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膝を曲げた時の膝窩部痛を解消!医学的根拠に基づくストレッチと対策

安部元隆

安部元隆

テーマ:膝痛



こんにちは、GENRYUです(^^)
膝を深く曲げた時に膝の裏(膝窩部)で感じる痛みは、
日常生活やスポーツ活動を制限する一般的な問題です。
前回のブログでは、膝窩部痛の主要な原因として
「膝窩筋の伸張痛」「半月板・後方関節包のインピンジメント」
「腓腹筋内側頭の圧迫」を解説し、ベーカー嚢胞や後十字靭帯(PCL)損傷などの
追加要因も紹介しました。
今回のブログでは、これらの原因に対する効果的な対策を、
医学的根拠と研究に基づいて詳しく解説します。
特に、膝窩部痛の改善に役立つストレッチの手順を、
初心者でも理解しやすいように具体的に説明します。
ストレッチは筋の柔軟性を高め、関節の可動域を改善し、
痛みを軽減するのに有効です。
この記事では、誰でも自宅で実践できる対策を提供し、
膝窩部痛の管理をサポートしますので、ぜひ最後までご覧頂き
実践してみてくださいね!


膝窩部痛の対策:全体像
膝窩部痛の管理には、原因組織(膝窩筋、半月板・後方関節包、腓腹筋など)に
合わせたアプローチが必要です。
医学研究では、以下のような非外科的対策が推奨されています
「ストレッチ」と「筋力強化」
筋の柔軟性と関節の安定性を改善し、痛みを軽減。
「生活習慣の調整」
過剰な負荷や不適切な姿勢を避ける。
「物理療法」
冷却や圧迫で炎症を抑える。
「医療介入」
必要に応じて薬物療法や注射。
今回のブログでは、特にストレッチと筋力強化に焦点を当て、
医学的根拠に基づく具体的な手順を紹介します。
ストレッチは、膝窩筋、半膜様筋、腓腹筋の柔軟性を高め、
半月板や関節包のインピンジメントを防ぐのに効果的です。
研究では、適切なストレッチが膝の可動域を改善し、
痛みを軽減することが示されています
(Knee osteoarthritis pain and stretching exercises)。
これから、各原因に対する対策を詳しく解説します。


1. 膝窩筋の伸張痛に対する対策

<原因の振り返り>
膝窩筋は、膝を曲げる際に伸張され、特に0~60°や120°以上の
深屈曲でストレスが増加します。
過度な伸張や損傷が膝窩筋腱炎を引き起こし、
膝窩部痛を誘発します(Guha et al., 2003)。
対策としては、膝窩筋の柔軟性を高め、過剰な伸張を防ぐストレッチと、
筋力を強化して安定性を高めるエクササイズが有効です。
「ストレッチ」膝窩筋のストレッチ(フィギュア4ポジション)
<目的>
膝窩筋の柔軟性を高め、深屈曲時の伸張ストレスを軽減。
<医学的根拠>ストレッチは筋の長さを改善し、
腱への負担を軽減することが示されています(Stretches and Exercises for Knee Pain)。
<手順>
①準備
床または硬めのマットに仰向けに寝る。滑りやすい場所は避け、安定した環境を確保。
タオルやヨガマットを敷くと快適。
②動作
右膝を曲げ、右足を左太ももの上に置く(フィギュア4の形)。
右足首は左膝の外側にくるようにする。
両手で左太ももの裏を持ち、左膝を胸に近づける。
右膝の裏側(膝窩筋)に軽い伸びを感じるまでゆっくり引き寄せる。
肩と首はリラックスさせ、背中が床から浮かないように注意。
③保持時間
30秒間キープ。深呼吸をしながら筋肉をリラックスさせる。
痛みが出る場合は、引き寄せる力を弱め、快適な範囲で調整。
④繰り返し
左右各2~3セット(各30秒)。1日2回(朝と夜)が理想。
⑤ポイント
過度な力で引っ張らない。膝窩筋は小さな筋肉なので、穏やかなストレッチが効果的。
動きはゆっくりと行い、急な反動(バウンシング)は避ける。
右膝の外側を床に近づけることで、膝窩筋の伸張をさらに感じられる。
⑥注意
痛みが強まる場合は中止し、医療専門家に相談。
「筋力強化」膝窩筋の内旋エクササイズ
<目的>膝窩筋の筋力を強化し、膝の安定性を向上。
<医学的根拠>
筋力強化は関節の安定性を高め、痛みを軽減する
(Treatment of Osteoarthritis of the Knee)。
<手順>
①準備
抵抗バンド(軽い強度)を用意。椅子に座るか、床に仰向けになる。
②動作
抵抗バンドを右足のつま先に引っ掛け、バンドのもう一方を固定(例:テーブルの脚)。
右膝を90°に曲げ、足を内側に回転させる(脛骨内旋)。膝窩筋に軽い収縮を感じる。
ゆっくり元の位置に戻す。
③繰り返し
1セット10回、2~3セット。左右交互に行う。
④ポイント
動きはコントロールし、膝に負担がかからないように注意。


2. 半月板・後方関節包のインピンジメントに対する対策

<原因の振り返り>
半月板や後方関節包は、膝屈曲時に大腿骨と脛骨の間で
挟まれる(インピンジメント)ことで痛みを引き起こします。
この問題は、半膜様筋や膝窩筋の機能不全により、
半月板の後方移動が制限されることで発生します(Posterior Knee Pain)。
対策としては、半膜様筋の柔軟性と筋力を高め、膝蓋下脂肪体の
滑走性を改善するストレッチが有効です。
「ストレッチ」半膜様筋のストレッチ
<目的>
半膜様筋の柔軟性を高め、半月板の後方移動を促進し、インピンジメントを軽減。

<医学的根拠>
ストレッチは筋の柔軟性を改善し、関節の可動域を拡大する
(Knee osteoarthritis pain and stretching exercises)。
<手順>
①準備
床またはマットに仰向けに寝る。安定した場所を選び、滑らないように注意。
ストレッチベルト(なければタオル)を用意。
②動作
右足をまっすぐ天井に向け、ベルトを足裏(中足部)に引っ掛ける。
左足は床に伸ばしたまま、または軽く曲げて安定させる。
ベルトを両手で持ち、右足をゆっくり胸に近づける。
半膜様筋(太ももの裏側)に伸びを感じるまで引き寄せる。
膝を完全に伸ばし、つま先を自分の方に引き(足関節背屈)でハムストリング全体を伸ばす。
③保持時間
30~45秒キープ。深呼吸でリラックスし、筋肉の緊張を解放。
痛みが出る場合は、膝を軽く曲げて調整。
④繰り返し
左右各2~3セット(各30~45秒)。1日2回実施。
⑤ポイント
ゆっくりと伸ばし、急な動きや反動を避ける。
背中や腰が床から浮かないように注意。
膝蓋下脂肪体にも軽いストレッチ感を感じる場合、効果的。
⑥注意
キャッチング感や鋭い痛みがある場合は、半月板損傷の可能性があるため、
医療専門家に相談。
「筋力強化」半膜様筋の強化エクササイズ
<目的>
半膜様筋を強化し、半月板の後方移動をサポート。
医学的根拠: 筋力強化は関節の安定性を高め、インピンジメントを軽減する
(Treatment of Osteoarthritis of the Knee)。
<手順>
①準備
椅子に座るか、床に仰向け。抵抗バンドを用意。
②動作
抵抗バンドを右足裏に引っ掛け、バンドを固定。
膝を90°に曲げ、ゆっくり膝を伸ばす(ハムストリング収縮)。
5秒キープ後、ゆっくり戻す。
③繰り返し
1セット10~12回、2~3セット。左右交互に行う。
④ポイント: 膝に負担がかからないよう、ゆっくりコントロール。


3. 腓腹筋内側頭の圧迫に対する対策
「原因の振り返り」

腓腹筋内側頭は、膝屈曲約103°で圧迫され、
特に変形性膝関節症(OA)患者で筋の硬さや滑液包炎が
関与して痛みを誘発します(Popliteal Fossa Pain)。
対策としては、腓腹筋の柔軟性を高め、圧迫ストレスを軽減するストレッチが有効です。
「ストレッチ」腓腹筋のストレッチ(壁を使ったカーフストレッチ)
<目的>
腓腹筋の柔軟性を高め、103°付近の圧迫を軽減。
<医学的根拠>
ストレッチは筋の柔軟性を改善し、関節への圧迫を減らす
(Stretches and Exercises for Knee Pain)。
<手順>
①準備
壁の前に立ち、滑らない床を選ぶ。
動きやすい服装と靴を着用(素足でも可)。
②動作
両手を壁に置き、右足を後ろに大きく一歩踏み出す。
右足のかかとを床につけ、つま先を正面に。右膝は軽く伸ばす。
左膝を軽く曲げ、身体を前に傾けて右ふくらはぎ(腓腹筋)にストレッチ感を感じる。
左足は床に平らに置き、背中はまっすぐ保つ。
③保持時間
30秒キープ。深呼吸でリラックス。
痛みが出る場合は、膝を軽く曲げて調整。
④繰り返し
左右各2~3セット(各30秒)。1日2回実施。
⑤ポイント
かかとを床から離さず、ゆっくり伸ばす。
反動(バウンシング)は避け、穏やかなストレッチを意識。
変形性膝関節症の場合は、過度な圧迫を避けるため、軽いストレッチから始める。
⑥注意
圧迫感や腫れが強い場合は、冷却(10~15分、氷をタオルで包む)も併用。
「筋力強化」腓腹筋の強化エクササイズ(カーフレイズ)
<目的>
腓腹筋の筋力を強化し、膝の安定性を向上。
<医学的根拠>
筋力強化は関節の負担を軽減し、痛みを改善する
(Treatment of Osteoarthritis of the Knee)。
<手順>
①準備
壁や椅子を支えに使い、安定した床に立つ。
②動作
両足を肩幅に開き、つま先を正面に。
かかとをゆっくり上げ、つま先立ちに。3秒キープ。
ゆっくりかかとを下ろす。
③繰り返し
1セット10~15回、2~3セット。1日1~2回。
④ポイント
膝をロックせず、軽く曲げた状態で。動きはゆっくりコントロール。


その他の原因に対する対策
前回のブログで紹介した追加の原因
(ベーカー嚢胞、PCL損傷、神経圧迫、血管関連の問題、関節炎、腱炎)に
対する対策も以下にまとめます。
「ベーカー嚢胞」

<対策>
冷却(10~15分、氷をタオルで包む)で炎症を抑え、
膝の過度な屈曲を避ける。
超音波検査で嚢胞を確認後、医師が注射やドレナージを検討
(Baker cyst - Symptoms and causes)。
<ストレッチ>
軽いハムストリングストレッチ(上記参照)で周辺筋の柔軟性を維持。

「後十字靭帯(PCL)損傷」

<対策>
膝の安定性を高めるため、運動療法でハムストリングと大腿四頭筋を強化。
注意:医師や理学療法士の確認&指導が必要
急性期はPOLICEプロトコル(保護、適度な負荷、冷却、圧迫、挙上)を採用
(Pain in back of knee)。
<ストレッチ>
腓腹筋ストレッチ(上記参照)を軽く行い、過度な屈曲を避ける。
「神経圧迫」


<対策>
神経圧迫の原因(例:筋の硬さ、腫れ)を特定し、物理療法やマッサージで対処。
坐骨神経痛が疑われる場合は、医療専門家に相談(Posterior Knee Pain)。
<ストレッチ>
ハムストリングストレッチ(上記参照)を穏やかに行い、神経への圧迫を軽減。

「血管関連の問題(例:DVT)」
<対策>
腫れ、温感、赤みがある場合は緊急受診。
抗凝固療法が必要な場合も(Posterior knee pain)。
ストレッチは控え、医師の指示に従うことを優先。

「関節炎(例:膝OA)」

<対策>
体重管理と低負荷運動(例:ウォーキング、水泳)が推奨。
NSAIDs(イブプロフェンなど)で炎症を抑える
(Treatment of Osteoarthritis of the Knee)。
<ストレッチ>
腓腹筋とハムストリング(上記参照)のストレッチを毎日行い、可動域を維持。

「腱炎や筋損傷(例:ハムストリング)」

<対策>
休息と冷却で急性炎症を抑え、徐々にストレッチと強化を行う
(Back of Knee Pain)。
<ストレッチ>
ハムストリングストレッチ(上記参照)を中心に実施。


ストレッチと対策の全体的なポイント
①ウォームアップ
ストレッチ前に5~10分の軽いウォーキングやサイクリングで
筋肉を温める(10 Visuals of Exercises to Help Relieve Knee Pain)。
②頻度と継続性
ストレッチは週4~5回、1日1~2回行う。筋力強化は週2~3回、徐々に負荷を増やす。
③痛みの管理
ストレッチ中に痛みが強まる場合は、強度を下げ、痛みのない範囲で行う。
痛みが持続する場合は医療専門家に相談(Knee Pain: Causes & Treatment)。
④生活習慣の調整
長時間の座位や過度な深屈曲(例:深スクワット)を避け、
体重管理を行う。
過体重は膝への負担を増やすため、BMI25以上の場合は減量が推奨
(Nonsurgical Management of Knee Pain)。


医学的根拠と研究の裏付け
①ストレッチの効果
2023年のメタアナリシスでは、膝関節症患者に対するストレッチが痛みを軽減し、
可動域を改善することが示されました
(Knee osteoarthritis pain and stretching exercises)。
特に、単一の筋群を対象としたストレッチは、複合的なエクササイズよりも効果的でした。
②筋力強化の効果
APTAのガイドラインでは、大腿四頭筋やハムストリングの強化が
膝の安定性を高め、痛みを軽減すると報告(Treatment of Osteoarthritis of the Knee)。
③物理療法の重要性
物理療法は、膝窩部痛の非外科的治療として広く推奨され、
筋力と柔軟性の向上が痛みの管理に有効(Evaluation and Treatment of Knee Pain)。
④その他の介入
ヒアルロン酸注射やNSAIDsは、変形性膝関節症の痛み管理に有効だが、
保守的治療(ストレッチ、筋力強化)が第一選択(STEP guidelines for knee pain)。


まとめ
膝を曲げた時の膝窩部痛は、膝窩筋、半月板・後方関節包、
腓腹筋内側頭の3つの主要原因に加え、ベーカー嚢胞やPCL損傷など
多様な要因が関与します。
医学的根拠に基づくストレッチ(膝窩筋、半膜様筋、腓腹筋)と筋力強化は、
柔軟性を高め、関節の安定性を改善し、痛みを軽減する効果的な方法です。
ストレッチは、初心者でも安全に実践できるよう、ゆっくりと
正確に行うことが重要です。
痛みが持続する場合や、腫れ・温感がある場合は、速やかに
医療専門家に相談してください。
膝裏に痛みが出ている方は、膝周りの組織が痛みのない方と比較すると、
とても凝り固まっています。
ですので、ストレッチは一時的に実践するより、粘り強く継続して実践して頂くと
少しずつその効果を体感して頂けるようになると思います!
継続は力なり!ぜひ続けて実践してみてくださいね(๑•̀ㅂ•́)و✧
当院では、膝裏の痛みの方お一人お一人に対し、特別プログラムをご用意しておりますので、
痛みが改善しない方は、お問合せ頂ければと思います!
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)
「参考文献 」
Guha AR, et al. (2003). Rupture of the popliteus tendon in a stable knee. Journal of Orthopaedics.
Posterior Knee Pain.
Popliteal Fossa Pain in 24 Year-old Female.
Baker cyst - Symptoms and causes.
Pain in back of knee when straightening leg.
Knee osteoarthritis pain and stretching exercises.
Treatment of Osteoarthritis of the Knee.
Stretches and Exercises for Knee Pain.
Nonsurgical Management of Knee Pain.
Evaluation and Treatment of Knee Pain.

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安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

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