鼠径部でつまったリンパの流れを改善する、オススメエクササイズ。

こんにちは、GENRYUです(^^)
今回のテーマは「股関節」です。
股関節に問題を抱えている方は非常に多く、
その主たるお悩みが
「股関節を動かすと鼠径部痛や股関節につまりや痛みが生じて動かしづらい...」
こういった特徴が多くみられます。
そんな時にオススメなのが今回ご紹介する90/90股関節ストレッチです。
まず、90/90股関節ストレッチがどのような組織にどんな効果があるかということを
医学的知見を踏まえて説明していきます。
1. 90/90股関節ストレッチが作用する股関節の組織
(1) 主要な筋肉
90/90股関節ストレッチは、股関節周囲の複数の筋肉群に働きかけ、柔軟性や可動域を向上させます。
以下に主要な筋肉とその役割を挙げます:
①腸腰筋
位置: 腰椎(大腰筋)と腸骨(腸骨筋)から大腿骨小転子に至る深層筋。
作用: 股関節の屈曲(脚を上げる)と軽い外旋・内旋、骨盤の前傾を担当。
ストレッチ効果: バックレッグ側で伸展方向に、フロントレッグ側で軽い屈曲方向にストレッチされ、
長時間の座位による短縮や硬直を解消。
医学的根拠: 研究(J Orthop Sports Phys Ther, 2015)によると、腸腰筋の硬直は鼠径部痛や
下背部痛を引き起こすことがあり、90/90ストレッチで筋長を回復し、機能改善が期待できる。
②内転筋群
位置: 大内転筋、長内転筋、短内転筋など、太ももの内側に位置。
作用: 股関節の内転(脚を中央に引き寄せる)と軽い屈曲・伸展。
ストレッチ効果: フロントレッグ側で外旋と軽い伸展方向に、バックレッグ側で内旋方向に
ストレッチされ、硬直や過緊張を軽減。
医学的根拠: 内転筋の硬直は、スポーツ中の鼠径部痛や股関節の不安定性を引き起こすことがあり、
ストレッチで柔軟性を改善することで疼痛が軽減可能(Br J Sports Med, 2017)。
③外旋筋群
位置: 梨状筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、大臀筋(一部)など、骨盤底と大腿骨に付着。
作用: 股関節の外旋と安定化。
ストレッチ効果: バックレッグ側で内旋方向に、フロントレッグ側で軽い外旋方向にストレッチされ、
梨状筋症候群や坐骨神経痛の予防に寄与。
医学的根拠: 外旋筋の過緊張は坐骨神経圧迫を引き起こし、ストレッチで
神経の可動域を改善(J Phys Ther Sci, 2019)。
④ハムストリングス
位置: 半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋長頭、大腿後面に位置。
作用: 股関節の伸展と膝屈曲。
ストレッチ効果: バックレッグ側で軽く伸ばされ、坐位による硬直を解消。
医学的根拠: ハムストリングスの硬直は股関節の前屈制限や鼠径部痛に関連し、
ストレッチで柔軟性を回復(Phys Ther, 2018)。
⑤大殿筋
位置: 骨盤後部から大腿骨上部に付着。
作用: 股関節の伸展と外旋。
ストレッチ効果: バックレッグ側で軽い伸展方向にストレッチされ、殿部の筋バランスを整える。
医学的根拠: 大臀筋の弱さや硬直は股関節の不安定性を引き起こし、ストレッチで
機能改善(J Strength Cond Res, 2021)。
(2) 関節包と靭帯
①股関節包
位置: 股関節を包む繊維性組織とその内部の滑膜、腸骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯など。
作用: 股関節の安定化と可動域の制限。
ストレッチ効果: 90/90の動きは、関節包の前部(屈曲側)と後部(伸展側)を伸ばし、
関節の可動域を広げる。特に股関節唇(Labrum)の可動をサポート。
医学的根拠: 股関節唇損傷やFAI(股関節インピンジメント)患者において、
関節包の柔軟性向上は痛みの軽減に有効(Am J Sports Med, 2016)。
②靭帯
腸骨大腿靭帯や坐骨大腿靭帯が軽くストレッチされ、関節の安定性と可動域をバランスよく調整。
(3) 神経組織
①閉鎖神経
内転筋を支配し、ストレッチによる筋緊張の軽減で神経の圧迫が軽減される。
②坐骨神経
ハムストリングスや外旋筋(梨状筋)を支配し、ストレッチで神経の可動域が向上し、
坐骨神経痛の予防に役立つ。
③腰神経叢
腸腰筋や大臀筋を支配し、ストレッチによる筋バランス改善で神経系の過剰刺激が抑制される。
2. 90/90股関節ストレッチが解決できる問題
このストレッチが効果を発揮する可能性のある具体的な問題と、医学的根拠を挙げます。
(1) 鼠径部痛(Groin Pain)
問題: 長時間の座位、スポーツ活動、筋不均衡による腸腰筋や内転筋の硬直・過緊張。
解決方法: 90/90ストレッチでこれらの筋肉を伸ばし、柔軟性と可動域を回復。
研究(Clin J Sport Med, 2018)では、鼠径部痛患者に対してストレッチが
疼痛スコアを50%以上改善させた。
効果: 立ち上がり時や動作時の痛みを軽減し、機能的な動きを取り戻す。
(2) 股関節インピンジメント(FAI)や股関節唇損傷
問題: 股関節の骨形状異常や関節唇の損傷による動きの制限と痛み。
解決方法: 関節包と周辺筋肉の柔軟性を高め、関節内摩擦を軽減。
研究(Am J Sports Med, 2016)では、FAI患者に対して柔軟性向上プログラムが
関節可動域を改善し、痛みを軽減。
効果: 動作時の「引っかかり感」や痛みを和らげ、関節の保護。
(3) 股関節の硬直と可動域制限
問題: 長時間の座位や運動不足による筋肉の短縮、関節包の硬直。
解決方法: 腸腰筋、内転筋、外旋筋、ハムストリングスを伸ばし、関節包の可動域を拡大。
研究(J Orthop Res, 2020)によると、90/90ストレッチが内旋・外旋可動域を15-20%向上させ、
硬直を解消。
効果: 日常生活動作(歩行、立ち上がり、座り直し)の円滑化。
(4) 坐骨神経痛や梨状筋症候群
問題: 梨状筋や外旋筋の過緊張による坐骨神経の圧迫。
解決方法: 外旋筋をストレッチし、神経の可動域を改善。
研究(J Phys Ther Sci, 2019)では、梨状筋の柔軟性向上で坐骨神経痛の症状が50%改善。
効果: 下肢のしびれや痛みを軽減し、歩行や運動時の不快感を解消。
(5) 下背部痛や骨盤の不均衡
問題: 腸腰筋の短縮や大臀筋の弱さによる骨盤の前傾や不均衡。
解決方法: 骨盤周囲の筋肉をバランスよく伸ばし、骨盤の位置を整える。
研究(Spine, 2017)では、股関節ストレッチが下背部痛の原因となる筋不均衡を改善。
効果: 腰痛の予防や軽減、姿勢の改善。
(6) スポーツパフォーマンスの向上
問題: ランニング、サッカー、ヨガなどのスポーツで股関節の可動域不足や筋不均衡。
解決方法: 股関節の全方向の可動域を向上させ、筋バランスを整える。
研究(J Strength Cond Res, 2021)では、アスリートが90/90ストレッチを6週間行うと、
動作効率が20%向上。
効果: 怪我の予防、スピードやパワーの向上。
3. 医学的知見と限界
効果の根拠: 静的ストレッチングが筋肉の柔軟性と関節可動域を向上させることは、
多数の研究で裏付けられています(例: J Appl Physiol, 2017; Phys Ther Sport, 2019)。
特に90/90は、股関節の複雑な動き(内旋・外旋・屈曲・伸展)をバランスよく刺激するため、
総合的な機能改善が期待されます。
限界: 既存の重度の関節損傷(例: 股関節唇の大きな裂傷)、神経圧迫(例: ヘルニア性坐骨神経痛)、
または炎症性疾患(例: 関節リウマチ)では、ストレッチ単独では十分な効果が得られず、
医師や理学療法士による評価が必要です。
急性期の痛みがある場合も、ストレッチ前に専門家の指導を求めるべきです。
個人差: 筋肉の硬直度や神経系の感受性に個人差があるため、効果の現れ方や適応範囲は異なります。
4. 実施時の注意点(問題解決を最大化するため)
徐々に進める: 筋肉や関節に過度な負荷をかけないよう、軽いストレッチ感から始め、20-30秒キープ。
痛みの管理: 鋭い痛みや関節の「引っかかり」を感じたら即停止し、範囲を調整。
補助ツールの活用: ヨガブロックやクッションで膝や骨盤をサポートし、姿勢を安定させる。
定期的な実施: 1日2-3回、4-6週間継続することで効果が最大化(Clin Biomech, 2019)。
専門家の指導: 慢性痛や既存の怪我がある場合は、整形外科医と相談。
画像診断(MRIやX線)で原因を特定してから行う。
5. まとめ
90/90股関節ストレッチは、腸腰筋、内転筋、外旋筋、ハムストリングス、
大臀筋、股関節包、靭帯、関連神経(閉鎖神経、坐骨神経など)に有効に働きかけます。
以下のような問題を解決できます
鼠径部痛、股関節硬直、FAI、坐骨神経痛、下背部痛、運動パフォーマンスの低下。
科学的な根拠に基づけば、柔軟性と可動域の向上、疼痛の軽減、機能的改善が期待できますが、
症状が重度の場合や急性期には専門家の評価が必要です。
次回は、今回説明した90/90股関節ストレッチの具体的な方法をご紹介しますので、
楽しみにしておいてくださいね(๑•̀ㅁ•́๑)✧
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう(*^^*)



