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血圧コントロールを薬だけに頼らない!「交互鼻呼吸法」の可能性を医学的根拠から解説

安部元隆

安部元隆

テーマ:呼吸法



こんにちは、GENRYUです(^^)
今回は、痛みではなく「血圧コントロール」という視点に注目しようと思います。
現在、「血圧コントロール」は「薬のみ」で管理されていますよね。
薬を使用することは「血圧管理」においてとても大切だと思いますが、
自分自身でも出来ることは何かないか?と視点をもって調べていたところ、
面白い記事を見つけました。
それは「交互鼻呼吸法」という方法が血圧を下げる一つの手段になるということです。
これを医学的根拠をもとに解説していきます。


「交互鼻呼吸法」とは?
交互鼻呼吸法は、ヨガのプラナヤマ(呼吸法)の一部であり、数千年にわたる伝統を持つ実践方法です。
片方の鼻孔を閉じ、もう一方の鼻孔で呼吸を行い、それを交互に繰り返すシンプルな手法です。
「手順」
右鼻孔を閉じて左から吸い、左を閉じて右から吐く。
左鼻孔を閉じて右から吸い、右を閉じて左から吐く。
これを繰り返します。
「血圧との関連性」
高血圧が心臓病や脳卒中の主要なリスク要因であることが知られています。
そして、交互鼻呼吸法が自律神経系(ANS)に影響を与え、血圧を調整する可能性があると
述べられています。
自律神経系は、交感神経系(「闘争または逃走」反応)と副交感神経系(「休息と消化」反応)の
バランスを司ります。高血圧はしばしば交感神経系の過剰な活性化と関連しており、
交互鼻呼吸法は副交感神経系を刺激してリラックス効果をもたらし、血圧を下げると考えられています。


科学的証拠はあるか?
既存研究の具体例
①若年健康成人の研究
2017年の研究(Journal of Clinical and Diagnostic Research, Jain et al.)では、
20~30歳の健康な成人が6週間、1日10分間の交互鼻呼吸を実施した結果、
呼吸筋力(最大吸気圧・最大呼気圧)や肺活量が向上しました。
この改善は血圧に直接的な影響を与えるわけではありませんが、
心肺系の効率向上が間接的に循環器系の負荷を軽減し、高血圧予防に寄与する可能性があります。
②難治性高血圧のケーススタディ
2020年の小規模研究(International Journal of Yoga, Telles et al.)では、
薬物療法でコントロール困難な高血圧患者(平均年齢50歳)が1日20分のANBを4週間行い、
収縮期血圧が平均22 mmHg、拡張期血圧が10 mmHg低下したと報告されています。
この研究では、心拍変動(HRV)解析を用いて副交感神経系の活性化が確認されました。
③中規模研究の結果
2019年のメタアナリシス(Complementary Therapies in Medicine)では、
ヨガベースの呼吸法(ANBを含む)が血圧に与える影響を検討。
12の研究を統合した結果、平均で収縮期血圧が11.3 mmHg、
拡張期血圧が6.4 mmHg低下しました。
ただし、ANB単独の効果を分離したデータは少なく、他のヨガ実践との併用が多い点が限界です。
「データの質と規模」
現在の証拠は有望ですが、主に小規模なパイロット研究やケーススタディに依存しています。
大規模なランダム化比較試験(RCT)は不足しており、プラセボ効果や
長期的な持続性を評価するためのデータが限定的です。
サンプルサイズの例: 上記の難治性高血圧研究では被験者が10人未満であり、
一般化可能性に課題があります。


「交互鼻呼吸法」のメカニズム
交互鼻呼吸が血圧を下げるメカニズムは、自律神経系への影響が中心ですが、
さらに具体的な生理学的プロセスを以下に詳述します。
①自律神経系の調整
交感神経と副交感神経のバランス
ゆっくりとした呼吸パターンにより副交感神経系を優位にします。
2021年の研究(Frontiers in Physiology)では、鼻呼吸が迷走神経(副交感神経の中枢)を
刺激し、心拍数を低下させることが示されました。
心拍数の低下は血圧の急上昇を抑える重要な要素です。
②心拍変動(HRV)の改善
HRVは自律神経系の柔軟性を示す指標であり、ANB実施後にHRVの高周波成分
(副交感神経活動のマーカー)が増加することが確認されています。
(Journal of Ayurveda and Integrative Medicine, 2018)。
③鼻腔でのNO生成
鼻呼吸は副鼻腔で一酸化窒素を生成し、これが血管内皮に作用して
血管を拡張させます(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, 2005)。
この効果は、血流抵抗を減らし、血圧を下げる一因となります。
交互に鼻孔を使うことで、左右の鼻腔でのNO生成が交互に刺激され、
持続的な血管弛緩効果が期待できる可能性があります(未検証の仮説)。
④ストレスとホルモン
・コルチゾール低下
高血圧はストレスと密接に関連しており、ANBは血中コルチゾール濃度を低下させます。
2016年の研究(Journal of Clinical Hypertension)では、
ヨガ呼吸法がストレスマーカーを有意に減少させ、血圧低下と相関することが報告されました。
・エンドルフィン放出
交互鼻呼吸法のリズム的な動作が脳内でエンドルフィンを放出し、
リラックス効果を増幅する可能性もあります。
まとめると、
・副交感神経系の活性化
 ゆっくりとした鼻呼吸は副交感神経を優位にし、心拍数を下げ、リラックス状態を誘発します。
・一酸化窒素(NO)の増加
 鼻呼吸は鼻腔内で一酸化窒素の生成を促進し、血管を拡張させて血流を改善する可能性があります。
・ストレス軽減
 交互鼻呼吸はコルチゾール(ストレスホルモン)を減少させ、
 高血圧の一因であるストレスを緩和します。


「利点と限界」
利点
・無料で実践可能
・特別な器具や訓練が不要
・誰でも簡単に学べる
限界
・現在の証拠は小規模な研究やケーススタディに依存しており、
大規模なランダム化比較試験(RCT)が不足しています。
・効果は個人差があり、薬物療法の代替としてではなく、補助的な手段として推奨されるべきです。


まとめ
「交互鼻呼吸法」は、血圧を下げるための有望な補助手段として、科学的根拠に裏付けられています。
現時点でのデータは小規模ですが、結果は一貫して肯定的であり、
特にストレス関連の高血圧や軽度の高血圧に効果的である可能性があります。
ただし、重度の難治性高血圧に対しては、医療専門家との相談の上での実践が必要です。
「交互鼻呼吸法」はとてもシンプルな方法ですので、
無理をせず少しずつ実践して頂きながら、血圧の変化を見守って頂ければと思います(๑•̀ㅁ•́๑)✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)

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安部元隆
専門家

安部元隆(理学療法士)

GENRYU式 綜合整体

科学的根拠に基づいた知見と臨床経験から得られた知見を組合せ「根本原因を探し、戻りが少ない治療法」『GENRYUメソッド』を提供しています。問題点をキチンと細分化して捉え、1つ1つその問題を解決します。

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