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コラム
マナーうんちく話1186《便利に生きるか?丁寧に生きるか?》
2016年3月18日
今頃の常とう句に「暑さ寒さも彼岸まで」と言う言葉があります。
四季が明確に分かれている日本ならではの美しい言葉ですが、厳しい寒さにも目途がつき、一年で最も過ごしやすい時期になります。
暑ければ汗を書き、寒ければ震えると言うのはごく自然の営みで、ある程度慣れてくれば、それほど苦痛ではなくなります。
しかし、世界屈指の物が豊かで便利な国になった今の日本では、なじまない言葉かもしれませんね。「クールビズ」や「ウオームビズ」に流されてしまいそうです。
確かに、冷暖房完備、有り余る物、飽食等、何もかも恵まれ過ぎた気がしますが、はたして皆幸せになれたでしょうか?
便利で豊かな生活を謳歌出来ることは、素晴らしいことですが、それで必ずしも幸せになるとは限らないようですね。
「物の豊かさ」もさることながら「心の豊かさ」を追求する時代に入ったということでしょうか・・・。
命に直結する食事の在り方も考えなければいけません。
食事は「便利さ」より、感謝の心で「丁寧」に頂きたいものです。
私はこれが、日本の和食のマナーの原点だと思っています。
「喫茶喫飯(きっさきっぱん)」という言葉があります。
つまり飲み物を飲む時は飲むことに集中し、食べる時にはひたすら食べることに集中すると言う意味です。
「飲み物や食べ物と一つになれ」と言う教えです。
神前結婚式の時に玉串を奉奠しますが、これは「神と人の心が一つになる」ということで、ご仏前で手を合わせるのは「仏と人が一つになる」ことです。
「生きることは食べること」ですから、食べ物や飲み物と一つになるという教えは誠に理にかなっています。
その飲み物や食べ物に巡り会えたことに感謝しながら、しっかり噛んで、ご縁を感じながら、味わいながら食べれば、健康にも良いことずくめです。
心の豊かさは、先ずはここからだと考えます。
そして、日本咀嚼学会が推奨している「卑弥呼の歯が良いぜ」の標語と、この教えはどこか相通じている気がします。
さらに、和食には西洋にはない日本独特の精神文化が存在し、その意味や由来をしっかり理解することが大切です。
加えて、日本が世界に誇る礼儀作法の「一回一動作」も、心を込めた丁寧な振る舞いを説いています。
只今お彼岸の真最中ですが、ご先祖様に感謝すると共に、何事にも丁寧に接するよう心がけてはいかがでしょうか。
大切な人には特に・・・。
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