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鈴木敏広

長く愛される住まい作りにこだわる一級建築士

鈴木敏広(すずきとしひろ) / 一級建築士

まちの大工さん 鈴木工務店

コラム

ヒートショックではない⑤~余談 ヒートショックは温暖地に多い?

2021年6月22日

テーマ:新聞、雑誌等の記事から

コラムカテゴリ:住宅・建物

昨年読んだある会社の本にはこう書かれています。日本の家は冬の室温が低いため寒さで健康を損ね、寒さで命を失う数が増えていますと書かれていて、その理由は「ヒートショック」とされています。

しかも「寒さのため低体温症で凍死している人数が増加傾向」、「凍死というと屋外と思われますが、屋内の発症も報告されています。その数は2010年以降、1000人を超える」、そのあと「そうならないためには室温を16℃に保つことを勧めています。」と書かれていました。

「(日本で)1000人も屋内で凍死する」本当なのかと思い、この「2010年以降1000人超」という人数については出典が書かれていたのでネットで調べてみました。その出どころは「平成29年人口動態‐不慮の事故の種別に見た年次死亡率及び率」という長いタイトルの厚労省のデータです。表を見ると確かに2010年が1040人、2017(平成29年)は1371人と増えていますが、2019年は1086人とずっと増えているわけではありません。

それどころかよく見ると、この低温による事故に該当する項目は「自然の過度の低温への曝露」と書かれていて、屋内での低温による事故とは書いてありません。つまり、屋内屋外を問わず低温で亡くなった人の合計のようです。

上記のデータの別の項目に「浴槽内での溺死溺水」と「不慮の溺死溺水」がありますから、溺死溺水は浴室とそれ以外で分けてあります。ところが、低温に関する項目は「自然の過度の低温への曝露」しかありません。分けていないということは、屋内が低温のため亡くなる人は多くないためと思われます。多ければ「溺死溺死」のように「屋内における過度の低温への曝露」といった項目があるはずだからです。

ヒートショックではない⑤

この本を書いた人は勘違いで書いたとしても、世界中の国の中で最も寒い国ではない日本の屋内で1000人も凍死する、しかも温暖地に多い…おかしいと思わないのか私には不思議です。

次回は、『ヒートショックではない⑥~余談 ヒートショックは温暖地に多い?その2』です。


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