸ばすのと同時に、顔を少し上に向けます
4. 膝を曲げて戻すのと同時に、顔を少し下に向けます
5. これを、ゆっくり10回くり返します
ポイント:膝を伸ばすときに頭を上げることで、神経を強く引っぱらずに、すべらせるように動かします。脳に「この脚の動きは大丈夫」という情報を届けるイメージです。
レベル2 足首の動きを加える(1〜2分)
レベル1が数日続けて楽にできたら、足首の動きを小さく加えます。
1. レベル1と同じように座ります
2. 膝を伸ばし顔を上に向けるのと同時に、つま先を軽く自分の方へ起こします
3. 膝を曲げ顔を下に向けるのと同時に、つま先を軽く床の方へ向けます
4. これを、ゆっくり10回くり返します
ポイント:動きが一つ増えるぶん、脳が受け取る脚の情報も増えます。足首の動きは小さく、つっぱりを感じる手前までにとどめます。
回数とタイミングの目安
- 症状が強い日はレベル0だけ、落ち着いている日はレベル1から
- 1日2〜3回。座ってテレビを見る前など、いつもしていることに結びつける
- レベル1で、つっぱり・しびれが強くならない日が数日続いたらレベル2へ
- 回数は目安です。症状が強くならない範囲で調整してください
よくある間違い
- つっぱりを感じるところで止めて、伸ばし続ける
- 速く、勢いをつけて動かす
- 膝を伸ばすときに顔が下を向く(「すべらせる」ではなく「引っぱる」動きになります)
- 症状が強い日に、無理にレベルを上げる
前後で比べる
終わったら、「しびれの地図」と、つっぱり・しびれの強さ(0〜10)をもう一度メモします。
- 範囲が腰の方へ寄った・狭くなった → 良いサインのことが多い
- 同じ → 次の回も、同じレベルで続ける
- 足先の方へ広がった → その場で中止し、次からは一つ前のレベルに戻る
翌朝、運動前の状態に戻っているかも確かめましょう。
研究で分かっていること
神経モビライゼーションの研究40本をまとめた報告では、慢性の腰痛で痛みと日常生活の困りごとが、首から腕にかけての痛みで痛みが、それぞれ改善したことが示されました(Basson 2017)。
ただし、研究の質にはばらつきがあり、坐骨神経痛に限った効果は、まだはっきりしていません。
また、「思い描く」ことについての研究(Hétu 2013)は、脳の働きを調べたもので、症状への効果を確かめたものではありません。この組み合わせそのものを確かめた研究はありません。研究の考え方を、家でできる形にした例として行ってみてください。
注意してほしいこと
これは「神経を伸ばす」ストレッチではありません。つっぱりやしびれが強くなる手前までの、小さくやさしい動きで行います。
行った後にしびれが強くなる、足先へ広がる場合はやめてください。
生活の中の、小さな工夫
セルフケアと合わせて、チェック2で分かった「楽な姿勢」を、生活の中に取り入れてみましょう。
パターン1(座る・前かがみでつらい)の方
- 座るときは、腰と背もたれの間に丸めたタオルをはさみ、骨盤を立てる
- 30分に一度は立ち上がり、軽く反らすか、少し歩く
- 床の物を拾うときは、腰を丸めるより、膝を曲げてしゃがむ
パターン2(立つ・歩くでつらい)の方
- 台所仕事では、片足を低い台にのせる
- 歩くときは、つらくなる前に休憩をはさむ(休憩するベンチの場所を決めておく)
- 寝るときは、横向きで膝を軽く曲げる、または仰向けで膝の下にクッションを入れる
どれも「一つだけ」ためして、チェック1の地図で変化を確かめてください。
工夫も、セルフケアと同じように、楽になったものだけ残していくのがコツです。
1週間の記録から見えること
例えば、パターン2に近い方で、こんな記録が集まったとします。
月:10分歩くと右ふくらはぎがしびれる。座って前かがみ5回で、しびれが膝の裏まで引く。
水:12分歩けた。前かがみ5回でしびれが膝の裏まで。
金:10分でしびれる。前かがみ5回で変化少ない。前日に長く立ち仕事。
日:15分歩けた。休憩を2回はさむと楽。
ここから見えてくるのは、
- 座って前かがみになると、しびれが膝の裏まで引くことが多い(4回中2回はっきり、1回は変化少ない)
- 立ち仕事の翌日は、症状が出やすい(一度だけの記録)
- 歩ける時間が、少しずつ延びてきている
ということです。
この場合、「歩くときに休憩をはさみ、休憩のときに座って前かがみの動きを入れる」という次の一歩が考えられます。
結果をどう受け止める?
楽になった
何が楽になったか(脚の痛み・しびれの範囲・歩ける時間・不安)を分けて書きます。
同じ
選んだセルフケアは、今の症状にはあまり関係がなかったのかもしれません。別の一つに変えてみましょう。
悪くなった
そのセルフケアはやめて、元に戻します。脚の症状が広がった場合、両脚に出てきた場合、脚の力が落ちてきた場合は、医療機関を受診してください。
分からない
チェック1の地図を、毎回同じ時間帯に書くようにしてみましょう。
記録のテンプレート
日付・時間:
条件(起きてから何時間か、何をした後か):
しびれ・痛みの地図(どこまで・片脚か両脚か):
腰の痛み・脚の痛み(0〜10):
つらい姿勢・楽な姿勢(パターン1・2):
くり返した方向と回数:
くり返した後の地図の変化(腰へ寄った・同じ・広がった):
ためしたセルフケア(一つ):
結果(楽・同じ・悪化・分からない):
記録を持って相談するときのコツ
脚の症状があるときは、次の3つを一枚にまとめておくと、受診のときにとても役立ちます。
- しびれ・痛みの地図(いつから、どこまで、片脚か両脚か、変化しているか)
- つらい姿勢と楽な姿勢(例:10分歩くとしびれ、座ると楽になる)
- 脚の力の変化(つまずきやすい、スリッパが脱げやすい、などがあるか)
特に、しびれの範囲や、脚の力の変化が「いつから、どう変わったか」は、医師が判断するうえで大切な情報になります。
よくある質問
Q.脚がしびれるとき、ストレッチで伸ばしてもいいですか?
お尻や太ももの裏を強く伸ばすと、神経も一緒に引っぱられ、しびれが強くなることがあります。
伸ばす場合は、しびれが強くならない範囲にとどめてください。
迷ったら、セルフケア3のような「すべらせる」小さな動きから始めるのがおすすめです。
Q.脚のしびれは、どれくらいで良くなりますか?
人によって大きく違います。
先ほどの研究では、1年後に半分を少し超える方が良くなっていましたが、その一方で、良くなりにくい方もいました。
数週間たっても良くならない、だんだん強くなる、という場合は、整形外科で相談してください。
Q.歩くと脚がつらくなるので、歩かない方がいいですか?
パターン2のように、歩くと脚がつらくなる方は、休憩をはさみながら歩く、自転車を使う、プールで歩くなど、楽な姿勢を組み合わせると動きやすくなることがあります。
歩ける時間を記録しておくと、少しずつの変化に気づきやすくなります。
Q.痛みはなく、しびれだけの場合も同じでいいですか?
基本の考え方は同じです。チェック1の地図で、しびれの範囲と強さを記録してください。
ただ、しびれだけの場合は変化に気づきにくいので、「靴下をはくときの感じ」「床に足をついたときの感じ」など、毎日必ずする動作で確かめると比べやすくなります。
感覚が鈍くなる範囲が広がる、力が入りにくくなる、という場合は受診してください。
Q.病院と整体、どちらに先に行けばいいですか?
受診の目安に一つでも当てはまる方、脚の力が落ちてきた方、しびれの範囲が広がっている方は、まず整形外科を受診してください。
当てはまらない方で、画像検査などで大きな問題がないと言われたけれど困っている、という場合には、姿勢や動きによる変化を一緒に確かめていくことも選択肢になります。
迷ったときは、先に医療機関で相談しておくと安心です。
Q.マッサージや温めるのは、脚のしびれにも効きますか?
前回お伝えしたように、腰痛では、マッサージや温めることで短い期間楽になるという研究があります。
ただ、脚のしびれに限った研究は多くありません。
使う場合は、楽になったタイミングで動くケアにつなげる、という使い方がおすすめです。
「しびれの地図をどう読めばいいか分からない」「どのセルフケアを選べばいいか迷う」という方もいらっしゃると思います。
受診の目安に当てはまる方は、まず整形外科などの医療機関を受診してください。
当てはまらず、困っている場面や体の動きを整理したい方は、大分駅から歩いて15分ほどの当院(大分市金池町)でも、姿勢や動きによる症状の変化を一緒に確かめながら、どこから始めるかを整理しています。
1〜2週間ためしても変化が分からない方は、一度ご相談ください。
しびれの地図や記録があれば、ぜひお持ちください。
まとめ
今回は、腰痛と一緒に脚の痛みやしびれがある方に向けて、自分で確かめる方法と、根拠のあるセルフケアを紹介しました。
- まず受診の目安を確かめる(特に、排尿・排便の変化、両脚の症状、脚の力の低下)
- 「坐骨神経痛」は症状の名前で、原因は人によって違う
- 画像の変化は、痛みのない方にもよく見られる(関連と原因は分けて考える)
- 脚の痛みは、時間とともに良くなる方も多い
- チェック1:しびれ・痛みの地図を書く
- チェック2:楽な姿勢・つらい姿勢を書き出す
- チェック3:くり返しの動きで、脚の症状がどう変わるかを見る
- セルフケアは、できる範囲で動く・楽になる方向の動き・神経のすべりを良くする運動から一つだけ
- 神経すべりエクササイズは、症状が強い日は「思い描く」ことから
- 脚の症状が足先へ広がる動きは、すぐにやめる
次回予告
次回は、「座りっぱなしで腰がつらい方へ|何分でつらくなる?座り方で変わる?自分で確かめる3つのチェック」をお届けする予定です。
お仕事のデスクワークや、大分では欠かせない車の運転など、「座っている時間」と腰痛の関係を見ていきます。「何分でつらくなるか」「座り方を一つ変えるとどうなるか」などを自分で確かめる方法と、セルフケアを紹介します。
今回の「パターン1(座る・前かがみでつらい)」に近かった方は、ぜひ次回もあわせて読んでみてください。
ぜひ、次回のコラムも楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅂ•́)و✧
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それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)
参考文献
脚の痛みを伴う腰痛の経過
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痛みのない方の画像所見
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センタリゼーションと方向の好み
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