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安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

膝の裏がつっぱる・痛む方へ|安全に確かめる3つのチェックと、根拠のあるセルフケア

安部元隆

安部元隆

テーマ:膝の痛み

こんにちは、GENRYUです(^^)

この記事の要点
・膝の裏のつっぱりや痛みは、筋肉だけでなく、膝の関節やふくらみ(ベーカー嚢腫)、まれに血管が関わることもあります。
・まず受診の目安を確かめ、そのうえで「困る場面」「膝の曲げ伸ばし」「どこで伸びるか」の3つを自分で確かめます。
・セルフケアは、ふくらはぎのストレッチ、膝の曲げ伸ばし、太もも前の筋トレの3つから、一つだけ選んでためします。
・ストレッチで伸びるようになるのは、筋肉が長くなったからというより、脳が「伸ばされる感覚」に慣れたから、という研究のまとめがあります。
・脳が「安全」と感じる強さでくり返す、「脳が安心する膝裏ストレッチ」も紹介します。
・膝の裏の真ん中を強く押したり揉んだりするのは避けましょう。


「膝を曲げると、裏側がつっぱる」
「椅子から立った瞬間、膝の裏が痛い」
「もも裏やふくらはぎを毎日伸ばしているのに、なかなか変わらない」

そんなお悩みはありませんか?

膝の裏が気になると、つい「筋肉が硬いのかな?」と思って、ストレッチを増やしたり、指で強く押したりしたくなるものです。

もちろん、筋肉が関わっていることも多いです。

ただ、膝の裏は、筋肉だけでできている場所ではありません。

今回は、膝の裏がつっぱる・痛む方に向けて、

  • まず確かめたい受診の目安
  • 膝の裏がつっぱる、主な理由
  • 自分で確かめる3つのチェック
  • 根拠のあるセルフケア3つ
  • 脳の視点から見た「つっぱり」と、脳が安心する膝裏ストレッチ


を、順番にお伝えします。

始める前に:こんなときは医療機関へ


次のような場合は、セルフケアよりも先に医療機関を受診してください。

  • 片方のふくらはぎや脚が、急に腫れて痛む・赤黒くなる・熱っぽい(血栓の可能性があります。その日のうちに受診を)
  • 膝がひどく腫れている、熱を持っている、発熱がある
  • けがの後から痛む、膝が引っかかって伸びない・曲がらない
  • 膝の裏のふくらみが、急に大きくなった・痛みが強くなった
  • 夜、じっとしていても強く痛む


息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、迷わず119番に連絡してください。

脚の血管に血の塊(血栓)ができる「深部静脈血栓症」は、片方の脚やふくらはぎが急に腫れて痛むのが特徴で、血栓が肺に流れると命に関わることもあります。最近手術を受けた方、長く寝たきりだった方などは特に注意が必要です(日本血管外科学会)。

手術を受けたばかりのご家族や、横になっている時間が長いご家族がいる方は、ぜひこの目安を伝えてあげてください。
「片方の脚が急に腫れて痛むときは、その日のうちに受診」

当てはまるものがなければ、ここから先に進みましょう。

膝の裏がつっぱる、主な理由


膝の裏(膝窩)には、筋肉、腱、関節の袋、血管、神経が集まっています。

そのため、「膝の裏がつっぱる」という同じ言葉でも、関わっているものは人によって違います。

一般の方に知っておいてほしい、主な理由は次の4つです。

①もも裏・ふくらはぎの筋肉と腱


膝の裏には、もも裏の筋肉(ハムストリング)の腱と、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の付け根が集まっています。

これらが硬くなったり、疲れていたりすると、膝を伸ばしたときにつっぱりを感じやすくなります。

②膝の関節の中の問題


膝の関節の中にある、半月板(膝のクッション)の後ろ側の傷みや、変形性膝関節症で、膝の裏に痛みや詰まり感が出ることがあります。

深く曲げたとき(正座やしゃがみ)に、膝の裏が押される・挟まる感じが出やすいのが特徴の一つです。

③膝の裏のふくらみ(ベーカー嚢腫)


膝の裏に、関節液がたまった袋(ベーカー嚢腫、膝窩嚢腫)ができることがあります。

大人の場合、ベーカー嚢腫はそれだけで起こることは少なく、変形性膝関節症や半月板の傷みなど、膝の関節の中の問題と一緒に見つかることが多いとされています(Herman 2014)。

また、この袋が破れると、ふくらはぎが腫れて痛み、血栓とよく似た症状になることもあります。

膝の裏にふくらみがある方は、自己判断で揉んだりせず、一度整形外科で確かめてもらいましょう。

④血管


先ほどお伝えした血栓のように、まれに血管が関わることもあります。

急な腫れがあるときは、受診の目安を優先してください。

「筋肉が硬いから」と決めつけない


この4つは、組み合わさっていることもあります。

例えば、膝の関節に問題があって、それをかばううちに、もも裏の筋肉が硬くなる、ということもあり得ます。

だからこそ、「ストレッチをしても変わらない」ときは、筋肉以外の理由も考えてみることが大切です。

脳から見た「膝の裏のつっぱり」


「つっぱる」と感じると、筋肉が短くなっている様子を思い浮かべますよね。

でも、脳の研究から見ると、少し違う見え方もできます。

1. 「つっぱり感」も、脳が感じとっている感覚


以前のコラムでお伝えしたように、痛みは「体が壊れている量」をそのまま表すものではなく、脳が「この部分を守る必要がある」と判断したときに出すサインと考えられています(Moseley & Butler 2015)。

膝の裏の「つっぱり」も、筋肉や関節などから届く信号をもとに、脳が感じとっている感覚です。

もちろん、筋肉や関節からの信号が関係ない、という意味ではありません。

ただ、「つっぱりが強い」という感じ方と、「筋肉が短い」という体の状態は、同じものとは限らないのです。

2. 「伸びるようになった」のは、脳が慣れたから?


ストレッチを続けると深く伸ばせるようになる。この変化について、多くの研究を整理した報告があります(Weppler & Magnusson 2010)。

  • ストレッチをしている間、筋肉の長さは一時的に伸びるが、その変化は長くは続かない
  • 1回のストレッチの後や、3〜8週間のストレッチを続けた後に「伸びるようになる」のは、主に、伸ばされる感覚に慣れたこと(伸張耐性)によると、多くの研究が示している
  • 8週間を超えて続けた場合にどうなるかは、まだ調べられていない


伸張耐性とは、「どこまで伸ばされても大丈夫と感じられるか」という、感じ方の幅のことです。

つまり、伸びるようになったのは、筋肉そのものが長くなったからというより、脳が「ここまで伸びても安全」と受け入れられるようになったから、と考えられているのです。

ただし、これは主に短期間の研究から分かってきたことで、筋肉がまったく変わらないという意味ではありません。

3. 強く伸ばすより、「安全」と感じる強さでくり返す


伸びるようになる変化の中心が「慣れ」なら、大切なのは強さではなく、脳が「安全」と感じられる強さで、くり返し経験することだと考えられます。

痛いほど強く伸ばすと、脳はかえって「守らなければ」と身構えるかもしれません。

ただし、これは研究で確かめられた結論ではなく、考え方の一つです。

今回も4つのルールで


このブログの膝のシリーズと同じ、4つのルールで進めます。

  • 「見えたこと・感じたこと」と「原因」を分けて書く
  • 条件も一緒に書く(朝か夜か、靴か裸足か、どの椅子か)
  • 変えるなら一つだけ
  • 結果は「楽になった・同じ・悪くなった・分からない」のどれかで残す


そして、チェックはどれも「痛みを出すため」ではなく「痛みの出ない範囲で、違いを確かめるため」に行います。

まずは今日、3分だけ
全部のチェックをする時間がない方は、これだけでも大丈夫です。

1. 椅子から立ち上がり、膝の裏のつっぱりを0〜10でメモします(0=まったくない、10=とても強い)
2. 椅子に深く座り、セルフケア3の「椅子での膝伸ばし」を、ゆっくり10回行います
3. もう一度立ち上がり、0〜10でメモします

→ 数字が変わっても、変わらなくても、それが今日の大切な記録です。


チェック1 困る場面を、言葉にする


まずは、体を動かさずにできるチェックです。

「普段の生活で、いつ、何をしたときに困るか」を、次の4つで書き出してみてください。

  • いつから気になるか(急に始まったか、以前からあるか)
  • どんな場面で困るか(立ち上がり、歩く、階段、正座など)
  • 痛み以外に何があるか(腫れ、熱っぽさ、しびれ、ふくらみなど)
  • これまで何を試して、どうなったか


記入の例


朝、食卓の椅子から立つときに右膝の裏がつっぱる。立って少しすると気になりにくい。3か月ほど前から。腫れやふくらみは分からない。もも裏のストレッチを続けているが変わらない。


見えてくること


「動き始め」に気になり、動くと楽になる
→ 筋肉のこわばりや、膝の関節のこわばりが関わっている可能性があります。

「深く曲げたとき」に気になる
→ 膝の関節の中や、膝の裏のふくらみが関わっている可能性があります。

「歩き続けると」気になる
→ ふくらはぎの疲れや、膝への負担の積み重ねが関わっているかもしれません。

腫れ・ふくらみ・しびれがある
→ セルフケアより先に、整形外科で相談しましょう。

もちろん、これは「次に何を確かめるか」のヒントで、原因を決めるものではありません。

チェック2 膝の曲げ伸ばしを、左右で比べる


やり方


伸ばす方
1. 床やベッドに脚を伸ばして座ります(後ろに手をついて大丈夫です)
2. 膝の裏が床に近づくように、膝をゆっくり伸ばします
3. 膝の裏と床のすき間を、左右で比べます

曲げる方
4. 仰向けに寝て、かかとを床につけたまま、お尻の方へゆっくり滑らせます
5. 膝の裏が気になり始めるところで止め、左右でかかとの位置を比べます

どちらも、痛みが出る手前で止めます。

見るポイント


  • 伸ばしたとき、膝の裏と床のすき間に左右差があるか
  • 曲げたとき、かかとがお尻に近づく位置に左右差があるか
  • 気になるのは「伸ばす最後」か「曲げる最後」か
  • つっぱる感じか、押される・挟まる感じか


結果の読み方


伸ばす最後に、膝の裏がつっぱる
→ もも裏やふくらはぎの筋肉、膝の後ろ側の組織が伸ばされている感覚かもしれません。チェック3で、どこが伸びているかを確かめましょう。

曲げる最後に、膝の裏が押される・挟まる
→ 膝の関節の中や、膝の裏のふくらみが関わっている可能性があります。この場合、無理に深く曲げる練習はおすすめしません。

左右で、はっきり伸び方や曲がり方が違う
→ 動きの左右差として記録しておきましょう。数週間たっても変わらない場合は、専門家に相談する材料になります。

チェック3 「どこで伸びているか」を確かめる


膝の裏のつっぱりが、もも裏から来ているのか、ふくらはぎから来ているのか。

それを、条件を一つずつ変えて確かめてみます。

やり方


1. 椅子に浅く座り、気になる側の脚を前に伸ばして、かかとを床につけます
2. 背すじを伸ばしたまま、膝の裏のつっぱり具合を確かめます(これが基準です)
3. 条件A:つま先を自分の方へ起こします(足首を曲げる)
4. いったん元に戻します
5. 条件B:背すじを伸ばしたまま、股関節から上体を少しだけ前に倒します
6. いったん元に戻します

どちらも、つっぱりを感じたらそこで止め、5秒ほどで戻します。

結果の読み方


条件A(つま先を起こす)で、膝の裏のつっぱりが強くなる
→ ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)が関わっている可能性があります。

条件B(上体を倒す)で、膝の裏のつっぱりが強くなる
→ もも裏の筋肉(ハムストリング)が関わっている可能性があります。

どちらでも強くなる
→ 両方が関わっているかもしれません。

どちらでも変わらない
→ 筋肉より、膝の関節そのものが関わっている可能性もあります。チェック2の結果と合わせて見てみましょう。

注意してほしいこと


この姿勢では、筋肉だけでなく、脚を通る神経も一緒に伸ばされます。

足先へ広がるしびれや、電気が走るような感じが出たら、すぐに中止してください。

その場合は、腰や神経が関わっている可能性もあるので、整形外科で相談しましょう。

根拠のあるセルフケア3つ


チェックの結果をふまえて、次の3つから一つだけ選んで、2〜4週間ためしてみてください。

どれも、受診の目安に当てはまらず、医師から運動の制限を受けていない方が対象です。

セルフケア1 ふくらはぎのストレッチ


こんな方に:チェック3で、つま先を起こすとつっぱりが強くなった方

やり方
壁に両手をつき、気になる側の脚を後ろに引きます。後ろの脚の膝を伸ばしたまま、かかとを床につけて、ふくらはぎが心地よく伸びるところで30秒ほど保ちます。2〜3回。足先はまっすぐ前に向けます。

研究で分かっていること
ふくらはぎのストレッチを続けると、足首の曲がる角度は平均で約2.5〜3度広がることが、研究のまとめで報告されています(Radford 2006)。

ただし、その幅は小さく、痛みが減るかどうかまでは分かっていません。

「伸ばせば治る」ではなく、「伸ばしたあとに、立ち上がりや歩くときの膝の裏の感じが変わるか」を確かめるために使います。

伸ばす強さの目安や、もも裏が関わっていそうな方のやり方は、このあとの「脳が安心する膝裏ストレッチ」で紹介します。

セルフケア2 膝の曲げ伸ばし(かかと滑らせ)


こんな方に:チェック2で、伸ばす・曲げるの動きに左右差があった方、朝の動き始めにこわばる方

やり方
仰向けに寝て、かかとを床につけたまま、お尻の方へゆっくり滑らせ、またゆっくり戻します。10回ほど。膝の裏が押される・挟まる感じが出る手前までにとどめます。

研究で分かっていること
膝の曲げ伸ばしを含む運動は、変形性膝関節症の方の痛みや動作の改善に役立つことが、多くの研究で示されています(Fransen 2015)。

痛みの出ない範囲で動かすことで、「動かしても大丈夫」という経験を積むことにもつながります。

セルフケア3 太もも前の筋トレ(椅子での膝伸ばし)


こんな方に:チェック3でどちらも変わらなかった方、階段や立ち上がりで膝の裏が気になる方

やり方
椅子に深く座り、片方の膝をゆっくり伸ばして2〜3秒保ち、ゆっくり下ろします。10回ほど。

研究で分かっていること
変形性膝関節症の方を対象にした研究のまとめでは、運動によって痛みが0〜100の目盛りで平均約12ポイント下がったと報告されています(Fransen 2015)。

国際的な診療ガイドラインでも、運動は変形性膝関節症の中心的な対策として強く勧められています(Kolasinski 2020、Bannuru 2019)。

また、筋力トレーニングは、有酸素運動などと同じくらいの効果があり、一つの目的にしぼった運動の方が効果が大きかったとされています(Juhl 2014)。

なお、セルフケア2・3で紹介した研究は変形性膝関節症の方を対象にしたもので、膝の裏の痛み全般で確かめられたものではありません。

膝の裏が痛いのに、なぜ太ももの前?と思うかもしれません。

太ももの前の筋肉は膝を支える大切な筋肉で、膝の関節の中の問題が関わっている場合にも、まず取り組みたい運動の一つです。

運動中・運動後の痛みの目安


どのセルフケアでも、

  • 運動中の痛みは、0〜10の目盛りで5以下
  • 運動による痛みは、翌朝には元に戻っている
  • 週を追うごとに痛みが強くなっていない


を目安にしてください。

これはアキレス腱の痛みの研究で使われた考え方(Silbernagel 2007)で、膝の裏の痛みで確かめられたものではありませんが、目安の一つになります。

この範囲を超える場合は、量や強さを減らすか、いったん中止して相談しましょう。

脳と膝の裏をつなぐ「脳が安心する膝裏ストレッチ」


ここでは、セルフケア1のストレッチを、上で紹介した脳の考え方に合わせて組み立て直します。

セルフケアを一つ選ぶときに、セルフケア1の代わりに選んでください。

こんな方に:チェック3で、つま先を起こす・上体を倒すのどちらかで、つっぱりが強くなった方。特に、強く伸ばしても変わらなかった方

始める前に:今の状態をメモする


  • 椅子から立ち上がったときの、膝の裏のつっぱり(0〜10)
  • チェック3の基準の姿勢(椅子に浅く座り、脚を前に伸ばす)での、つっぱり(0〜10)


強さの目安:つっぱり「3〜4」


このストレッチでは、強さを0〜10の数字で決めます。

0=まったく感じない、10=がまんできないほど強い、として、目安は、つっぱり3〜4程度。「伸びているな」と分かる、心地よい程度です。

レベル1 座って、伸びる場所を確かめる(1分)


1. チェック3と同じように、椅子に浅く座り、気になる側の脚を前に伸ばして、かかとを床につけます
2. チェック3で強くなった方の条件(つま先を起こす、または上体を少し倒す)を行います
3. つっぱりが3〜4になったところで止め、5秒ほど保ってから戻します
4. これを5回くり返します。毎回、どこが伸びているかに注意を向けます

ポイント:「今日はここまで伸びた」と距離を追うより、「3〜4で止められた」ことを大切にします。脳に「この伸び方は安全」という経験を重ねるイメージです。

レベル2 保ちながら、力を抜く(2〜3分)


レベル1で、つっぱりが3〜4のまま楽に止められるようになったら進みます。

つま先を起こすと強くなった方
セルフケア1と同じように、壁に両手をつき、気になる側の脚を後ろに引いて、ふくらはぎを伸ばします。

上体を倒すと強くなった方
レベル1の姿勢で、背すじを伸ばしたまま、股関節から上体を少しだけ前に倒します。

どちらも、

1. つっぱり3〜4のところで、30秒ほど保ちます
2. 保っている間は、ゆっくり息を吐くタイミングで、ふくらはぎやもも裏の力を抜くようにします
3. ゆっくり戻して少し休み、2〜3回くり返します

ポイント:途中でつっぱりが弱くなっても、深く伸ばし直す必要はありません。感じ方の変化も、脳が慣れてきたサインかもしれません。

レベル3 伸ばした感覚を、生活の動きにつなぐ(1分)


1. レベル1か2の後、椅子に座ります
2. ゆっくり立ち上がり、その場で数回足踏みをします
3. 最初の数歩は、ゆっくり歩きます

ポイント:困る場面(例えば、朝の立ち上がり)を、つっぱりの小さい状態で経験することで、脳に「この動きも安全」という情報を届けます。

回数とタイミングの目安


  • 1日1〜2回、合わせて3〜5分ほど
  • まずはレベル1を数日。楽にできたらレベル2、レベル3へ
  • 2〜4週間続けて、変化を見ます
  • 回数は目安です。痛みが強くならない範囲で調整してください


よくある間違い


  • 反動をつけて、強く伸ばしてしまう
  • 息を止めて、がまんしながら伸ばす
  • 膝の裏の真ん中を、手で押しながら伸ばす
  • 結果を出そうとして、回数や時間を増やしすぎる


前後で比べる


終わったら、「始める前に」と同じ2つを、もう一度0〜10でメモします。

その場で変わった・変わらない、どちらも大切な記録です。

研究で分かっていること


  • 上でお伝えしたように、「伸びるようになる」のは主に感覚への慣れによる、と考えられている。ただし、分かっているのは3〜8週間までで、それより長い効果はまだ評価されていない(Weppler & Magnusson 2010)
  • 下肢の関節の痛みがある20名の研究では、6週間のゆっくり深い呼吸の練習は、痛みや体の働きの改善には十分ではなかったが、多くの参加者が「痛みにうまく対処できるようになった」と報告した。小規模な研究である(Larsen 2019)


呼吸は「痛みを減らす方法」ではなく、力を抜くきっかけとして使っています。効果は控えめに考えてください。

このストレッチの組み合わせそのものを確かめた研究はありません。研究で分かっている考え方を、家でできる形にした例として行ってみてください。

注意してほしいこと
足先へ広がるしびれや、電気が走るような感じが出た場合、膝の裏が押される・挟まる感じが出た場合は、その場でやめてください。ふくらはぎが急に腫れて痛む場合は、冒頭の受診の目安に戻って確認してください。

マッサージはしてもいい?


膝の裏の真ん中は、強く押さない・揉まない


膝の裏の真ん中には、太い血管や神経、関節の袋が通っています。

ふくらみ(ベーカー嚢腫)や、まれに血栓が隠れていることもあるため、膝の裏の真ん中を指で強く押したり揉んだりするのは避けましょう。

マッサージの研究で分かっていること


変形性膝関節症の方222名を対象にした研究では、週1回60分の全身マッサージを8週間受けた方は、軽く触れるだけの方より、痛みやこわばり、動作が改善しました(Perlman 2019)。

ただし、

  • 専門家による全身のマッサージで、自分で膝の裏を揉む方法ではない
  • 8週以降は、通常のケアを上回る効果は続かなかった


ことも分かっています。

セルフケアとしては、膝の裏の真ん中は避け、ふくらはぎやもも裏の筋肉を、手のひらで軽くさする程度にとどめておくのが安心です。

生活の中でできる、小さな工夫


セルフケアとは別に、普段の生活の中でも、膝の裏の負担を減らす工夫ができます。

  • 座りっぱなしの時間を区切る:膝を曲げた姿勢が長く続くと、立ち上がりで膝の裏がつっぱりやすくなります。30分〜1時間に一度、立ち上がるか、座ったまま膝をゆっくり伸ばしてみましょう
  • 立ち上がりの最初の数歩はゆっくり:動き始めにこわばる方は、立ってすぐ歩き出さず、その場で数回足踏みしてから歩き出します
  • 深く曲げる姿勢を、一時的に減らす:正座やしゃがみで膝の裏が押される方は、しばらく椅子を使うなど、深く曲げる時間を減らしてみます


これも「変えるなら一つだけ」です。

一つ変えたら、その週の困る場面がどう変わったかを記録してみてください。

1週間の記録から見えること


例えば、こんな記録が集まったとします。

月曜・朝:椅子から立つとき右膝の裏がつっぱる。チェック3はつま先を起こすと強くなる。
水曜・夜:歩いた後に右ふくらはぎが重い。膝の裏のつっぱりは少し。
金曜・朝:ふくらはぎのストレッチ後、立ち上がりのつっぱりが少し楽。
日曜・朝:立ち上がりで右膝の裏がつっぱる。チェック3はつま先を起こすと強くなる。


ここから見えてくるのは、

  • つま先を起こすとつっぱりが強くなるのは、いつも同じ特徴
  • つっぱりは朝の立ち上がりで気になりやすい
  • ストレッチ後に楽になったのは、まだ一度だけの記録


ということです。

この場合、ふくらはぎのストレッチを2〜4週間続けて、朝の立ち上がりのつっぱりがどう変わるかを見ていく、という次の一歩が考えられます。

2〜4週間後の結果の受け止め方


楽になった
何が楽になったか(つっぱり・痛み・動きやすさ・不安)を分けて書きます。続けるかどうかは、生活に無理なく続けられるかも含めて考えます。

同じ
選んだセルフケアは、今の膝の裏にはあまり関係がなかったのかもしれません。別のセルフケアに変えるか、専門家に相談しましょう。強く伸ばしたり、回数を増やしたりして「結果を出そう」としないことが大切です。

悪くなった
そのセルフケアは中止します。新しい腫れや痛みが出た場合は、受診の目安に戻って確認してください。

分からない
記録が足りなかったのかもしれません。「腫れているか分からない」も立派な記録です。気になることをそのまま専門家に伝えましょう。

記録のテンプレート


日付・時間:
条件(朝か夜か、靴か裸足か、どの椅子か):
困る場面:
チェック2(伸ばす・曲げるの左右差):
チェック3(つま先を起こす・上体を倒す、どちらで強くなるか):
選んだセルフケア(一つ):
運動中・翌朝の痛み(0〜10):
つっぱり(前→後、0〜10):
結果(楽・同じ・悪化・分からない):


よくある質問


Q.膝の裏の真ん中に、しこりのようなものがあります。揉めば小さくなりますか?


揉んで確かめないでください。

膝の裏のふくらみには、ベーカー嚢腫などいくつかの可能性があり、触った感覚だけでは判断できません。

新しくできたふくらみや、続いているふくらみは、整形外科で相談してください。

Q.ストレッチの直後だけ、膝の裏が軽くなります。続ければ治りますか?


その場で軽くなったことは、とても良い発見です。

ただ、「その場で楽になった」ことと、「原因が解決した」ことは別です。

2〜4週間続けて、立ち上がりや歩くときの感じが変わるかを記録で確かめてみてください。

Q.正座をすると膝の裏が押される感じがします。練習すればできるようになりますか?


深く曲げたときに膝の裏が押される・挟まる感じは、膝の関節の中や、膝の裏のふくらみが関わっていることがあります。

無理に正座の練習をするのはおすすめしません。

まずはセルフケア2を、押される感じが出る手前までの範囲で行い、変化がなければ整形外科で相談しましょう。

Q.もも裏のストレッチを毎日しているのに、変わらないのはなぜ?


いくつかの理由が考えられます。

一つは、つっぱりの中心が、もも裏ではなくふくらはぎや膝の関節の方にある場合です。チェック3で、どちらで強くなるかを確かめてみてください。

もう一つは、伸ばす強さや回数を増やしすぎて、かえって膝の裏がつらくなっている場合です。

「同じストレッチを強くする」より、「チェックの結果に合わせて、別の一つに変えてみる」ことをおすすめします。

ストレッチを続ける場合は、強さを「つっぱり3〜4」にそろえてみてください。

Q.膝の裏だけでなく、足首や股関節も関係ありますか?


関係していることもあります。

このブログでは、足首・足裏・股関節・歩き方から膝を確かめるシリーズも書いていますので、あわせて読んでみてください。

ただし、膝の裏の痛みの原因を、足首や股関節の動きだけで決めることはできません。

セルフケアをためしても変わらない、どこから相談すればいいか分からない、という方もいらっしゃると思います。

受診の目安に当てはまる方は、まず整形外科などの医療機関を受診してください。

当てはまらず、困っている場面や体の動きを整理したい方は、大分駅から歩いて15分ほどの当院(大分市金池町)でも、膝の曲げ伸ばしや、もも裏・ふくらはぎの伸び方を一緒に確かめながら、どこから見ていくかを整理しています。
2〜4週間ためしても変化が分からない方は、一度ご相談ください。
記録したメモがあれば、ぜひお持ちください。

→ご相談・ご予約はこちら

まとめ


今回は、膝の裏がつっぱる・痛む方に向けて、安全に確かめる方法と、根拠のあるセルフケアを紹介しました。

  • まず受診の目安を確かめる(特に、片脚の急な腫れと痛み)
  • 膝の裏のつっぱりには、筋肉・関節・ふくらみ・血管の4つの理由がある
  • チェック1:困る場面を言葉にする
  • チェック2:膝の曲げ伸ばしを左右で比べる
  • チェック3:つま先を起こす・上体を倒すで、どこが伸びているかを確かめる
  • セルフケアは、ふくらはぎのストレッチ・膝の曲げ伸ばし・太もも前の筋トレから一つだけ
  • 「つっぱり感」も脳が感じとる感覚。ストレッチは強さより、つっぱり3〜4でくり返す
  • 膝の裏の真ん中は、強く押さない・揉まない


「とにかく伸ばす・揉むしかない」と思っていた方が、「自分の膝の裏には、どれが関わっていそうか」を考えて、一つずつ確かめられるようになること。

それが、今回いちばんお伝えしたかったことです。

次回予告


次回は、膝から少し上に移って、

「腰痛」

をテーマにお届けする予定です。

膝のシリーズと同じように、受診の目安を確かめたうえで、自分で確かめる方法と、根拠のあるセルフケアを一緒に見ていきましょう。

ぜひ、次回のコラムも楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅂ•́)و✧

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それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

参考文献


深部静脈血栓症
日本血管外科学会「深部静脈血栓症って?」 https://jsvs.org/common/sinbu/index.html

ベーカー嚢腫(膝窩嚢腫)
Herman AM, Marzo JM. Popliteal cysts: a current review. Orthopedics. 2014;37(8):e678-e684. PMID: 25102502

ふくらはぎのストレッチと足首の動き
Radford JA, et al. Does stretching increase ankle dorsiflexion range of motion? A systematic review. Br J Sports Med. 2006;40(10):870-875. PMID: 16926259

膝OAの運動療法
Fransen M, et al. Exercise for osteoarthritis of the knee. Cochrane Database Syst Rev. 2015;1:CD004376. PMID: 25569281
Juhl C, et al. Impact of exercise type and dose on pain and disability in knee osteoarthritis: a systematic review and meta-regression analysis of randomized controlled trials. Arthritis Rheumatol. 2014;66(3):622-636. PMID: 24574223

膝OAの診療ガイドライン
Kolasinski SL, et al. 2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee. Arthritis Care Res. 2020;72(2):149-162. PMID: 31908149
Bannuru RR, et al. OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2019;27(11):1578-1589. PMID: 31278997

膝OAとマッサージ
Perlman A, et al. Efficacy and Safety of Massage for Osteoarthritis of the Knee: a Randomized Clinical Trial. J Gen Intern Med. 2019;34:379-386. PMID: 30543021

痛みのモニタリング
Silbernagel KG, et al. Continued sports activity, using a pain-monitoring model, during rehabilitation in patients with Achilles tendinopathy: a randomized controlled study. Am J Sports Med. 2007;35(6):897-906. PMID: 17307888

痛み・つっぱりと脳
Moseley GL, Butler DS. Fifteen Years of Explaining Pain: The Past, Present, and Future. J Pain. 2015;16(9):807-813. PMID: 26051220
Weppler CH, Magnusson SP. Increasing muscle extensibility: a matter of increasing length or modifying sensation? Phys Ther. 2010;90(3):438-449. PMID: 20075147

ゆっくり深い呼吸
Larsen KL, et al. Effect of Deep Slow Breathing on Pain-Related Variables in Osteoarthritis. Pain Res Manag. 2019;2019:5487050. PMID: 31281558

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安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

綜合整体 GENRYU

研究と臨床経験を組み合わせた『GENRYUメソッド』で、痛みの原因を一緒に紐解きます。体の変化をその場で確かめながら、ご自宅で続けられるセルフケアまでお伝えします。

安部元隆プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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