夕方、足がむくむのはなぜ?原因と仕組みを医学的に徹底解説!
この記事の要点
・夕方に脚がむくむのは、長く座ったり立ったりしていると、ふくらはぎの「筋肉のポンプ」があまり働かず、水分が脚にたまりやすくなるためです。
・予防のカギは「こまめに足首とふくらはぎを動かすこと」です。弱めの着圧ソックスも、夕方のむくみを減らすことが研究で示されています。
・むくんでしまったときの対処法と、受診したほうがよいむくみの見分け方もお伝えします。
※次のような場合は、セルフケアより先に医療機関を受診してください。
・片方の脚だけが急に腫れて痛む、赤みや熱をもっている
・息切れや息苦しさ、胸の痛みをともなう
・朝起きたときから顔やまぶた、両脚がむくんでいる
・むくみが日に日に強くなる、指で押したあとのへこみがなかなか戻らない
心臓・腎臓・肝臓の病気や、血栓(エコノミークラス症候群のような状態)が隠れていることがあります。
夕方になると脚が重くなる…「むくんでるな」と感じることはありませんか?
今回は、「夕方の脚のむくみを防ぐ方法」と「むくんでしまったときの対処法」を、研究で分かっていることと、まだ分かっていないことを分けながらお伝えします。
そもそも、なぜ夕方にむくむの?
立ったり座ったりしていると、重力で血液や水分は脚のほうへ下がっていきます。
それを心臓のほうへ押し戻しているのが、ふくらはぎの筋肉です。
歩くたびにふくらはぎの筋肉が縮んで静脈を押し、血液を上へ送り返します。これを「筋肉のポンプ」と呼びます。
ところが、長く座りっぱなし・立ちっぱなしで脚をあまり動かさないと、このポンプがあまり働きません。
その結果、水分が脚にたまりやすくなり、夕方のむくみとして感じられるのです。
ある研究では、健康な人でも、朝から7時間後の夕方には、すねから下の体積が平均で60〜90mLほど増えていました。
夕方のむくみは、多くの人に起こる体の自然な反応でもあります。
始める前に:今のむくみを確かめる
対策をする前に、今の状態を一つだけ確かめておきましょう。
- すねの内側を指で5秒押して、へこみが残るか
- 靴下のゴムのあとがどのくらい残っているか
- 夕方の靴のきつさ(きつい・少しきつい・いつも通り)
このうち一つで十分です。対策のあとに、同じことをもう一度確かめます。
夕方のむくみを防ぐ5つのセルフケア
どれも、ふくらはぎと足首を動かして「筋肉のポンプ」を働かせるのが目的です。
1時間に1回、どれか一つでも行うことをおすすめします。
① かかとの上げ下げ(10〜15回)
1. 椅子に座るか、壁や机に手をついて立ちます
2. かかとをゆっくり上げて、つま先立ちになります(2秒キープ)
3. かかとをゆっくり下ろします
4. 10〜15回くり返します
ふくらはぎの筋肉がしっかり縮むので、筋肉のポンプを働かせやすい運動です。
② 足首の曲げ伸ばし(10回)
1. 座ったまま、片脚を前に伸ばします(膝は軽く曲げてもOK)
2. つま先を自分のほうへ引き寄せます(2秒キープ)
3. つま先を遠くへ伸ばします(2秒キープ)
4. 10回くり返し、反対の脚も行います
③ 足首回し(左右5回ずつ)
1. 座ったまま、片脚を少し浮かせます
2. 足首を大きく、右回りに5回、左回りに5回回します
3. 反対の脚も行います
健康な20人を超音波で調べた研究では、足首を自分で曲げ伸ばし・内外にひねる動きを組み合わせると、脚の静脈の流れの速さ(平均)が約38%増えたと報告されています。
人に動かしてもらうより、自分で動かすほうが流れは大きく増えていました。
④ 座ったままの膝伸ばし(10回)
1. 椅子に座り、背すじを伸ばします
2. 片脚を床と平行になるまで伸ばし、つま先を自分のほうへ引き寄せて5秒キープします
3. ゆっくり下ろし、10回くり返します。反対の脚も行います
⑤ こまめに歩く
一番シンプルで効果的なのは、歩くことです。
トイレや飲み物を取りに行くついでに、1時間に1回は立ち上がって少し歩きましょう。
弱めの着圧ソックスを使う
12人の健康な人を対象にした研究では、すね丈の着圧ソックス(約11〜21mmHgの圧)をはくと、夕方のむくみが減ったり、ほとんど起こらなくなったりしました。
だるさなどの感じ方も、10mmHgより強い圧のソックスで改善していました。
長く座る・立つ仕事の方には、取り入れやすい方法です。
ただし、この研究は人数の少ない健康な人の研究です。
脚の血行に持病のある方(足の脈が弱い、糖尿病で足の感覚が鈍いなど)は、強い着圧で悪化することもあるため、使う前に医師に相談してください。
塩分のとりすぎに気をつける
塩分をとりすぎると、体は水分をため込みやすくなります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日の食塩の目標量は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。
汁物や麺類のスープ、漬物、加工食品は塩分が多くなりやすいので、スープを残すなどの工夫から始めてみましょう。
なお、心臓や腎臓の病気で水分や塩分の制限を受けている方は、主治医の指示を優先してください。
むくんでしまったときの対処法
① 脚を高くして休む(10〜15分)
1. 仰向けに寝て、ふくらはぎの下にクッションや座布団を重ねます
2. 脚が心臓より少し高くなるようにして、10〜15分休みます
3. 休みながら、足首の曲げ伸ばしをゆっくり10回行うと、さらに筋肉のポンプが働きます
重力を味方にして、脚にたまった水分を戻しやすくする方法です。
② ふくらはぎをやさしくなでる(10回)
1. 座って、片脚を軽く曲げます
2. 両手のひらで、足首から膝の裏に向かって、ふくらはぎをやさしくなで上げます
3. 10回くり返し、反対の脚も行います
強くもむ必要はありません。皮膚がやさしく動くくらいの力で十分です。
片方の脚だけが急に腫れて痛むときは、血栓の可能性があるので、もまずに受診してください。
③ 終わったら、もう一度確かめる
最初に確かめたこと(すねのへこみ・靴下のあと・靴のきつさのどれか一つ)を、もう一度確かめてみてください。
結果は、「楽になった・同じ・悪くなった・分からない」のどれかで残しておきましょう。
何日か続けて記録すると、どの方法が自分に合っているかが見えてきます。
まとめ
夕方の脚のむくみは、ふくらはぎの「筋肉のポンプ」が働きにくいことで起こりやすくなります。
- 予防:1時間に1回、かかとの上げ下げ・足首の曲げ伸ばし・足首回し・膝伸ばし・歩くのどれかを行う
- 弱めの着圧ソックス(約11〜21mmHg)は、夕方のむくみを減らすことが研究で示されている
- 塩分は、男性7.5g未満・女性6.5g未満を目安に
- むくんだときは、脚を高くして休み、ふくらはぎをやさしくなで上げる
そして、片脚だけの急な腫れや息苦しさ、朝からのむくみは、セルフケアではなく受診のサインです。
続けても夕方のむくみや脚の重だるさが変わらない方は、
足首の硬さや歩き方が関わっていることがあります。
大分駅から歩いて15分ほどの当院(大分市金池町)では、
足首やふくらはぎの動き、歩き方を一緒に確かめながら、
どこから見ていくかを整理しています。
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それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)
参考文献
着圧ソックスと夕方のむくみ
Partsch H, Winiger J, Lun B. Compression stockings reduce occupational leg swelling. Dermatologic Surgery. 2004;30(5):737-743. PMID: 15099316
足首の運動と脚の静脈の流れ
Sochart DH, Hardinge K. The relationship of foot and ankle movements to venous return in the lower limb. Journal of Bone and Joint Surgery (British volume). 1999;81(4):700-704. PMID: 10463749
食塩の目標量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」



