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平松幹夫

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平松幹夫(ひらまつみきお) / マナー講師

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

コラム

マナーうんちく話2143《盗む者も盗まれた者も幸運に恵まれる!中秋の名月と「月見泥棒」》

2022年9月10日

テーマ:歳時記のマナー

コラムカテゴリ:くらし

名月を 取ってくれろと 泣く子かな(小林一茶)

今の時代、秋の澄んだ夜空に、くっきり浮かんだ美しい月を欲しがる子どもは、まずいないと思いますが、昔は子ども心にも名月の良さが理解できたのでしょうか?

ほのぼのとした情景が目に浮かんできそうです。

令和4年の「十五夜」は9月10日です。

旧暦の秋は7月、8月、9月で、旧暦8月は真ん中の秋になりますので「中秋」ということになります。

また旧暦の8月は新暦で言えば今の9月頃になり、この時期は一年で一番空気が澄んで、お月様がきれいに見えます。

だから「中秋の名月」「十五夜」ともいわれ、お月見を楽しむわけです。

この文化は中国から伝わったといわれていますが、当初は平安貴族が川や池に船を浮かべて水面に映った月を眺めたり、歌を詠んだりの風流な宴を開いたのでしょう。

やがて江戸時代になると庶民の娯楽として定着し、大いににぎわったとか。
お月見に関する多彩な文化が生まれています。


もともと日本では、満ち欠けを繰り返す月には再生能力があると考えられ、信仰の対象になっており、豊作などを祈願したといわれています。

また十五夜には里芋を供えるので「芋名月」ともいわれます。

これはまだ日本で米が作られていなかった頃の主食が里芋だったことと、なによりも里芋が旬を迎える頃だからです。
里芋の煮転がしは江戸時代の家庭の味です。


ちなみに里芋から団子を供えるようになったのは江戸時代からだそうです

またお月見にススキをお供えするのは、イネ科の作物で月の神様の依り代になる米に見立てたとか。

さらに日本では十五夜に「兎が餅をついている」といわれていますが、不老不死の薬をついていると捉える国もあります。

十五夜の模様は世界で同じですが、それをどのようにとらえるか?
お国柄が出ますね。

日本では「食べ物に困らないように」との願いを込めて、兎が餅をついていると捉えたのでしょう。仏教の説話に由来しています。


ところで十五夜に限って「泥棒をしてもよい」人と物があります。

いわゆる「月見泥棒」の風習です。

満月に廊下や縁側などにお供えした団子やお菓子を、近所の子が盗んでもいいとされる風習です。

なぜでしょう?

お供えした団子やお菓子を盗んでもらったら、月の神様がお供え物を受け取ってくれたとされ、豊作になるともいわれています。

地域によっては、芋畑の芋を盗んでもらったら豊作になると信じられているところもあります。

泥棒の条件や風習、さらに縁起にまつわる話は地方によりさまざまですが、子どもはお月様の使者で、盗んだ子は長者になれるといわれています。
加えて健康に育つともいわれています。

盗まれた方は豊作が実現し、盗む方は長者になれる。
素晴らしい風習ですね。

7軒のお供え物を盗めば幸運に恵まれるともいわれています。


この風習を日本版のハロウインに例える人もいますが私はなじめません。

月見泥棒の根底には、当時貧しくて常におなかをすかしている子を、地域全体でサポートする、貧しいながらも人としての優しさがあったのだと思います。

ハロウインというより現代版の子ども食堂でしょうか。

昔は「親は無くとも子は育つ」といわれていましたね。

ハロウイングッツが売れるので、日本でもハロウインが人気の年中行事になりましたが、
その前に自国の文化をぜひ大切にしたいものです。

最後に今、新型コロナの蔓延やウクライナ戦争で不安が尽きません。

また国内では政治家と統一教会との関りや、出るわ・出るわ!のオリンピック関連の不祥事などで、心がすっかり汚れた気がします。

票集めの為なら何をしてもいいものではないでしょう。
不正に始まり不正に終わった東京五輪にもうんざりしています。

そして、いつものことながら、理不尽な言い訳を聞くたびに心が暗くなります。

こんな時こそ、一年で一番美しいとされるお月様に、心と身体を浄化してもらうのもいいものですね。

ちなみに私は前回お話しした重陽の節句の「菊酒」をいただきながら、お月見を楽しみたいと思います。
BGMは鈴虫の鳴き声です。

そして9月15日に地域で開催する恒例の「百歳カフェ」で、敬老月間にちなんで、参加者の長寿を祈願する重陽の節句の講話と風習を取り入れる予定です。


十五夜の次の日は「十六夜の月」、次は「立ち待ちの月」、さらに「居待の月」「寝待の月」へと続きます。

日本の秋の風情をゆっくりおたのしみください。
好天に恵まれますように・・・。

この記事を書いたプロ

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