試用期間中の解雇の可否

庄司英尚

庄司英尚

テーマ:退職・解雇

弊社では、自社で一部のニュースレターやメルマガ、その他
執筆関連記事のコンテンツなどを作成していますが、最近は
ほぼスタッフが企画して内容も全部作成してくれるので私たちは
チェック修正をしてもテーマ的に問題なければ
そのまま採用して使っております。ほんとうにいい内容のものも多く、
このような経験を積むことで今後さらに成長していくことと思いますし
とても頼もしいものです。

このようにして自分たちで企画から考えて作成するということを
パートさんもやっておりますのでそれを機会にいろいろ調べて勉強
することになり、その実務の奥深さを学ぶ機会になればいいと思います。

大事なのは、身近であって専門性があり経営者や人事担当者に少し
響くもので、実際に事例としてあったものがベストではないかと思います。

小難しいことでうちには関係ないと思われてもいけないし、抽象的すぎても、
要するにどうすればいいの? ということで書き手だけが満足するものでは
いけないと思います。

そんなわけで今回は、スタッフ制作のおすすめQ&Aを一部変更し
ご紹介します。


Q 中途社員を採用し、現在試用期間中なのですが、こちらが想定
していた業務レベルには程遠く、 能力不足であると感じております。
このような場合、試用期間中であれば採用を取り消す事はできるのでしょうか?



A  企業側と採用された側で、長期雇用を前提とした労働契約が
締結している状態なので、たとえ試用期間であっても、企業側は
正当な理由がない限り簡単に解雇はできません。
   
「何となく合わない」「期待していた能力ではない」などはもちろん
不当な理由です。過去に裁判で認められた正当な解雇の具体例を
いくつか挙げると、

   1 出勤率が90%に満たない 
   2 3回以上の無断欠勤 
   3 勤務態度が悪く、何度指摘しても改善されない 
   4 協調性を欠く言動・行動があり、社員として不適格 
   5 経歴詐称が
   
    あった 等でした。

また、解雇通知に関しても、通常の解雇と同じく30日前に予告する、
もしくはその代わりに、解雇予告手当として30日分以上の平均
賃金(最近3カ月間を平均した1日分の賃金)
を支払うことが義務付けられています。
   
ただし例外として、試用期間が始まってから14日以内
であれば、解雇予告は不要ですが
現実には暦日の14日間、すなわち 勤務日として10日
程度でそのような判断をするには相当ひどいと
思われるものでなければならないので、無理があります。

試用期間3カ月の契約となっていれば
2か月間じっくりみてきて、改善指導しても難しいということでそのタイミングで
30日前予告することで3か月間経った時点での本採用拒否ということでの解雇と
いうことも1つの方法でしょう。

決して本採用拒否という解雇をすすめるものではありませんが、会社側もここで困って
いて判断がつかず、迷ったあげくそのままにして、結果的にそのあとやはりあのときに
解雇しておくべきだったかなということを半年経過したころに思うことも多いということです。

相談として多いのは、試用期間中もずっと改善指導してきたけど 
本採用拒否するというほどの決定的なひどいものではないけど、能力
不足でこの先、難しそうという事案で、気が付くと試用期間の3か月
を過ぎてしまっていてどうしましょう? というケースです。

やはり、採用後に細やかな面談、特に本採用するには不安な方には、
相手へ今の状況を伝え、どのような点で不足しているのか ? 会社は
何を期待していてそのためにどうなってほしいのか? 会社側への質問
や悩み、人間関係、体調面仕事の進め方などについて本人からも話を
してもらう機会を積極的につくるようにしていただきたいと思います。

そして面談をしたら議事録をしっかり残しておくこと、その記録をもとに
また次回面談をするということでいざというときの証拠も会社は残して
おかないと基本的には当然ながら 改善指導したとはみなされません
ので拒否する理由も弱く無効になってしまいます。



  過去の参考になる試用期間中の解雇に関するブログをリンクしておきます。

 試用期間中の解雇だからといっても簡単ではない?
http://iwave.blog73.fc2.com/blog-entry-3389.html


 試用期間についての相談が相次ぎました。
http://iwave.blog73.fc2.com/blog-entry-3305.html

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庄司英尚
専門家

庄司英尚(社会保険労務士)

株式会社アイウェーブ(アイウェーブ社労士事務所 併設)

プロフェッショナル集団として学び続け、サービス業であるということを忘れず、何事にも全力で取り組みお客様の悩みを解決し、最終的には業績アップに貢献できるよう日々努力します。

庄司英尚プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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