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安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

座りっぱなしで腰がつらい方へ|何分でつらくなる?座り方で変わる?自分で確かめる3つのチェック

安部元隆

安部元隆

テーマ:腰痛・背中の痛み

こんにちは、GENRYUです(^^)

この記事の要点
・デスクワークや車の運転など、長く座ると腰がつらくなる方に向けた記事です。
・研究では、「座ること」だけが腰痛の原因とは言えないことが分かっています。大切なのは、座り方そのものより「同じ姿勢が続くこと」と「自分に合った座り方」です。
・座るとつらくなるのは、腰が弱いからとは限りません。「座るとつらい」経験のくり返しで、脳が「座る=守るべき場面」と予測しやすくなっている、という考え方もあります。
・「何分でつらくなるか」「座り方を一つ変えるとどうなるか」「立ち上がったときにどう変わるか」の3つを自分で確かめます。まずは3分でできる方法から始められます。
・立ち上がれない場面でも座ったままできる、脳と骨盤をつなぐ「骨盤時計」エクササイズも紹介します。
・セルフケアは、動く休憩、立って作業する時間、楽になる方向の動き、ストレッチと体幹の運動の4つから、一つだけためします。


「パソコン作業を続けていると、夕方には腰が重い」
「車で1時間走ると、降りるときに腰が伸びない」
「良い姿勢を意識しているのに、かえって疲れる」

そんなお悩みはありませんか?

前回は、腰痛と一緒に脚のしびれがある方に向けて、自分で確かめる方法をお伝えしました。

その中で、「座る・前かがみでつらくなる」パターンの方がいらっしゃいました。

今回は、その中でも特に多い「長く座ると腰がつらい」というお悩みに絞って、デスクワークと車の運転の場面で確かめる方法と、根拠のあるセルフケアを紹介します。

これまでのコラムをまだお読みでない方は、こちらからどうぞ。
→「前かがみで痛い?反らすと痛い?|腰痛を自分で確かめる3つのチェック」を読む
→前回「坐骨神経痛かな?と思ったら」を読む

始める前に:こんなときは医療機関へ


次のような場合は、セルフチェックより先に医療機関を受診してください。

  • 尿が出にくい・漏れる、便の感覚がおかしい、お尻や股のまわりがしびれる(その日のうちに、夜間・休日でも受診を)
  • 両脚のしびれ、脚の力が急に落ちてきた
  • 転倒や事故のあとから痛い
  • 発熱がある、原因のわからない体重減少がある、がんの治療を受けたことがある
  • 安静にしていても、夜も、強い痛みが続く


→「馬尾症候群」ってなに?を読む

当てはまるものがなければ、ここから先に進みましょう。

「座ると腰が悪くなる」は本当?


「座り仕事だから、腰痛になるのは仕方ない」

そう思っている方も多いかもしれません。

ところが、研究を見てみると、少し違った姿が見えてきます。

座ることだけが原因とは言えない


仕事で座る時間と腰痛の関係を調べた研究24本をまとめた報告では、座り仕事だけで腰痛が起こる、という因果関係は確認されませんでした(Roffey 2010)。

さらに、姿勢や体の使い方と腰痛についての研究のまとめ41本を、さらにまとめた報告でも、「関連」は報告されているものの、「原因」とまでは言えないと結論づけています(Swain 2020)。

では、なぜ座るとつらくなるの?


ここで大切なのは、「座ることが原因ではない」ということと、「座るとつらくなる方がいる」ということは、両方とも本当だということです。

すでに腰痛がある方にとって、同じ姿勢が長く続くことは、症状が出やすい「条件」の一つになります。

だからこそ今回も、「座るのが悪い」と決めつけるのではなく、「どんな座り方を、何分続けると、どう変わるか」を確かめていきます。

「正しい座り方」は、一つではない


「背すじをピンと伸ばして座りましょう」とよく言われますよね。

ところが、慢性の腰痛がある方と、ない方の座り方を比べた研究では、全体で比べると、ふだんの座り方に違いは見られませんでした。

ただし、腰痛のある方をタイプ別に分けてみると、

  • 腰を丸めすぎて座っている方
  • 腰を反らしすぎて座っている方


の両方がいることが分かりました(Dankaerts 2006)。

つまり、「背すじを伸ばす」が合う方もいれば、かえって反らしすぎになっている方もいるということです。

この研究は67名と少人数で、座り方を変えれば治る、ということまでは示していません。

それでも、「自分に合った座り方を、自分で確かめる」ことの大切さを教えてくれます。

脳から見た「座るとつらい」


座ることが原因とは言えないのに、なぜ座るとつらくなる方がいるのでしょうか。

これまでのコラムでお伝えした脳の話を、「座る」場面に当てはめてみます。

1. 脳が「座る=守るべき場面」と予測している可能性


以前のコラムでお伝えしたように、痛みは「体が壊れている量」ではなく、脳が「守る必要がある」と判断したときに出すサインと考えられています(Moseley & Butler 2015)。

ここからは、まだ研究で確かめられた結論ではなく、考え方の一つです。

「座っていると腰がつらくなる」という経験をくり返すと、脳が「座る=守るべき場面」と予測しやすくなり、座っている時間が長くなるほど「守って」のサインを出しやすくなっているのかもしれません。

これは「座ることが危険」という意味ではありません。

以前のコラムでお伝えした「恐怖回避」の考え方のように、怖さから避け続けるより、向き合う経験の方が怖さを減らしていくとされています(Vlaeyen & Linton 2000)。

だからこそ、座るのをやめるのではなく、条件を一つ変えて「この座り方なら大丈夫だった」という経験を記録で確かめることに意味があります。

2. 背中の「地図」と、感じながら動く練習


以前のコラムでお伝えしたように、慢性腰痛の方では背中の触覚が低下している傾向があり、脳の中の「背中の地図」がぼやけている可能性が考えられています(Catley 2014)。

ただし、これは「関連」で、地図のぼやけが痛みの原因と決まったわけではありません。

また、痛みの教育と、段階的に感じ方や動きを練習する方法を組み合わせた研究では、痛みが偽の治療より平均1.0点(0〜10)多く下がりました(Bagg 2022)。改善は小さく、1つの施設での研究です。

3. ゆっくり、注意を向けて動く「学習」


フェルデンクライス・メソッドという方法があります。小さな動きをゆっくり行い、どう動いているかに注意を向けることで、動き方を学び直す方法です。

20本のランダム化比較試験(くじ引きのようにグループを分けて比べる研究)をまとめた報告では、高齢の方のバランスの改善が支持されました。椅子から立って歩き、戻って座るまでの時間(TUG)が平均1.14秒短くなった、という結果もあります(Hillier 2015)。

また、一つずつの研究ですが、動くときの「努力感」が減った、快適さが増した、という報告もあります。

ただし、研究の偏りのリスクは高いとされています。中心となる結果は高齢の方のバランスで、座っていてつらい腰痛について確かめたものではありません。

この「ゆっくり・小さく・感じながら」という考え方を参考にしたのが、後半で紹介する「骨盤時計」エクササイズです。

今回も4つのルールで


  • 「感じたこと」と「原因」を分けて書く
  • 条件も一緒に書く(朝か夕方か、何分座った後か)
  • 変えるなら一つだけ
  • 結果は「楽になった・同じ・悪くなった・分からない」のどれかで残す


まずは今日、3分だけ:座ったまま → 立って動く → もう一度
タイマーや1週間の記録は、余裕がある日だけで大丈夫です。

1. 座ったまま、今の腰のつらさを0〜10でメモします(0=まったくつらくない、10=とてもつらい)
2. 立ち上がって、次のどちらか一つだけをします
・腰に手を当てて、ゆっくり5回反らす
・その場で1分ほど歩く
3. もう一度、腰のつらさを0〜10でメモします

反らすとつらい方は、歩く方を選んでください。

→ 動いた後に数字が下がるなら、「同じ姿勢が続くこと」が関わっているかもしれません。数字が変わらなくても、それが今日の大切な記録です。


チェック1 何分で、どこが、どうつらくなるかを測る


まずは、ふだん通りに座って、つらくなるまでの時間を測ってみます。

やり方


1. 座り始めの腰の状態を、0〜10で記録します
2. スマホのタイマーを15分ごとに鳴るように設定します
3. タイマーが鳴るたびに、腰の状態を0〜10で記録します
4. 「つらくなってきた」と感じた時間と、つらくなった場所を書きます

15分ごとの記録が負担な方は、つらくなり始めた時刻だけでも大丈夫です。

見るポイント


  • 何分でつらくなり始めるか
  • つらくなる場所(腰の真ん中・片側・お尻・脚)
  • つらさの種類(重い・張る・痛い・しびれる)
  • 午前と夕方で違うか


記入の例


午前:座り始め1/10、30分で2/10、45分で4/10、腰の真ん中が重い。
夕方:座り始め3/10、15分で4/10。午後に長い会議あり。


この「何分でつらくなるか」が、これから比べるためのものさしになります。

チェック2 座り方を一つだけ変えて比べる


次に、座り方を一つだけ変えて、チェック1と同じように測ってみます。

ためす候補(どれか一つ)


候補A:腰と背もたれの間に、丸めたタオルをはさむ
腰が丸まりやすい方向け。骨盤が後ろに倒れにくくなります。

候補B:背すじを伸ばしすぎず、少し力を抜いて背もたれに寄りかかる
「良い姿勢」を意識しすぎて、腰が反りすぎている方向け。

候補C:椅子の高さを変え、膝と股関節がほぼ同じ高さになるようにする
椅子が低すぎる・高すぎる方向け。

選び方のヒント


座っていて、腰が丸まっている方がつらいと感じる方は候補A、背すじを伸ばしている方がつらいと感じる方は候補Bから始めてみてください。

分からない方は、候補Cから始めるのがおすすめです。

結果の読み方


つらくなるまでの時間が延びた
→ その座り方が、今のあなたに合っている可能性があります。

変わらない
→ 別の候補を一つだけためしてみましょう。座り方より、座っている「時間」の方が関わっているのかもしれません。

つらくなるまでの時間が短くなった
→ その座り方は合っていない可能性があります。元に戻しましょう。

チェック3 立ち上がったときの変化を見る


長く座った後、立ち上がったときの腰の変化も、大切な手がかりになります。

やり方


1. つらくなってきたところで、ゆっくり立ち上がります
2. 立ち上がった直後の腰の状態を、0〜10で記録します
3. 次のどちらか一つをためします

  • 腰に手を当てて、ゆっくり5回反らす
  • その場で1分ほど歩く

4. もう一度、腰の状態を記録します

結果の読み方


立ち上がって動くと、すぐ楽になる
→ 「同じ姿勢が続くこと」が関わっている可能性があります。セルフケア1・2が合っているかもしれません。

反らすと楽になる
→ 第1回でお伝えした「楽になる方向」が、反らす方向の可能性があります。セルフケア3へ。

立ち上がってもしばらくつらい、または脚に症状が広がる
→ 無理に動かず、記録を持って専門家に相談しましょう。

車の運転で確かめたいこと


大分では、通勤や買い物で車を使う方が多いですよね。

運転は、デスクワークと違って、途中で立ち上がることが難しいのが特徴です。

研究で分かっていること


乗り物や機械などから、仕事で全身に振動を受ける方を対象にした研究20本をまとめた報告では、全身の振動を受けることと、腰痛や坐骨神経痛の多さとの間に関連が見られました(Burström 2015)。

ただし、これは仕事として振動を受け続ける方の研究で、ふだんの通勤や買い物の運転に、そのまま当てはまるわけではありません。

また、仕事で運転する方の姿勢と腰痛についての研究をまとめた報告では、「どんな運転姿勢が腰痛と関係するか」は、まだはっきりしていないとされています(Tinitali 2021)。

つまり、「この運転姿勢が正しい」と言い切れる根拠は、まだ十分ではありません。

だからこそ、ここでも自分で確かめることが役に立ちます。

運転で確かめる3つのポイント


  • 何分運転するとつらくなるか(チェック1と同じように記録)
  • シートの調整を一つだけ変えるとどうなるか(背もたれの角度、座面の前後、腰とシートの間にタオル、のどれか一つ)
  • 降りたときにどう変わるか(チェック3と同じように記録)


記入の例


大分市内から別府まで約40分。30分ほどで腰の右側が重くなる。降りてすぐは3/10、5回反らすと1/10。
次の日、背もたれを少し起こして運転。40分でも1/10。


長距離の運転では、つらくなる時間より少し前に、休憩をはさむ計画を立てておくと安心です。

根拠のあるセルフケア4つ


チェックの結果をふまえて、次の4つから一つだけ選び、1〜2週間ためしてみてください。

セルフケア1 動く休憩をはさむ


こんな方に:チェック3で、立ち上がって動くとすぐ楽になった方

研究で分かっていること
オフィスで働く方を対象にした研究11本のまとめでは、休憩の取り方はさまざまでしたが、姿勢を変えて体を動かす休憩は、腰の痛みや不快感を和らげる可能性があると報告されています(Waongenngarm 2018)。

また、休憩をとっても、仕事の効率は下がらなかったとされています。

ただし、休憩の長さや回数はバラバラで、「何分ごとに何分」という決まった答えはまだありません。

取り入れ方

  • チェック1で分かった「つらくなる時間」より少し前に、タイマーを設定する
  • タイマーが鳴ったら、立ち上がって30秒〜1分ほど歩く、または5回反らす
  • 電話のときは立つ、資料を取りに行くなど、仕事の流れに組み込む


セルフケア2 立って作業する時間をつくる


こんな方に:座っている時間そのものが長く、休憩をはさむのが難しい方

研究で分かっていること
慢性の腰痛がある大学職員46名を対象にした研究では、立っても座っても作業できる机を使ったグループで、腰の痛みが軽くなっていました(Ognibene 2016)。

ただし、人数が少なく、期間も3か月と短い研究です。

取り入れ方

  • 専用の机がなくても、高めのカウンターや棚の上で、立って作業する時間をつくる
  • 最初は1回15分ほどから始める
  • 立ちっぱなしもつらくなるので、「座る・立つ」を入れ替えることを目安にする


セルフケア3 楽になる方向の動き


こんな方に:チェック3で、反らすと楽になった方

第1回でお伝えした「楽になる方向」の動きを、座り仕事の合間に取り入れます。

やり方
立ち上がって、腰に手を当て、ゆっくり5回反らします。

1日に数回、座り仕事の休憩や、車を降りたときに行うのがおすすめです。

反らすとつらい方は、無理に行わず、別のセルフケアを選んでください。

セルフケア4 ストレッチと体幹の運動


こんな方に:今は強い痛みはないけれど、座り仕事で腰痛をくり返している方

研究で分かっていること
体の柔らかさや体幹の筋肉の持久力が低めのオフィスワーカー563名を対象にした研究では、毎日のストレッチと週2回の体幹の運動を1年間続けたグループで、腰痛が新たに起こった方の割合が、8.8%と、運動をしなかったグループの19.7%より少なくなっていました(Sihawong 2014)。

ただし、これはタイのオフィスワーカーで、もともと腰痛のない方を対象にした「予防」の研究です。

今すでに腰痛がある方に、同じ効果があるとは言えません。

取り入れ方の例
研究で使われた運動と全く同じではありませんが、次のような運動から始めてみてください。

  • 太ももの裏のストレッチ:椅子に浅く座り、片脚を前に伸ばし、背すじを伸ばしたまま少し前に倒れる(20〜30秒)
  • 股関節の前のストレッチ:片膝立ちになり、体を少し前に移動する(20〜30秒)
  • 四つ這いで、片手と反対の脚を伸ばす運動:ゆっくり5秒止めて戻す、左右5回ずつ


どれも、痛みが強くならない範囲で行ってください。

運動中・運動後の目安


どのセルフケアでも、

  • チェック1で測った「つらくなるまでの時間」が、短くなっていない
  • 翌朝には、運動前の状態に戻っている
  • 脚にしびれや痛みが広がらない


を目安にしてください。

この範囲を超える場合は、量や強さを減らすか、いったん中止して相談しましょう。

脳と骨盤をつなぐ「骨盤時計」エクササイズ


会議中や長い作業の途中など、すぐに立ち上がれない場面もありますよね。

そんなときのために、座ったままの小さな動きを、フェルデンクライス・メソッドの考え方を参考にして、ゆっくり・小さく・感じながら行う形にまとめました。

こんな方に:チェック1で「つらくなる時間」が分かった方。チェック3で、動くと楽になった方。仕事の都合で、なかなか立ち上がれない方

始める前に:今の状態をメモする


  • 座ったままの腰のつらさ(0〜10)
  • 座り始めてから何分たったか


準備:お尻の下に「時計」を置く


  • キャスター付きの椅子は避けるか、動かないようにして、浅めに座る
  • 足の裏を床につけ、片手を机の端に軽く添える
  • お尻の下に、時計の文字盤があるとイメージする
  • 12時=腰を少し丸める方向、6時=腰を少し反らす方向、3時と9時=左右のお尻の方向


レベル1 12時と6時を行き来する


1. 目を閉じます(不安な方は、開けたままで大丈夫です)
2. 3〜4秒かけて、腰を少し丸めて12時の方へ転がります
3. 同じように、腰を少し反らして6時の方へ転がります
4. これをゆっくり5往復。お尻の下の骨の当たり方が変わるのを感じます

ポイント:動きを小さくゆっくりにするほど、「どこがどう変わったか」に注意を向けやすくなります。力で動かすのではなく、感じ取る練習です。

レベル2 3時と9時を行き来する


1. 3〜4秒かけて、右のお尻に少し体重を移します
2. 同じように、左のお尻に体重を移します
3. ゆっくり5往復。頭は大きく傾けず、骨盤から動きます

ポイント:左右で「動かしやすさ」や「感じやすさ」が違っても大丈夫です。その違いに気づくこと自体が、脳にとっての新しい情報になります。

レベル3 時計をゆっくり一周する


1. 12時 → 3時 → 6時 → 9時 → 12時と、1周10秒ほどかけて、なめらかに転がります
2. 時計回りに3回、反対回りに3回行います
3. 引っかかる時刻があれば、その手前で円を小さくします

ポイント:「上手に円を描く」ことより、どの時刻で動きがぎこちなくなるかを感じることが大切です。

どのレベルも、痛みのない小さな範囲で、呼吸を止めずに行ってください。

回数とタイミングの目安


  • デスクワーク:チェック1で分かった「つらくなる時間」より少し前に、1〜2分
  • 車の運転:休憩で、安全な場所に停車しているときだけ。運転中や信号待ちでは行わない
  • まずはレベル1を数日。楽にできたらレベル2、レベル3へ
  • 立ち上がれる場面では、セルフケア1の「動く休憩」を優先する


回数は目安です。痛みが強くならない範囲で調整してください。

職場の方やご家族に「つらくなる前に、一緒に1分だけ骨盤時計をやってみない?」と声をかけて、お互いの0〜10を比べてみるのもおすすめです。

よくある間違い


  • 大きく、速く動かす(脳が違いを感じ取る時間がなくなります)
  • 集中するあまり、呼吸が止まる
  • 肩や首に力が入り、骨盤より上半身が動いている
  • 痛みをがまんして、円を大きくしようとする


前後で比べる


終わったら、座ったまま腰のつらさを、もう一度0〜10でメモします。

さらに、その日の「つらくなるまでの時間」を、チェック1の記録と比べてみてください。

その場で変わった・変わらない、どちらも大切な記録です。1〜2週間続けて、傾向を見てみましょう。

研究で分かっていること


上で紹介したように、フェルデンクライス・メソッドの研究のまとめでは、高齢の方のバランスの改善が支持され、努力感の軽減や快適さの改善も一つずつの研究で報告されています(Hillier 2015)。ただし、偏りのリスクが高く、座っていてつらい腰痛で確かめた結果ではありません。

座ったままの小さな動き自体も、研究で効果が確かめられた方法ではありません。この組み合わせそのものを確かめた研究はありません。「姿勢を変える」きっかけと、感じながら動く練習の例として行ってみてください。

注意してほしいこと
腰の痛みがはっきり強くなる、脚にしびれが出る・広がる場合は、その場でやめてください。目を閉じてふらつきやめまいを感じたら、すぐに目を開けてください。

1週間の記録から見えること


例えば、デスクワークの方で、こんな記録が集まったとします。

月:45分で4/10。立って1分歩くと1/10。
火:タオルをはさんで座る。60分で3/10。
水:タオルあり。夕方は30分で4/10。午後に会議が2時間。
木:タオルあり、45分ごとにタイマーで立つ。夕方でも2/10。


ここから見えてくるのは、

  • タオルをはさむと、つらくなるまでの時間が少し延びる(3回中2回)
  • 長い会議のあとは、つらくなりやすい(一度だけの記録)
  • 立つ休憩を組み合わせると、夕方も楽だった(一度だけの記録)


ということです。

この場合、「タオルはそのまま続け、次の1週間は45分ごとの立つ休憩を加えて確かめる」という次の一歩が考えられます。

ここで二つ同時に変えるのではなく、タオルは続けたまま、休憩だけを加えるのがポイントです。

結果をどう受け止める?


楽になった
何が楽になったか(つらくなるまでの時間・つらさの強さ・夕方の疲れ・不安)を分けて書きます。

同じ
選んだセルフケアは、今の症状にはあまり関係がなかったのかもしれません。別の一つに変えてみましょう。

悪くなった
そのセルフケアはやめて、元に戻します。脚にしびれが出てきた場合は、前回のコラムも参考にしてください。

分からない
毎回同じ時間帯(例えば、午前10時からの作業)で測るようにしてみましょう。

記録のテンプレート


日付・時間帯:
場面(デスクワーク・運転・その他):
座り始めの腰の状態(0〜10):
つらくなり始めた時間と場所:
変えた座り方・シートの調整(一つ):
立ち上がった直後の状態と、動いた後の状態:
ためしたセルフケア(一つ):
結果(楽・同じ・悪化・分からない):


記録を持って相談するときのコツ


次の3つを一枚にまとめておくと、相談のときにとても役立ちます。

  • 何分で、どこが、どうつらくなるか(午前と夕方の違いも)
  • 座り方を変えたときの変化(何を変えて、どうなったか)
  • 立ち上がったとき・動いたときの変化


可能であれば、ふだんの座り方や運転姿勢を、家族にスマホで横から撮ってもらうと、さらに分かりやすくなります。

よくある質問


Q.腰痛に良いクッションや椅子はありますか?


合うかどうかは人によって違います。

先ほどの研究のように、腰を丸めすぎている方と反らしすぎている方では、合う座り方が逆になることもあります。

買う前に、まずはタオルなど身近なもので、チェック2の方法で確かめてみるのがおすすめです。

Q.「良い姿勢」を意識すると、かえって疲れます。


背すじを伸ばしすぎて、腰が反りすぎている可能性があります。

チェック2の候補Bのように、少し力を抜いて背もたれに寄りかかる座り方をためしてみてください。

どんな姿勢でも、同じ姿勢を長く続けないことの方が大切なこともあります。

Q.運転中、腰のためにできることはありますか?


信号待ちのときに、お尻の位置を少し動かす、背もたれに寄りかかり直す、などの小さな動きでも、同じ姿勢が続くのを防げます。

目を閉じたり、動きに集中したりする「骨盤時計」エクササイズは、運転中には行わず、停車して休憩しているときだけにしてください。

長距離の場合は、つらくなる時間の少し前に、休憩の場所を決めておきましょう。

Q.家では、ソファや床に座ることが多いです。


やわらかいソファや床に座ると、腰が丸まりやすくなる方が多いです。

家でも、チェック1・2と同じように、「何分でつらくなるか」「座り方を変えるとどうなるか」を確かめてみてください。

ソファの背もたれにクッションを当てる、床なら低い座椅子を使う、など一つだけ変えて比べるのがコツです。

Q.座っていると、脚までしびれてきます。


脚のしびれがある場合は、前回のコラムでお伝えした「しびれの地図」で、範囲の変化も一緒に記録してください。

座っていて脚のしびれが広がる、両脚に出る、という場合は、受診の目安に当てはまります。

→前回「坐骨神経痛かな?と思ったら」を読む

Q.座り仕事をやめないと、腰痛は良くならないですか?


研究では、座り仕事だけで腰痛が起こるとは言えないとされています。

仕事を変えるより先に、休憩のはさみ方や座り方など、今の環境の中で変えられることから一つずつ確かめてみてください。

「自分に合う座り方が分からない」「デスクワークや運転の後、いつも腰がつらい」という方もいらっしゃると思います。

受診の目安に当てはまる方は、まず整形外科などの医療機関を受診してください。

当てはまらず、困っている場面や体の動きを整理したい方は、大分駅から歩いて15分ほどの当院(大分市金池町)でも、座り方や動きによる症状の変化を一緒に確かめながら、どこから始めるかを整理しています。
1〜2週間ためしても、つらくなるまでの時間に変化が分からない方は、一度ご相談ください。
記録や、座っている姿勢の写真・動画があれば、ぜひお持ちください。

→ご相談・ご予約はこちら

まとめ


今回は、長く座ると腰がつらい方に向けて、デスクワークと車の運転の場面で確かめる方法と、根拠のあるセルフケアを紹介しました。

  • 座り仕事だけが腰痛の原因とは言えない(関連と原因は分けて考える)
  • 「正しい座り方」は一つではなく、人によって合う座り方が違う
  • チェック1:何分で、どこが、どうつらくなるかを測る
  • チェック2:座り方を一つだけ変えて比べる
  • チェック3:立ち上がったときの変化を見る
  • 運転も、時間・シートの調整・降りたときの変化で確かめる
  • セルフケアは、動く休憩・立って作業する時間・楽になる方向の動き・ストレッチと体幹の運動から一つだけ
  • 立ち上がれない場面では、座ったままの「骨盤時計」エクササイズを、前後の比較とセットで


次回予告


次回は、「朝起きたときの腰痛|寝起きのこわばりを確かめる方法とセルフケア」をお届けする予定です。

「朝いちばんが一番つらい」「起き上がるときに腰が伸びない」という方に向けて、寝起きの腰の状態を自分で確かめる方法と、根拠のあるセルフケアを一緒に見ていきます。

ぜひ、次回のコラムも楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅂ•́)و✧

あわせて読みたいコラム

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続けるコツとセルフケア
腰痛の「楽になる方向」を毎日に|続ける5つのコツと、根拠のあるセルフケア4つ

脚のしびれがある方へ(前回)
坐骨神経痛かな?と思ったら|腰痛と脚のしびれを確かめる3つのチェックと、根拠のあるセルフケア

それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

参考文献


座り仕事と腰痛の因果関係
Roffey DM, et al. Causal assessment of occupational sitting and low back pain: results of a systematic review. Spine J. 2010;10(3):252-261. PMID: 20097618
Swain CTV, et al. No consensus on causality of spine postures or physical exposure and low back pain: A systematic review of systematic reviews. J Biomech. 2020;102:109312. PMID: 31451200

慢性腰痛の方の座り方
Dankaerts W, et al. Differences in sitting postures are associated with nonspecific chronic low back pain disorders when patients are subclassified. Spine. 2006;31(6):698-704. PMID: 16540876

運転・振動と腰痛
Burström L, Nilsson T, Wahlström J. Whole-body vibration and the risk of low back pain and sciatica: a systematic review and meta-analysis. Int Arch Occup Environ Health. 2015;88(4):403-418. PMID: 25142739
Tinitali S, et al. Sitting Posture During Occupational Driving Causes Low Back Pain; Evidence-Based Position or Dogma? A Systematic Review. Hum Factors. 2021;63(1):111-123. PMID: 31513435

休憩・立って作業する机
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Ognibene GT, et al. Impact of a Sit-Stand Workstation on Chronic Low Back Pain: Results of a Randomized Trial. J Occup Environ Med. 2016;58(3):287-293. PMID: 26735316

痛みと脳・体の感じ方
Moseley GL, Butler DS. Fifteen Years of Explaining Pain: The Past, Present, and Future. J Pain. 2015;16(9):807-813. PMID: 26051220
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Catley MJ, et al. Is tactile acuity altered in people with chronic pain? a systematic review and meta-analysis. J Pain. 2014;15(10):985-1000. PMID: 24983492
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ゆっくり感じながら動く方法(フェルデンクライス・メソッド)
Hillier S, Worley A. The effectiveness of the feldenkrais method: a systematic review of the evidence. Evid Based Complement Alternat Med. 2015;2015:752160. PMID: 25949266

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安部元隆
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安部元隆(理学療法士)

綜合整体 GENRYU

研究と臨床経験を組み合わせた『GENRYUメソッド』で、痛みの原因を一緒に紐解きます。体の変化をその場で確かめながら、ご自宅で続けられるセルフケアまでお伝えします。

安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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