経営者が約束を守り、約束を明確にして、不信感をなくす
会社は雇い入れる労働者に労働条件をしっかりと
説明し相互確認して労働契約を締結しなければなりません。
その労働契約については、労働基準法では会社は従業員に
対し労働条件を明示することを義務付けています。その中でも
一部の項目については明示の方法は書面にて交付すること
とされていました。
このたび労働基準法施行規則が改正され、4月から従業員が
希望した場合に限りではありますが、FAXの送信または電子
メール等の送信により明示することも可能となりました。
ただし、電子メール等については、労働者が電子メール等の
記録を出力することにより書面を作成することができるものに
限られているという要件があるので実務上では注意しなければなりません。
さて肝心の今回可能となった電子メール等とは、何なのか?
パソコンや携帯電話のEメールの他、Yahoo!メールやGmail等
のウェブメールサービス、そしてLINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ
機能等も含まれています。
電子メール等での明示は印刷や保存がしやすいよう、添付ファイルで
送ることが推奨されています。
紛争を未然に防止する観点から、労働者が本当に電子メール等による明示を
希望したか、個別にかつ明示的に確認しなさいとしています。
また本当に到達したかどうか労働者に確認すること、そしてなるべく
出⼒して保存するよう伝えることを指導しているのでその指導に従うことに
なるといえます。
希望も聞かずに一方的に送りっぱなしにしたりすることのないようにしたい
ところであり、トラブルはあとになって発覚し、大きくなって損害を被ることも
あるので労働条件の明示義務は重要なことであることを再度確認してほしいです。
LINEなどによる明示も可能になるが、SNS本文に直接記載し、
労働条件を細切れに明示すると、印刷する際に途切れてしまうので、
望ましくないといえるでしょう。それは当然ですし、そのようなことは常識的に
考えればないのでしょうが、なかにはそういうラインにものすごい仕事の用事を
画面を超えて文字記載して来る人もいるようですからわかりません。
労働条件の明示については有期雇用の非正規社員が増加し、契約書を
更新の都度締結することになりその業務量も増えているわけだが、その
締結業務の重要性はますます高まっています。
有期雇用労働者の場合、いつでも見ることができるようにデータで
保存しておきたいという方も結構多いと思うので体制を整えたら、電子
メール等での労働条件の明示について希望するかどうか確認してみても
いいかもしれません。
さて労働条件の明示すべき事項についてここであらためて確認
をしておくこととします。
労働基準法施行規則に定めている労働者へ書面で明示しなければ
ならない事項は、以下のとおり
①労働契約の期間 ②有期労働契約更新の基準 ③就業場所・従事すべき業務
④始業・終業時刻、所定労働時間超えの労働の有無、休憩時間、休日、休暇、2交代制に関する事項
⑤賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切・支払時期、昇給に関する事項
⑥退職(解雇を含む)に関する事項 など
当然、個別の賃金などを除いて就業規則を明示することでも
可能なわけですが、できる限り労働契約書に記載することが望ましい
といえます。